「人生100年時代」と言われる昨今、学びなおしの一環としても注目を集めるリスキリングには、eラーニングの活用がおすすめです。ITエンジニアを目指す人は、ウェブ学習サイトを活用したeラーニングで効率的にプログラミングスキルを習得しましょう。
ここでは、ITエンジニアを目指す人におすすめのウェブ学習サイトに関する次の項目をご紹介します。
・プログラミング学習にeラーニングを活用するメリットとデメリット
この記事が役に立つ方
・プログラミング学習でITエンジニアを目指す人
・リスキリングのためにプログラミングスキルを習得したい人
リスキリングとともに注目されるeラーニングの可能性
少子高齢化が進み、科学技術やIT・AI技術が日々進化を遂げるなか、私たちをとりまくビジネスモデルや求められるスキルも変化しています。変化が激しく先行きも不透明な時代にあって、昨今とくに注目を集めているのがリスキリングです。
まずは、近年注目を集めるリスキリングと、リスキリングの手段として効率的に学習できるeラーニングの可能性について見ていきましょう。
政府も推進するリスキリングとは
デジタルトランスフォーメーション(DX)が叫ばれ、人生100年時代と呼ばれる超高齢社会にあって、私たちが長く豊かに生きていくためには、新しいスキルを習得することが不可欠です。リスキリングは、企業のDX人材育成のためだけでなく、私たちが多様なスキルを身に付け、磨いていく必要性を問うものに他なりません。
経済産業省によると、リスキリングは以下のように定義づけられています。
新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること
参考:リスキリングとは―DX時代の人材戦略と世界の潮流|経済産業省
2020年に開催されたダボス会議では、「リスキリング革命」として「2030年までにより良い教育、技能、仕事を、10億人に提供できるようにする」という旨のイニシアチブが提唱されました。
参考:Reslilling Revolution|World Economic Forum
その内容は、解決が難しい課題を解決するためには私たち一人一人の意識改革こそが重要であり、リスキリングによって世界的な仕組みに変化を促すことで、未来の子どもたちや経済、社会に利益をもたらそうというものです。
このような流れを受け、政府は2022年、リスキリング支援のため今後5年間で1兆円を投じる旨の方針を示しています。
参考:リスキリング支援「5年で1兆円」 岸田首相が所信表明|日経新聞
eラーニングで効率的なリスキリングを実現
このようにリスキリングが注目されるなか、働きながら効率的に学ぶ手段として注目を集めているのがeラーニングです。パソコンやスマートフォン、タブレットなどとインターネットを利用して学ぶeラーニングは、忙しい日々のなかで学習を効果的・効率的に進めるための仕組みが備わっており、リスキリングとの親和性が高いことで注目されているのです。
eラーニングを活用したリスキリングの成功事例は国内外で見られ、今後はさらに活用する人が増えると予想されています。
プログラミング学習にeラーニングを活用するメリットとデメリット
ITエンジニアを目指す人がプログラミング学習を始める場合、基本的に「ソースコードを書く→実行する→修正する」という作業を繰り返し行うことで、少しずつスキルが身についていきます。独学でもスクールに通っても、学習の大半は一人で黙々と作業を進める工程です。自習なくしてプログラミング習得はあり得ません。
そのためプログラミング学習には、自分のペースで学習を進めるeラーニングの活用をおすすめします。これからプログラミング学習を始めてITエンジニアを目指すという人は、eラーニングで効率的なスキルの習得を目指しましょう。
eラーニングを活用したプログラミング学習にも、メリット・デメリットがあります。自分はそれらのメリットをどのように生かせるか、デメリットをどうやって乗り越えられるかをしっかりと見極めることが大切です。
eラーニングのメリット
eラーニングのメリットは、時間や場所、教材を自由に使える点です。デジタルだからこそ、ライフスタイルの一環として学びを取り入れられるところが魅力と言えます。
オンライン学習ができる
eラーニングは、パソコンやスマートフォン、タブレットなどの端末とインターネット環境さえあれば学習できるのがメリットです。
講習会やセミナーは開催場所や時間があらかじめ決まっているため、仕事や作業を中断して出向いたり時間を確保する必要があります。働きながら学習している人は、時間に追われて両立するのも難しいかもしれません。
しかしeラーニングはオンライン学習できるので、自分の都合のいいタイミングで始められます。短時間のコンテンツであれば通勤などのちょっとしたスキマ時間で学習できるため、効率がいいのです。
自分のペースで進められる
