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50代のITエンジニアが「老害」「人罪」になる?

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2022年07月04日

「あなたの会社に50代のベテランエンジニアはいますか?」「彼らはしっかりと仕事をしていますか?」。

今、さまざまな経験をしてきて豊富な知識を持っているはずの50代のベテランエンジニアが、企業にとって逆に足かせとなっているケースが問題になっています。

現在のトレンドとなっている技術の基礎となっている知識を経験とともにしっかりと持っている彼らは本来大いに活躍できるはずですし、企業は彼らを活用できなければなりません。

では、彼ら50代のエンジニアはどのようにすれば、組織の中で自らの力を有効に発揮できるのでしょうか。また、彼らを活用するにはどういったことに気をつけるべきなのでしょうか。

彼らは決して「老害」「人罪」になってはならないし、有効に活用すべきなのです。

「IT革命」を担った当時のエンジニアたちが、今や50代に差し掛かっている

50代のエンジニア、彼らはかつて新進気鋭の若手エンジニアとして、いわゆる「IT革命」を担い牽引してきました。MS-DOSからWindowsの時代を経て、サーバーを構築し、Visual Cなどでプログラミングを行なっていた彼らも今や中堅やベテランといった年齢に差し掛かり、組織内でのその役割はさまざまなものとなっています。

一般にITエンジニアのキャリアプランは以下のように3つに分けられます。

  1. マネジメント
  2. 専門職
  3. コンサルタント

「マネジメント」つまり、現役のエンジニアとしてではなく管理職として部署をまとめつつ経営や戦略など企業の根幹に関わる仕事。「専門職」として、技術や知識を磨いて現場の一線級で活躍を続ける。また、コンサルタントとして企業や組織に対して、IT戦略の立案や経営へのITの活用などさまざまな事柄を提案する。こういった分野にキャリアアップしていく優秀な人材も多くいます。

しかし、中にはこういったキャリアアップがうまく出来なかったエンジニアもいます。それが「老害」であるとか「人罪」などと言われるエンジニアです。彼らは新しい技術を取り入れられず、古いものに固執する傾向があり、組織のIT戦略の推進に際して障壁となりかねないケースがあります。

これは新しいIT技術を積極的に活用し、生産性や業績の向上を実現しようとする企業にとっては非常に問題となります。

「職人気質」のITエンジニアが「人罪」に

こういった過去の技術に固執し、新しい技術を学んだり取り入れたりすることをしないだけでなく、企業が業績を向上し成長していくために必要な新しいIT技術の導入や活用を妨げようとするいわゆる「職人気質」のエンジニアは企業にとって非常にマイナスです。しかし、企業にとってはこれまで大きな功績を残し、さらに技術や知識を持っているがために無下な扱いをできないという問題があります。これはまさに悪循環です。

本来のITエンジニアは、こういった過去の技術や知識をベースにしっかりと持った上で、日々の情報収集とスキルアップを怠らずに新しい技術に積極的に取り入れて、スキルアップを図っていくことが重要です。逆にそれが出来ないITエンジニアは、この日進月歩著しいIT業界では生き残ることが難しいと言わざるをえません。

「老害」とか「人罪」などと言われるようなエンジニアはまさにこういった彼らのことを指しているのです。今50代のエンジニアの皆さんは自分がこうなっていないか改めて意識してみることが大切です。

若手エンジニアは「35歳までが勝負」と考えている

ある転職コンサルタントによると、「35歳までが勝負」と考えている若手エンジニアは多いのだそうです。これはどういうことを意味しているのでしょうか。

気力や体力が充実している若い頃は、仕事でもある程度は無理が可能です。したがって若い頃にさまざまな新しい技術を習得し、上流工程なども経験しておくことが大切であると考えているのです。

彼ら若手エンジニアの考え方は、古い「まずは下積みが大切」であるとか「石の上にも3年」などといったものとは対極と言えます。若いうちにさまざまな技術を習得し、多くの経験をして自らの基本レベルを上げておきたいと考える若手エンジニアにとって「いつまでも同じようなレベルの低い古い技術を活用した仕事しかできない」「上流工程の経験が積めない」などといった環境は我慢できないものであり、35歳までにとにかく自らの価値を高めなければと感じている若手エンジニアにとっては焦りを招くことにつながるはずです。

それにも関わらず40代や50代のエンジニアの古いものさしで彼らを図ろうとすると彼らに愛想をつかされてしまうでしょう。

若手エンジニアは「チャレンジ転職」の割合が多い

かつて日本企業の雇用形態といえば、就職すると定年退職するまで一つの企業に勤めるという終身雇用型が一般的でした。その為、若いうちは下積みを重ね、経験を積みながら徐々に高度な仕事を任せられる、という流れが一般的でした。

しかし、終身雇用が崩れた今、若手エンジニアは転職を行なってキャリアアップを行うというビジョンを持っています。彼らの多くが持っている将来ビジョンは「30代半ばにはプロジェクトリーダーやマネージャーになっている」といったものです。

このような若手エンジニアの考え方を反映して、最近のITエンジニアの転職市場では「より高度な仕事をするための転職」「新しい分野へ幅を広げるための転職」といういわゆるスキルアップのための「チャレンジ転職」が多くなっています。

従来であれば、「待遇が不満」「人間関係が問題」などといった必ずしも前向きでない転職理由も多かったのですが、特に若手エンジニアの間では、安定した職場に勤めていてもそれに満足せずに、将来ビジョンを実現するための積極的な転職を行いたい。というように転職の考え方が変わってきているのです。

そういった現状を考えると、35歳までという若いうちにさまざまな経験を積んでキャリアアップできない環境というのは、若いエンジニアにとって魅力がないことがよくわかります。

最後に〜若手とベテランのお互いにとって良い環境とは

若手エンジニアは、35歳までの体力・気力が十分なうちにさまざまな経験をしてスキルアップをしていきたいという思いを持っています。しかし、ベテランの中には、若手は一定期間下積みを行なうべきという考え方のエンジニアもいます。さらには、古い技術に固執し、新しいものを取り入れることを妨げようとする「老害」とも言えるエンジニアまでいます。

しかし、こういったお互いのすれ違いは良い結果を生むことはありません。お互いが歩み寄り相乗効果をもたらすためにはどういったことを意識すれば良いのでしょうか。

50代のベテランエンジニア

  • 情報技術は常に更新され、時代にあった新しい技術をスピード感を持って使うことが必要だと理解する
  • 自らが経験して来たことをベースに新しい技術を理解していく努力をする
  • 若手に積極的に経験させていく

若手エンジニア

  • 新しい技術のベースとなっている過去からの知識や技術をベテランエンジニアから学び、知識の土台をしっかりとさせる
  • ベテランエンジニアにうまく頼る

もちろん、50代のベテランエンジニアの中にも、誰もから尊敬され、新しい技術を使いこなし第一線でバリバリと仕事をしているエンジニアもいます。そして、「老害」「人罪」などと呼ばれてしまうエンジニアがいることも事実です。

しかし、一つ言えることは、彼らもかつては当時の最先端の技術を使いこなし「IT革命」を担ってきたのです。その中を戦ってきたベテランエンジニアは、もちろん今のIT業界で再び輝けるポテンシャルを持っていますし、若手と協力しあって素晴らしい結果をもたらすことも可能です。

双方のエンジニアが、ここに掲げたようなことを実現できたならば、その時こそ50代のエンジニアは再び輝きを取り戻し、若手エンジニアにとっての良い模範となるに違いありません。

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