お役立ち情報|フォスタージャーナル

個人事業主が住所を変更する際に必要な手続きは?開業届は必要なのか?

  • Facebook
  • Twitter
  • note

2023年04月20日

個人事業主が住居や店舗の移転による住所変更を行う際には、税務署に開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)を提出することになります。
従業員を雇用している場合には所轄の年金事務所への届出が必須です。

ここでは、個人事業主が住所変更をする際に求められる手続きの方法についてご紹介します。

・個人事業主の住所変更に必要な届け出の詳細

・納税地が変わる場合に必要な届け出の詳細

・住所変更したときの確定申告の場所

・海外へ移転する場合

住所変更した時の手続き

個人事業主は事業をスタートする際、所轄の税務署宛に開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)を提出するのが一般的です。

開業届に記載した「納税地」および「事業所」の所在地が引っ越しなどで変わる場合、住所変更のための手続きが必要となります。

従業員を雇っていない個人事業主の場合

従業員を雇っていない個人事業主の住所変更の手続きは、次の3つのパターンに分かれます。

・自宅兼事務所を引っ越す場合
・納税地として登録した事務所を引っ越す場合
・納税地ではない事業所を引っ越す場合

自宅兼事務所を引っ越す場合

自宅兼事務所を移転する際には、移転前の所在地(住所地)を管轄する税務署に次の書類を提出します。

・個人事業の開業・廃業等届出書
・所得税・消費税の納税地の異動に関する届出書

納税地として登録した事務所を引っ越す場合

納税地として登録した事務所や店舗を引っ越す場合にも、次の書類の提出が必須となります。
提出先は移転前の所轄税務署です。

・個人事業の開業・廃業等届出書
・所得税・消費税の納税地の異動に関する届出書

納税地ではない事業所を引っ越す場合

納税地ではない事業所を引っ越す場合には、開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)を納税地の所轄の税務署宛に提出すれば問題ありません。

従業員を雇っている場合

従業員を雇用している場合の住所変更手続きでは、基本的には以下の書類の提出が求められます。

・個人事業の開業・廃業等届出書
・健康保険・厚生年金保険適用事業所関係変更(訂正)届
・健康保険・厚生年金保険適用事務所 名称/所在地変更(訂正)届

※事業の状況によっては、上記書類以外の提出が必要です

個人事業主の住所変更に必要な届け出の詳細

ここからは、個人事業主の住所変更手続きに必要な届出の詳細についてご紹介します。

個人事業の開業・廃業等届出書

個人事業の開業・廃業等届出書は、「開業届」とも呼ばれている書類です。
個人事業主が事業所や事務所の新設や増設、移転や廃止する際に、所轄の税務署に提出します。

個人事業の開業・廃業等届出書の提出期限は移転や廃業した日より1ヶ月以内です。
移転の際の提出先は移転前の所轄の税務署となります。

「届出の区分」にて「移転」を選択してチェック。
移転後と移転前の所在地を必ず記載しておきましょう。

健康保険・厚生年金保険適用事業所関係変更(訂正)届

健康保険・厚生年金保険適用事業所関係変更(訂正)届は、事務所や事業所の移転後に電話番号が変更された際に提出する必要があります。

提出先は移転後の事業所の所轄の年金事務所です。
窓口への提出のほか、郵送や電子申請 も受け付けています。

記入方法については、以下のリンク先をご参照ください。

日本年金機構 健康保険・厚生年金保険適用事業所関係変更(訂正)届(記入例)
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/todokesho/jigyosho/20150212.files/9115-3.pdf

健康保険・厚生年金保険適用事業所名称/所在地変更(訂正)届

移転後の事業所が同じ年金事務所の管轄外の際はもちろんのこと、管轄内であった場合にも提出が求められる書類が「健康保険・厚生年金保険適用事業所名称/所在地変更(訂正)届」です。

住所変更によっては保険料が変更となるケースもあります。
保険料の変更による過不足金の精算が求められる点には注意が必要です。

提出期限は移転の日から数えて5日以内のため、事前に提出の準備をしておきましょう。
詳しい記入方法は次のリンク先を確認してください。

 

日本年金機構 健康保険・厚生年金保険適用事業所名称/所在地変更(訂正)届(記入例)
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/todokesho/jigyosho/20141203-01.files/00000240003QuBBCK89Fr.pdf

納税地が変わる場合に必要な届け出の詳細

事務所や事業所の移転によって開業届に記載した「納税地」が変更となる際には、以下の書類の提出が必須です。

・所得税・消費税の異動に関する届出書(消費税・所得税)
・給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書(源泉所得税)

所得税・消費税の異動に関する届出書(消費税・所得税)

「所得税・消費税の異動に関する届出書(消費税・所得税)」は、移転に伴い納税地が異動となった際に提出する書類です。
提出先は異動前の納税地を管轄する税務署となります。

提出期限は「異動があった後に遅滞なく」のため、「個人事業の開業・廃業等届出書」と同時に提出するのがおすすめです。

ちなみに2023年1月1日以降の異動 に関しては、「所得税・消費税の異動に関する届出書(消費税・所得税)」の提出が不要となっています。

給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書(源泉所得税)

