2015年10月14日の記事を再構成(文言の追加)をして作成した最新記事です。
正社員が安定しているとは言っても、年功序列や定期昇給といったかつての会社のカタチは徐々に崩れつつあります。
肝心の給与も、一向に上がらない、また上がる見込みも少ない、そんな不満を抱えているITエンジニアも多いのではないでしょうか。
「どうせ頑張ったって…」と不満を抱えながら悶々と働き続けるよりも、やりたい仕事を自分で選べたり、自分次第で収入が増やせることから、会社員からフリーランスの生き方を選択するエンジニアも多いと良く耳にします。
今の時代、会社に忠誠を誓ったところでかつてのように定年まで面倒を見てくれるとは限りません。ならば一人のITエンジニアとして、「いい仕事をしたい」、「たくさん稼ぎたい」と思うのは極々自然のことです。
今回は、ITエンジニアがIT業界でフリーランスとして成功するために必要なことの全てを4つの項目に分け完全網羅しました。最初に、多くのITエンジニアがフリーランスへの闘志を駆り立てられた「お金」の話から始めましょう。
過去記事のURLリンクも満載ですので、ぜひ保存(ブックマーク)して何度も読んでご活用ください。
客先常駐のエンジニアと、フリーランス
多くのITエンジニアは、親会社から派遣され客先に常駐して仕事をしています。世間でよく知られている大企業でも、システム開発等のITに関わる業務は他社に委託していることが多く、派遣されたITエンジニアがあたかもその会社の社員であるかのように常駐しています。
派遣先の会社から名刺を支給され、中には社員より商品知識や会社の内実に詳しいITエンジニアも少なくないと聞いています。ここで気になるのが常駐先が払うお金と実際のITエンジニアが受け取るお金がどれほど違っているのかです。常駐先が支払う単価はだいたい80万円から140万円が相場であると言われています。
しかし、実際は親会社の取り分がありますし、2次請け、3次請けも珍しくないITエンジニアの世界ですから窓口を通るたびにお金は落ちていきます。すると、実際エンジニアの手元に入るのは20~40万円程度にまで少なくなるのだそうです。一方、同じ常駐型のエンジニアでもフリーランスの場合は、40万円~80万円が相場であるとされています。
その差何と2倍。報酬がエンジニアの手元に渡るまでに通り抜ける窓口が少ないがために、フリーランスは単価が収入に直結しやすいのです。
客先常駐のエンジニアでも会社員であれば、中間マージンを多くとられるため取り分が少なくなってしまいますが、その代わり、仕事がない期間でもきちんと給料を支払ってくれます。それとは対照的に、フリーランスは会社員よりも遥かに多くの収入を得ることができますが、仕事が取れなければ収入は途絶えてしまいます。
フリーランスとして独立する場合、この点をどう捉えるかが決断の決め手となるのです。仕事の割に少ない取り分の仕事を「安定」と引き換えに歯を食いしばってやり続けるのか、それとも、リスクは承知で独立するのか、最終的には自身の腕と経験を信じられるかどうかにかかっているのです。
ITエンジニア、フリーランスになるメリット
メリット
IT業界においてもフリーランスの魅力は何と言っても実力に見合った収入を得られることが大きな要因です。あなたの価値が認められれば、クライアントは報酬を惜しまず払ってくれることでしょう。フリーランスの醍醐味ともいえます。これまではクライアントは、あなたの勤めていた会社に報酬を払っていました。
言わば「代わりの効く」一定の業務の対価の幾ばくかがあなたに支払われる給料でした。しかし、フリーランスになるとクライアントはスキルと成し遂げた仕事に対して報酬を支払っているのです。
ITエンジニアとしてこれは何物にも替え難い喜びです。そしてその金額こそが、まさしくストレートな評価であり、会社員の時代には決してできなかった「やればやるほど報われる」経験を積むことができるでしょう。
また、フリーランス(個人事業主)は購入したものは経費として所得から差し引くことができます。スキルアップの為に購入した書籍やセミナーへの参加費用、人脈を作るための交流会参加費用なども経費で計上できるのです。逆を言えば、自分を売り込む事も仕事の一環となるため、営業的センスも必要となってくるでしょう。
気を付けてほしいのがフリーランスの収入は会社員時代の給与とは異なり、それにかかる経費等は差し引かれていないもののことを言います。ですから、あまりに仕事に張り切り過ぎて経費が嵩んでしまい、実は赤字だったということも良くある話ですので注意してください。
フリーランスになると、気力と体力さえあれば定年がある正社員に比べ長い期間現役で続けることも可能ですし、仕事をする時間や場所を自由に選べるのも大きなメリットです。
どこまで頑張るのか、どこまで働くのかを決めるのも自分。ただそのかわり、何かあったときの責任も、何かやってしまった時の尻拭いも全て自分でやらなければなりません。つまり、何をするにも「自分次第」なのです。
フリーランスになる前に読む、ITキャリアオンライン参考記事
フリーランスの開業準備
開業準備
