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改めて確認したい、クラウドとオンプレミスのメリット比較

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2017年12月12日

最近、「クラウド」という言葉をメディア等で聞くことが増えてきました。しかし、私たちは本当にクラウドの意味を理解しているのでしょうか。また、従来のコンピューターシステムとどのように違うのでしょうか。また、クラウド利用は今後どのように展開していくのでしょうか。

クラウドとは

クラウドとは

まず基本的なところを押さえておきましょう。クラウドと一般的に呼ばれていますが、本来は「クラウドサービス」「クラウドコンピューティング」等と呼ばれます。

簡単に言うと「データを自分のパソコンやスマートフォンに置くのではなく、インターネット上に置いて使う」サービスです。これは、従来までの会社や自宅のパソコンにデータを置いて直接利用するという方法に対して、クラウドではすべての情報がインターネット上にあり、自宅や会社や外出先、パソコンでもスマートフォンでも場所や機器を問わずインターネット接続さえあれば利用することが出来るようになっています。

データが保管される機器や場所がどこにあるのか把握できない=雲の中にあるかのよう ということでクラウド、という言葉が使われています。

クラウドと従来の手法との違い

インターネットを介してサービスを受け取るクラウドに対して、従来から利用されていたやり方は、オンプレミス(on-premise)と呼ばれ、パソコンやサーバーなどの物理機器を自社で所有し直接利用するといったものです。ここで、これを含めてクラウドとオンプレミス手法との違いを整理してみましょう。

クラウド

  • インターネットを介してサービス利用を行う
  • どこにいてもインターネット接続があれば利用できる
  • さまざまな機器で同じようにサービスを利用できる

オンプレミス

  • 機器を自前で設置し直接利用する
  • 機器の設置場所でしか利用できない
  • データの置かれた機器でのみ利用できる

このように、クラウドとオンプレミスにはいろいろな違いがあります。

クラウドのメリットとデメリット

クラウドは従来のオンプレミスとはさまざまな点で違いがありますが、それにはメリットもあればデメリットもあります。

メリットとデメリット

ここでは、クラウドが持つメリットとデメリットを取り上げます。「インターネットを介してどこでも使える」クラウドですが、良いことばかりではないのです。

まずは、クラウドが持つメリットを取り上げます。クラウドはどういった点が優れているのでしょうか。ここでは利用者として、およびサービス導入する企業の立場としての両方について考えてみましょう。

利用者のメリット

  • インターネット回線さえあればどこにいても同じように利用できる
  • パソコンやスマートフォン、タブレットなど機器を選ばない

企業のメリット

  • 物理機器の購入がなく初期投資が安い
  • メンテナンスコストが安い
  • 災害時の復旧が早く、事業継続という点でのメリットがある。

このようにクラウドは利用者の立場で見ると、「インターネットさえあればどこでも使える」「パソコンやスマホなど機器を選ばない」といったメリットがあります。

さらに視点を企業の側に転じてみると、クラウドは単純にサーバー等の物理機器を購入する必要がない、また自前でエンジニアを雇ったり、依頼して機器のメンテナンスする必要がないため、コスト削減に繋がります。

また、インターネットを利用して使うものであるということから、災害で端末が損傷してもデータセンターまでの回線が復旧すればサービスが利用出来るようになるので、迅速な業務復旧と事業継続が可能になります。そういった意味では、企業のBCP(事業継続計画)の観点からも大きなメリットがあります。

こういった多くのメリットがある一方で、クラウドにはデメリットも存在します。では、デメリットにはどういったものがあるのでしょうか。こちらも利用者と企業にわけて考えてみましょう。

利用者のデメリット

  • インターネット接続回線がないと利用できない

企業のデメリット

  • インターネット接続回線がないと利用できない
  • セキュリティに不安が残る
  • ネットワークに負荷がかかる
  • カスタマイズ性が低く、ベンダーに依存する

このように、クラウドのデメリットとしては、特に利用者にも企業にも共通して言えることですが「インターネット接続がないと利用できない」ということが挙げられます。

オンプレミス型では、インターネット接続がなくてもサービス利用は可能ですが、クラウドの場合、インターネットを介して利用するため、インターネット接続回線がないと利用できません。また、他のデメリットとしてはインターネットを介するので、セキュリティ上の不安が残る、ネットワークに負荷がかかるなどのデメリットがあります。加えて、オンプレミス型に比べて独自にカスタマイズできる部分が少なくなる、パフォーマンスが出ないなどのデメリットもあります。

このように、クラウドサービスにはこういったメリットやデメリットがあります。

どういうものに向いているのか

先ほどクラウドのメリットとデメリットをそれぞれ見てきました。これを踏まえて、どういった利用にクラウドが向いているのか、逆にクラウドでは従来のオンプレミスが向いているのはどういう場合なのか見ていきましょう。

下記にクラウドに向いているものとそうでないものを整理しました。

クラウドに向いているもの

  • パフォーマンスが要求されないもの
  • メールなどそれほど企業ごとのカスタマイズが必要ないもの
  • 出張先などでモバイル利用をしたいもの
  • 会計処理など属人化すべきでない業務