たとえば講習会やスクールの場合、学習するカリキュラムや期間はあらかじめ決まっています。受講者は定められたカリキュラムに従って進めるだけでスキルを習得できます。一方で、時間や期間に縛りがあるため、学習時間が限られている人には続けることが難しいかもしれません。
これに対してeラーニングはスケジュールが特に決まっていないので、自分のペースで自由に進められるのがメリットです。仕事が早く終わったときはいつもよりペースを速めて、忙しいときは少なめにするなど、自分の予定やコンディションに合わせて調整できます。
さらに、理解度が低かったコンテンツがあれば再度見直すなど学習の進捗に応じてペース配分を決められるため、質の高い学習が可能になります。
eラーニングのデメリット
プログラミング独学を始めても、9割の人が途中で挫折すると言われています。その理由は、一人で黙々と自習をこなしているうちにモチベーションを維持できなくなるというデメリットがあるからです。eラーニングにも、同様のことが言えます。
モチベーションの維持が難しい
eラーニングのデメリットは、自分でスケジュールやペースを守って学習を継続することの難しさにあります。ウェブ学習サイトにあるカリキュラムを黙々とこなしているうちに、やる気やモチベーションが低下していってしまうことが多いのです。
プログラミング学習を行う際には、モチベーションを維持するための手段を複数用意しておくことが大切です。具体的には、分からないことがあったとき相談サポートへ問い合わせをする、SNSなどを活用して悩みを共有できる仲間を作ったり、オンライン勉強会に参加するなどが挙げられます。学習中に困ったとき、「一人ぼっちにならない」環境を確保するのがポイントです。誰かに話したり悩みを共有することが、課題解決に繋がるかもしれません。
おすすめのウェブ学習サイト5選
ITエンジニアを目指してプログラミング学習におすすめのウェブ学習サイトを5つご紹介します。
ウェブ学習サイトを決定する際にチェックすべきポイントとしては、
・有料か無料か
・利用者の評判や口コミ
・目的に合った学習内容のカリキュラムがあるか
・継続して学習できそうか
・質問があった際や相談に対するサポートが設置されているか
・スマートフォンやタブレットでも学べるか
などがあります。
どれほど素晴らしいカリキュラムであっても、自分に合っていないものでは続けられないものですよね。プログラミング学習の基本は、とにかく「続ける」ことにあります。継続して繰り返し学び続けることで、実践で役立つスキルが身につくのです。そのためウェブ学習サイトを決める際には、「長く続けられるかどうか」をポイントに考えると判断しやすくなります。
Progate
ウェブ学習サイト名 |
|
特徴 |
・スライドを見ながら学習する |
有料プラン |
・1か月コース 月額1,490円(税込) |
学べること |
Webアプリ開発 |
アプリ対応 |
あり |
Progate(プロゲート)は、スライド学習によってプログラミングを学べるサービスです。
ブラウザ上でコードを書いて結果を確認するスタイルなので、環境構築の必要がなく、すぐにプログラミングを実践できます。直感的で分かりやすいスライド構成になっているため、プログラミング初心者でも身構えることなく進めていけるのが嬉しいところです。ただし、スライドの内容に関する質問サポートはないため、分からないことがあれば自分で調べる必要があります。
ドットインストール
ウェブ学習サイト名 |
|
特徴 |
・3分以内のレッスン動画を視聴して学習する |
有料プラン |
・プレミアム会員 月額1,080円(税込) |
学べること |
Webアプリ開発 |
アプリ対応 |
なし |
ドットインストールは、短時間の動画を見てプログラミングを学習する人気のウェブ学習サイトです。動画はスマートフォン対応しているので、スキマ時間に短時間でも学習ができます。有料会員になればサポートが受けられるほか、勉強会に参加することで学びを実践的なものに高められます。開発環境は基本的に自分で用意する必要がありますが、カリキュラムが充実しているため幅広い内容を学べます。
paizaラーニング
ウェブ学習サイト名 |
|
特徴 |
・3分のレッスン動画を見ながら学習する |
有料プラン |
・1か月プラン 1,078円 (税込) |
学べること |
Webアプリ開発 |
アプリ対応 |
なし |
paizaラーニングは、短時間動画を見ながら学習するウェブ学習サイトです。ブラウザ上でコードが書けるようになっているため環境構築の必要がなく、学習後は練習問題を解くことで応用力も鍛えられます。有料会員になればエンジニアへ質問できるほか、「プログラミングスキルチェック」を受けてスキルが認定されればスカウトが届き、転職も実現します。
Codecademy
ウェブ学習サイト名 |
|
特徴 |
・スライドを見ながら学習する |
有料プラン |
プラスプラン 月額17.49ドル |