開業届は、正式には「個人事業の開業・廃業等届出書」と呼ばれ、最寄りの税務署より入手するか国税庁のホームページよりダウンロードすることもできます。提出時期は「事業の開始等の事実があった日から1ヶ月以内」とされています。開業日なども本人の自由に決めることができます。開業届を提出することにより社名(屋号)が公的に認められることになります。
また、開業届を提出するのは「青色申告」のメリットを享受できることにあります。「青色申告」なら「最大65万円の特別控除」など「白色申告」と比べ税金の面で様々なメリットがあります。
「所得税の青色申告承認申請書」は「個人事業の開業・廃業等届出書」同様、最寄りの税務署か国税庁のホームページより入手することができ、こちらは「事業開始の日から2ヶ月以内」に提出しなければなりません。
しかし実際には、「個人事業の開業・廃業等届出書」と「所得税の青色申告承認申請書」は同時に提出したほうがよいでしょう。
また、一度青色申告の申請をしても、「所得税の青色申告の取りやめ届出書」の確定申告をする年の3月15日までに提出すれば白色申告を行うこともできますが、コロコロと申告方法を変えるメリットもあまり無いので、開業した年は白色申告にして翌年から青色申告で行う、などステップアップしていくのが良いと思います。
開業するタイミングで読む、ITキャリアオンライン参考記事
フリーランス、法人化
フリーランスになってビジネスが軌道に乗ってきたら法人化を視野も入れてみましょう。フリーランスの最大のメリットがフットワークの軽さであるならば、法人のそれは社会的信用です。
業界に名を馳せるほど腕利きのエンジニアなら話は別ですが、フリーランスが新規で顧客を開拓するのは正直かなり厳しいと言わざるを得ません。一方、法人であればそのハードルはかなり低くなります。
中には、フリーランスとの取引を一切受け付けていない企業も少なからずあるようです。その違いは、「社会的信用」これに尽きるのです。また、金融機関からの融資を申し込む際や、助成金の申請を行う際もフリーランスより法人である方が、圧倒的に有利と言われています。
法人化するメリットは社会的信用だけにとどまらず、収入が多いほど節税効果が高くなります。フリーランスが納める所得税は累進課税で稼げば稼ぐほど上がっていきますが、法人が納める法人税は、比例税率が適用されるので最高でも23.9%です。
ですので、フリーランスが課税収入で900万円以上になれば法人化した方が税金面でのメリットは高いと言えます。加えて、社会保険(厚生年金保険、健康保険)に加入できますので、フリーランスの国民年金よりも受け取れる年金額が高くなります。
フリーランスになると、会社員時代よりも収入は上がるかも知れませんが、もちろん退職金はありませんし、国民健康保険では貰える年金額も心もとありません。フリーランスにとって法人化は社会的信用や節税効果が一番のメリットですが、長い目で見れば自身の老後の生活も守ることになるのです。
法人化の前後で読む、ITキャリアオンライン参考記事
フリーランスの向上心
IT業界の特徴は、テクノロジーが日進月歩で商品のライフサイクルが短いことが挙げられます。現状最新鋭の知識とスキルを持っていても、独立してほどなく陳腐化し、市場価値が大幅に低下することも珍しくはありません。フリーランスは、顧客に「あなただからお願いする」と言われてはじめて仕事が成立するもの。
同じフリーランスである名を馳せたスポーツ選手も引退理由は、体力よりも気力の衰えであることが多いと言われます。人の知らない人の見ていないところで弛まぬ努力を惜しまなかった名選手でさえも向上心が萎えてしまったときが限界の瞬間なのです。
これはITエンジニアとて例外ではなく、向上心を失った瞬間にフリーランスとしては坂道を転げ落ちるように転落していくことでしょう。
ですから、現状に満足することなく向上心を持って絶えず自己研鑽を積み重ねなければなりません。フリーランスは会社のように研修制度や指導してくれる上司や先輩はいませんので、自身の教育も自分自身で行わなければならないのです。
フリーランスで悩んだら読む、ITキャリアオンライン参考記事
最後に確認して欲しいポイント
フリーランスになることは、人生における大きな決断のひとつです。「正社員という安定を捨ててまで」という声もあるでしょうが、正社員という立場さえ決して安定しているとは言えない時代です。
もし、あなたが「フリーランスになりたい」と上司に告げたとき、「世の中そんなに甘くないぞ」と言われたら、きっとその上司は、かつて独立を考えていたけれども弱肉強食のフリーランスの世界に足を踏み入れることを恐れ、正社員という安定を選んだ人かも知れません。もしそうならば、その上司はもはやあなたのキャリアターゲットにはなり得ません。
腹を決めてフリーランスになる準備をはじめる絶好のタイミングです。
フリーランスには、所属している会社や組織という肩書はありません。「○○社」という信用ではなく、「あなた」とビジネスをしているのです。だからこそ、フリーランスには、ビジネスにおいて何ができるかが最も重要視されるため、あなた自身の強みを磨き続けることが、フリーランスとしての明るい未来、成功につながることでしょう。