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派遣で働くITエンジニアがキャリアアップを目指す為に必要なこと

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2017年02月08日

派遣社員と聞けば、近年急速に拡大している非正規雇用の代表格として、とかくネガティヴな印象を持たれがちです。

特に2008年に起こったリーマンショックでは、人員整理の矛先は派遣社員に集中したとされ、「派遣切り」という言葉は、翌年の流行語大賞にもノミネートされました。

まるで格差社会の象徴のように語られることの多い派遣社員は、まるで「蟹工船」の乗組員であるかのようにボロ雑巾のように働かされては無下に切り捨てられる「かわいそうな人たち」のレッテルを貼られていることも少なくありません。

雇用問題に関する国会答弁で政府を追及する国会議員の言葉の端々からも、こうした固定観念に囚われていることを感じ取ることができます。

どうも「派遣社員=かわいそうな人たち」という極端な思い込みと、上から目線のあからさまな同情、そして「こんなかわいそうな人たちを生み出す世の中=政府が悪い」という、

仕事に貴賤(きせん)なく誇りを持って働いている派遣社員からすれば非常に腹立たしい稚拙なロジックを持ち出しては国民の血税で運営されている国会を紛糾させているのです。

しかし、派遣社員は、全国に120万人はいるとされ、これは大分県の人口に匹敵し、その影響力は非常に大きなものとなっています。

もし、派遣社員を取り巻く環境が、こうしたレッテルと違わない劣悪なものだとしたら、「革命」とまではいかないまでも、世の中を動かし、政治を揺り動かす大きなムーブメントがいつ起こってもおかしくはありません。

しかし、派遣社員の人たちは、「現代のボリシェビキ」になるどころか、生活の糧を得るため、スキルアップのため、次の転職へ捲土重来を期して懸命に働いている場合がほとんどで、

無論正社員と比べれば条件や安定性に欠けるのは百も承知の上で、「働き方のひとつのスタイル」として受け入れているのが実情なのです。

派遣社員は「働き方のひとつのスタイル」

重ねがさね述べますが、必ずしも「派遣社員=かわいそうな人たち」ではないことを述べておきます。

過去には悪質な人材派遣業も存在したようですが、「悪事千里を走る」という諺(ことわざ)のとおり現在「悪事は光ファイバーを伝って瞬時に世界中を駆け巡る」時代、その多くは淘汰もしくは改善されています。

担当の職務は明確化され、勤怠もきちんと管理されており、有給休暇もしっかりと消化できます。

社会保険も完備され、書類に不備がなければ年末調整も滞りなくやってもらえます。

派遣社員であっても日々の業務を行う分には、派遣先の正社員と同じかそれ以上の手厚い待遇の中で働くことができ、ワーク・ライフ・バランスの取れた生活を送ることも十分可能なのです。

近年は正社員が辞めるたびに揉めごとの元になる「未払い残業代」の問題も派遣社員ならば会社によっては分単位できっちり払ってくれます。

なので、繁忙期には正社員の月の給料を上回ることも珍しくはありません。日本国憲法第25条に記された「健康で文化的な最低限度の生活」どころか、長期休暇を海外で過ごすために成田空港に集まる人の中に入るまとではいかなくても、さらに彩りを加えた生活を送ることもできるのです。

ですから正社員転職と比べて幾分ハードルが下がる上に、時間の融通が利きやすい派遣社員は、元に居た会社に産休や育児休暇制度が不十分なため、

結婚や出産で一時的に仕事を離れざるを得なかった女性が再び社会に出て、子育てと両立しながら家計を支えるために働く場としても機能しています。

特に当記事で注目したいのは、一度キャリアのレールから外れると再チャレンジへのハードルが極めて高いとされる日本社会にあって、派遣社員という働き方が、そのチャンスを手助けする機能を果たしているということです。

