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【エンベデッドシステムとは?】特徴や資格試験に関して幅広く解説

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2022年06月06日

近年、我々の生活を便利にするモノとしてスマート家電やドローンカメラ等のIoT製品があります。これらの製品を実用化する際に最も重要な役割を担っているのがエンベデッドシステムです。
しかしながら、「エンベデッドシステムとは何?」、「エンベデッドシステムはどんな技術なの?」と言う声を良く聞きます。そこでこの記事ではエンベデッドシステムの概要から特徴や関連の資格試験までをしっかりと解説します。

エンベデッドシステムとは?

エンベデッドシステムとは日本語にすると「組み込みシステム」のことです。
簡単に説明すると「製品に内蔵された特定の用途に特化したコンピュータシステム」となります。
世間ではあまり知られていませんが、エンベデッドシステムは家電、産業機器、自動車等の様々な分野で使われています。
近年ではIoT製品で採用されるようになり、エンベデッドシステムに進化をもたらしました。

日常生活で活躍するエンベデッドシステム

我々の日常生活を便利にするエンベデッドシステムですが、どんな仕組みなのでしょうか。次に仕組みについて簡単に説明します。
例えば洗濯機には小型のコンピュータが内蔵されています。
このコンピュータには予めプログラムが記録されており、「一定量の水が溜まったら5分間ドラムを回す」や「洗濯物の片寄りを検知したら緊急停止し、メッセージを表示する」等を機内に指示して洗濯機を制御します。
このように毎日使う洗濯機にも高度な機能を持ったエンベデッドシステムが動作して皆さんの生活を支えています。

エンベデッドシステムの特徴

ここではエンベデッドシステムの特徴を3つに絞ってご説明します。

高度な専門性を有する人材が必要

エンベデッドシステムを設計するエンジニアはソフトウェアの知識やスキルだけでなく、ハードウェアのスキルを兼ね備えてなくてはなりません。多くの場合、完成機器に使われる部品のコストダウンが要求されているため、コストに見合ったロジック回路の設計も担当します。このため、高度な専門性を有するエンジニアでないと務まりません。

絶対的な信頼性が必須

多くの業界で活用されているエンベデッドシステムですが、全ての業界に共通するルールがあります。
それは、製品に内蔵するエンベデッドシステムには絶対的な信頼性が必要不可欠です。
なぜなら、万一、リコールが発生した場合、不良品回収に伴う不具合コストだけで無く、メーカーのブランド力失墜による売上低下が発生するためです。

リアルタイムな応答が要求される

エンベデッドシステムではリアルタイムな応答が要求されます。
例えば炊飯器の場合、スイッチを押したら炊飯を開始してご飯が炊き上がった後、ブザーにて炊き上がりを知らせるという動作プログラムが組み込まれています。
この動作順序は絶対的なものであり、ご飯が炊き上がる前にブザーが鳴ることは許されません。
つまり、各動作は遅延することなくリアルタイムに動作することがエンベデッドシステムに求められているということです。

エンベデッドシステムスペシャリスト試験とは?

エンベデッドシステムを開発するエンジニアは高度な専門性が要求されます。
そこで該当領域のエンジニアを目指す方に向けて創設された国家試験が「エンベデッドシステムスペシャリスト試験」です。
ここでは本試験の概要と出題範囲、科目免除のルールについてご説明します。

資格試験の概要

本試験は情報処理技術者試験のカテゴリーに属します。このカテゴリーには全部で13種類の試験があります。
この中で本試験は難易度が最も高い「レベル4」に分類されています。
この試験の特徴はソフトウェアに加えてハードウェアの知識も要求されます。
試験日は年1回の開催で、試験科目は以下の4つです。
・午前I(試験時間は50分、出題形式は多岐選択式)
・午前Il(試験時間は40分、出題形式は多岐選択式)
・午後l(試験時間は90分、出題形式は記述式)
・午後ll(試験時間は120分、出題形式は記述式)
気になる合格率は例年15・17%で難関試験であることは間違いありません。

本試験の出題範囲

本試験の出題範囲は以下に示す6項目です。試験にはこれらの項目に対する知識や技能が要求されます。
1.組込みシステムの機能要件把握
2.組込みシステムの設計・開発
3.組込みシステムのソフトウェア設計・製造
4.組込みシステムのハードウェア設計・製造
5.システム評価
6.保守

本試験の科目免除ルール

次に本試験の科目免除ルールをご説明します。
下記の試験に合格あるいは基準点に到達していれば本試験の「午前l」は2年間科目免除となります。
・応用情報技術者試験に合格
・いずれかの高度情報処理技術者試験に合格
・情報処理安全確保支援士試験に合格
・いずれかの高度情報処理技術者試験の午前Iで基準点以上
・情報処理安全確保支援士試験の午前Iで基準点以上

資格試験取得のメリット

ここでは本試験取得のメリットを3つご説明します。

将来性が高い

エンベデッドシステムはIoT市場の拡大により、様々な分野で需要が急増しています。このような環境の中で該当スキルを持つエンジニアは少ないため、市場での希少価値が高く引く手あまたな状況が続いています。
調査会社IDC JapanによるとIoT市場は2025年度までに年10%成長が見込まれており、本資格取得者は将来性が高いと言えます。

転職で有利である

エンベデッドエンジニアはITエンジニアの中で最も幅広い業界で活躍しています。主に家電、自動車、医療、工作機械、小売等で業務効率向上に貢献するエンジニアとして市場ニーズは高いです。従って本資格取得者は転職で有利です。

幅広い知識を習得することができる

本資格試験の出題範囲はハードウェアとソフトウェアの設計・製造に加えてシステム評価や保守等までの知識が要求されます。
従いまして試験勉強を通じて自立したエンべデットエンジニアとしての幅広い知識を習得することができます。
特に暗号化やサイバー攻撃等のセキュリティー技術はエンジニアとして必須な知識ですので体系的に学びましょう。

エンベデッドエンジニアの需要が高い理由

ここではエンベデッドエンジニアの需要が高い理由を2つご説明します。

エンジニアの絶対数が少ない

エンベデッドエンジニアはソフトウェアとハードウェアの両方のスキルを保持していなくてはなりません。更に最近ではセキュリティースキルも要求されることもあります。しかしながらこれらの全てのスキル持つ高度なエンジニアの絶対数が少ないため、必然的に需要が高くなっています。

IoT市場の急拡大が進んだ

近年、インターネットで繋がるIoT製品が増加しています。この背景には少子高齢化の影響で労働力不足が挙げられます。この結果、様々な業界でIoT製品の開発が進むようになりました。そしてこれらの製品を実用化するため、多くのエンベデッドエンジニアが求められています。

先端技術の製品化で適任者である

AI(人工知能)やビックデータ等の先端技術では単一の専門性だけでなく、マルチな専門性を持つエンジニアが求められています。この背景として先端技術の製品化ではソフトとハードの融合ができるエンジニアが能力を発揮します。従ってこのようなケースで適任なエンベデッドエンジニアが重宝されています。

まとめ

この記事ではエンベデッドシステムの概要から特徴や資格試験までを解説して来ました。エンベデッドシステムは、IoT市場の拡大によっての需要が増加しています。
一方で市場の急拡大に対してエンべデッドシステムを扱えるエンジニアは少なく、エンジニアの育成が急務です。
言い換えるとエンべデットエンジニアはITエンジニアの中でも有望な職種ということになります。

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