給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書(源泉所得税)は、雇用する従業員に対して給与を支払っている個人事業主が該当する書類です。

事業所や事務所の開設や移転、または廃止した際に提出が求められます。
提出先は異動前の納税地の所轄税務署です。
提出期限は事業所の移転または廃業した日から数えて1ヶ月以内 となります。

ただし「個人事業の開業・廃業等届出書」にて、「給与等の支払の状況」を記載している場合には提出不要です。

住所変更したときの確定申告の場所

個人事業主が住所変更をした際の確定申告は、移転先の事業所が所在する自治体や住所地ごとに違いがあります。

・引越先の管轄税務署が以前と同じ場合
・引越先の管轄税務署が変わる場合
・確定申告の時期に引越しした時
・住所地と実際に住んでいる住所が違う場合

引越先の管轄税務署が以前と同じ場合

住所変更後の管轄税務署が移転前と変わらない場合には、確定申告書の提出先も同じ税務署宛となります。
ただし次の手続きだけは行っておきましょう。

・納税地の変更
・廃開業にかかる内容変更

いずれも「個人事業の開業・廃業等届出書」(開業届)にて、変更後の内容を含めたものを再提出しておけば問題ありません。

引越先の管轄税務署が変わる場合

住所変更後の管轄税務署が変更となる場合には、移転後の管轄税務署が確定申告書の提出先となります。

ただし「納税地の変更」「廃開業にかかる内容変更」の手続きは、移転前の管轄税務署となる点には注意が必要です。

確定申告の時期に引越しした時

確定申告の時期に住所変更を行う際には、確定申告のタイミングによって異なります。

移転日

確定申告日

申告する税務署

3月1日

2月25日

移転前の所轄税務署

3月1日

3月14日

移転後の所轄税務署

移転前の所轄税務署での手続きがあることを踏まえますと、確定申告も移転前に済ませたほうが良いかもしれません。

住所地と実際に住んでいる住所が違う場合

日本国内のセカンドハウスや別荘などに居住している個人事業主が該当する項目です。
開業届に記載した住所地と居住している住所が違う場合(居所)には、住所地もしくは居所のいずれかを納税地として選ぶことができます。 

居所を納税地とする際には、「所得税・消費税の異動に関する届出書(消費税・所得税)」を住所地の所轄税務署宛への提出が必須です。

住所地をそのまま納税地とする場合には、住所地の管轄税務署にて確定申告を行えば問題ありません。

海外へ移転する場合

個人事業主の移転先が海外の場合、日本国内での事業を「廃業」するための手続きが必要となります。

・個人事業の開業・廃業等届出書の提出
・所得税の青色申告の取りやめ届出書の提出
・確定申告

個人事業の開業・廃業等届出書の提出

海外移転前の事業所の所在する管轄税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出します。

この場合は「廃業届」の扱いです。

「届出の区分」より「廃業」にチェックを入れます。
「事由」もきちんと記入しておくと良いでしょう。
提出期限は廃業後または海外移転後の1ヶ月以内です。 

所得税の青色申告の取りやめ届出書の提出

青色申告承認申請を受けていた個人事業主が廃業する際には、「所得税の青色申告の取りやめ届出書の提出」の提出が求められます。
提出期限は青色申告をやめる年の翌年3月15日までです。 

青色申告をやめる年

いつから青色申告をやめるのか?を明確にする項目です。
「○年分の所得税から~」にやめる年を記載します。

青色申告書提出の承認を受けていた年分

青色申告承認を受けてから取りやめまでの年数を記載する欄です。
「○年分から○年分まで」に、青色申告承認申請を提出した年と青色申告をやめる前の年を記入します。

青色申告書を取りやめようとする理由

「海外移転に伴う廃業手続きのため」などを記しておきましょう。

確定申告

海外に移転するまでの所得を出国前に確定申告しておきます。
出国日を含む年の1月1日から出国日までの所得が対象です。

所得税・消費税の納税管理人の届出書

海外に移転する個人事業主ではなく、代理人(納税管理人)に確定申告を任せる場合の手続きです。

納税管理人の候補者は個人事業主の親族のほか、税理士などがあげられます。
「所得税・消費税の納税管理人の届出書」は、出国日もしくは納税管理人を決定した日が提出期限です。 

納税管理人として認められた方が、通常の確定申告の時期(2月16日から3月15日)に申告手続きを行う形となります。

まとめ

ここまで、個人事業主の住所変更に関する次の項目を紹介してきました。

・住所変更した時の手続き
・個人事業主の住所変更に必要な届け出の詳細
・納税地が変わる場合に必要な届け出の詳細
・住所変更したときの確定申告の場所
・海外へ移転する場合

引越し前は荷物の梱包や不用品の処分など、業務以外の事柄に時間が割かれることが予想されます。
個人事業主の住所変更手続きは提出期限が定められているものが大半です。

  • Facebook
  • Twitter
  • note
新着案件情報を他の人より早くチェック!