学べること |
Python |
アプリ対応 |
あり |
Codecademy(コードアカデミー)は、190以上の国と地域で利用されているウェブ学習サイトです。環境構築をしなくてもすぐにプログラミングが始められますが、日本語に対応していないため、英語に慣れていない人は難しいかもしれません。世界中で利用されているため、学習できる内容が豊富で、Webアプリやゲームアプリはもちろん、ChatGPTなどの新技術に関するコースも用意されています。
Schoo
ウェブ学習サイト名 |
|
特徴 |
・生配信の動画を受講する |
有料プラン |
・7日間無料 |
学べること |
JavaScript |
アプリ対応 |
あり |
Schoo(スクー)とは、参加型生放送授業を提供するウェブ学習サイトです。生放送は365日毎日あり、すべて無料で参加できます。生放送授業のため時間に制約はありますが、授業中は先生に直接質問ができるスタイルなので、分からないことがあればすぐに確認できます。プログラミングだけでなくITエンジニアに必要な開発に関する授業も数多く開講されており、無料でも幅広いスキルを習得できます。
ウェブ学習サイトを利用する際の注意点
おすすめのウェブ学習サイトをご紹介しましたが、実際にプログラミング学習を行う際にはいくつかの注意点があります。学習を始めることは簡単でも、スキルを習得することは決して簡単ではないことを常に心に留めておきましょう。
コピペだけでは習得できない
プログラミングスキルを習得するためには、自分の頭で考えて、自分の手でコードを書くプロセスが不可欠です。サンプルコードをコピペして実行しただけでは、「分かったつもり」になっているだけにすぎません。
動画やスライドで学習したあとは、サンプルプログラムをもとに自分でコードを書くことが大切です。サンプルプログラムに改変を加えながら「なぜそうなるのか」を自分の手で確認し、正常に動かない場合には「どこが間違っているのか」までしっかり理解してから次へ進むようにしましょう。
自分に合った学習計画を立てる
仕事の忙しさやそのほかの予定などを考慮し、自分のスケジュール感に合った学習計画を立てましょう。無理に計画を詰め込みすぎてしまうと、モチベーションを維持できず挫折してしまうかもしれません。
実際に学習を始めてみたものの「これでは難しいかも」と感じた場合は、その都度リスケジュールを行うことも必要です。無理のない形で継続し、定期的に見直しを行うことで学習を長く続けられます。
他の学習サイトや書籍などを併用する
プログラミングを学べるツールにはさまざまなものがあるので、他の学習サイトや動画サイト、書籍なども併用して学習を進めましょう。一つの学習サイトだけにこだわってしまうと、途中でつまずいたときにモチベーションを保てなくなったり、挫折するリスクが高くなります。
分からないことがあった時には誰かに相談できるように、SNSなどを活用してプログラミングのつながりや仲間を作っておくのもおすすめです。
分からないことを放置しない
ウェブ学習サイトで分からないことが出てきた場合には、有料のサポートに質問して解決したり、コミュニティでメンターに質問するなど、一つ一つをしっかり理解したうえで先に進めましょう。「そのうち分かるだろう」と放置して先に進めてしまうと、分からない部分がだんだん膨らんで、挫折してしまうかもしれません。
質問できる相手がいなくて困っている場合には、「 などのITエンジニア向け質問サイトを活用してみましょう。
学習しながらポートフォリオを作成する
せっかくプログラミング学習をしても、成果がなければ転職などの際には役立ちません。ウェブ学習サイトで学習を進めながら、あるいは学習が終わったタイミングで、知識やスキルの成果となるポートフォリオを作成しましょう。
ポートフォリオは、誰にでも簡単に作れるような初心者レベルのものではなく、商品化できるほど精度の高いものである必要があります。ポートフォリオによって知識やスキルを認められれば、即戦力として異動や転職の際に有利になるのです。
まとめ
人生100年時代、企業がDXを進める中で注目されるリスキリングには、オンライン学習できるeラーニングの活用がおすすめです。とくにプログラミング学習は、ウェブ学習サイトを使ったeラーニングによって学習を効率的に進められます。
ITエンジニアを目指してプログラミング学習を始める人におすすめのウェブ学習サイトとして、「Progate」「ドットインストール」「paizaラーニング」「Codecademy」「Schoo」の5つがあります。この記事を参考に、自分の学習スタイルに合ったウェブ学習サイトを見つけてみてくださいね。
また学習を進める際には、自分に合った学習計画を立てたうえで、スキマ時間などをうまく活用して効率的に進めましょう。学習と並行してポートフォリオを作成することで実績にもなり、転職やフリーランス独立の際に役立ちます。