仕事の内容など実際に入社してみなければ分からないことも、いざ始まってみると自身が目指している仕事と全くかけ離れていたというケースも、多々あることでしょう。

だからと言って、ドロップアウトした人には非常に厳しい日本社会にあって多くの人は我慢をして働くのでしょうが、あまりに度が過ぎると心身ともに変調をきたす原因にもなりかねません。

ここで勇気を出して再チャレンジの決意をした人の受け皿のひとつが派遣社員と言う働き方なのです。

その理由は、勤務時間や勤務地の融通が利かせられる上に、業務経験を積みながら新たな道を目指すことができるので、スキルや経験値が上がるのに加え、生活の心配もしなくても良いというまさに再チャレンジを目指すのに絶好に環境が整っているのです。

キャリアアップを目指すなら「派遣社員」は期限を決めて働こう

ただ、更なるキャリアアップのために、捲土重来(けんどちょうらい)を期して派遣社員の道を選んだ人の中には、泥水をすする決意で選んだ道であるにも拘らず、

思いのほか快適な職場環境と「健康で文化的な最低限度の」生活を送るのには十分すぎる収入が得られるようになったがために当初の目的を見失ってしまう人も少なくないと言われています。

2016年以降は同じ職場、同じ部署で働けるのは最長でも3年。

新しい職種に携わって実務経験を積むのには十分な期間ですし、もちろん本人の心がけ次第ですが、新しい資格などに挑戦するための準備期間もきっちり確保できるはずです。

また、キャリアアップを目指すなら、派遣社員である期間を設けるべき理由は、派遣社員は正社員転職と比べるとハードルが比較的低く、大手や最先端の技術を扱う企業で働くこともでき、

その環境やエース級の社員の働きぶりを肌で感じ取ることができる反面、その立場がゆえに意志決定や経営に関するプロセスには一切関与することができません。

つまり、作業レベルの実務経験は積むことができますが、キャリアアップにあたって求められるヒューマンスキルは残念ながら身に付けるのは難しいのが現実なのです。

ですから当初、キャリアアップを目指して選択した派遣社員という立場は、その期間が長引くほどキャリアアップから遠ざかる事態も起こり得ることも肝に銘じてください。

加えて、派遣社員という雇用形態は、先の見えないこのご時世において、いざという時のための企業のリスク回避策の一環でもあります。

多くの企業は、バブル崩壊によって起こった「失われた20年」とも称される不況の中、生き延びるために涙を呑んでリストラを断行したトラウマが心の奥深くまで刻まれており、

正社員を大量に抱えることは、有事にあっては最大の倒産リスクとなることを身に染みるほど痛感しているのです。

したがって、真の実力を身に付け、キャリアアップを目指す人にとって派遣社員は決して「安住の地」ではない、してはいけないのです。

年齢を重ねれば、結婚や子育て、マイホームの購入や介護など多額のお金とエネルギーを要するライフイベントが目白押しでやってきます。

多くの場合、派遣社員のままこれらのイベントを迎えることは、財布事情が許してくれないでしょう。

また、比較的安定している特定派遣の場合も、年齢を重ねるほどに割安感が大きくなり、定年を迎えたとしても退職金は出ず、苦しい老後を強いられることは想像に難くありません。

派遣社員はあくまでキャリアアップの野心を叶えるために必要な「今を生きる糧」の選択肢の一つであると考えてください。

最後に確認して欲しいポイント

様々な事情で派遣社員を選択している人も多くいます。働き方の多様性を国が推奨している現在、派遣社員そのものを否定しているわけでは決してありません。

しかし、ITエンジニアとしてステップアップを図るために派遣社員の道を選んだとしたならば、自分自身で一定の期限を決めて「卒業」を目指さなくては、その夢は近付くどころか永遠に儚い夢で終わってしまうことでしょう。

派遣社員になれた時点で、派遣会社はあなたを見込んで、これまで途方もなく高い峰であったハイクラスのITエンジニアへの登山口まで連れて行ってくれたと言えるでしょう。これから頂上までの長く厳しい登山道を最後まで登りきるのか、山腹の茶屋で油を売り続けるのかはあなた次第なのです。

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