クラウドが向いていないもの

  • パフォーマンスが要求されるもの
  • たまにしか行わない業務
  • 独自に多くのカスタマイズが行われているシステム

これを端的に言えば「パフォーマンスを要求されるものはクラウドには向かず、物理システムが向いている」「パフォーマンスよりもシンプルなものでモバイル利用が求められるものはクラウドが良い」ということになります。

クラウドの現状と課題

従来のオンプレミス型とはまったく違う特徴を持つクラウドが、どういった特徴を持ち、どのようなメリット・デメリットを持つかということを説明してきました。このクラウドサービスの利用は現状どのようになっており、将来はどうなっていくのでしょうか。また、課題は無いのでしょうか。

クラウド利用の現状

企業などでのクラウド利用が伸びているということは先にも触れたとおりですが、実際にどのような現状があるのでしょうか。まずは国内と海外における現状を見てみましょう。

国内の現状

クラウドサービスの国内での利用はMM総研の調査によれば2015年の市場規模が33.7%増の1兆108億円となり、初めて1兆円を突破しました。

海外の現状

世界のクラウド市場の規模は、IHS Technologyによると2015年の市場規模として931億ドルの規模に達しており、前年などと比較して急速な伸びとなっています。

このように従来のオンプレミスがある中でクラウドの市場規模は着実に伸びています。

将来の展望

急速に伸びているクラウド市場。この流れは将来に目を向けても変わらないのでしょうか。ここでは、クラウド利用が将来どのように展開していくかということについて考えて見ましょう。

先ほど国内と海外の現状について少し触れましたが、今後の予測はそれぞれ以下のように立てられています。

国内

現状と同じくMM総研による予測では、今後2018年には2兆円規模、さらには2020年には3兆円規模に達するとされています。

海外

世界のクラウド市場規模は米調査会社のSynergy Research Groupによると2020年には2000億ドルを超えると予想されており、年率でも毎年23~29%の成長が見込まれるとされています。

このように、クラウドコンピューティングの市場規模は当面の間、大きな成長を継続していくことが見込まれています。今後ともさらに市場規模が拡大することは間違いありません。

企業のクラウド利用への課題

最後に業界や企業の間でクラウドの利用がますます広がっていくと予想される中、採用への障壁ともなりうる課題と言えるものがないのかどうか考えてみましょう。クラウドには「どこでも使える」「どんな機器でも使える」という大きなメリットがあります。しかし、逆にそれが利用への課題となっているケースがあります。

クラウドの導入に際して課題とされているようなことは以下のとおりです。

  • 現行システムがクラウドに移行出来るかどうか
  • セキュリティの問題がクリアされているかどうか
  • ネットワーク品質と設備の強化
  • メンテナンスする体制の確保

従来のオンプレミスからクラウドへの移行を行うにあたって、課題となっているのは主にこういった内容となります。オンプレミスで利用してきたシステムをクラウドへ移行するためにはクラウドへ移行して十分使えるかどうかの検証と評価が必要となります。

またインターネットなどネットワークを経由してサービス利用を行うことから、ネットワークのセキュリティを十分確保するための対策が必須となります。またネットワーク経由でサービスを提供する以上、ネットワークが使えないと利用することはできません。そのため、ネットワークを安定して使うための回線設備の強化が必要となります。

なお昨今では、インターネット回線でなく、専用回線でクラウド提供業者と接続することで、セキュリティの高い環境を保ちつつ、クラウドサービスを利用できるようにもなっていますが、回線工事も必要となる事と、費用がインターネット回線よりもかかってしまうため、一般化されるものでは無いでしょう。

また、容量単価で考えた場合は、2017年現在でもオンプレミス型に分があります。安価なサーバを購入し、大容量のHDDをクライアントから読み書きするだけの利用方法であれば、まだまだ自前で用意したほうが安価に構築できます。しかし、そこにはハードウェアの維持コストや、機器を入れ替えるコストなどが考慮されてない場合があります。どのようなデータをどれくらいの頻度でアクセスし、保持していく必要があるのかを検討する必要があります。

つまり、従来のオンプレミス型とはサービス形態や利用の方法が異なるということを理解した上で、コストを踏まえた比較検討を行う必要があります。

このように企業がクラウドを導入するためには、乗り越えるべきいくつかの課題があると言えます。

まとめ

国内、海外問わずクラウドサービスの利用が急速に伸びています。伸び率は30%違い予測もあるなど、まさに現在のIT業界のトレンドであり、業界を牽引していく大きな力となっています。

クラウドには以下のようなメリットがある反面、デメリットもあります。

  • インターネット接続さえあれば、どこでもどんな機器からでも使える
  • 導入コストやメンテナンスコストが安い

また、インターネット接続を介してサービス利用するクラウドは従来のオンプレミス型に比べてパフォーマンスが出にくいといったように、目的に伴って向き不向きが発生します。

このようにすべてのケースでクラウドが使えるわけではありませんが、現在のクラウド市場は国内・海外共に急速な伸びを示しています。調査会社等の予測にもある通り、今後ともその傾向は続く可能性が非常に高いと言われています。

こういった中、クラウドとオンプレミス型を選択する場面は今後どんどん多くなってくるはずです。そういった大切なことは、クラウドで何がしたいか、出来るのかといったことをしっかりと評価・検証した上で適切なシステムを選択することです。

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