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フリーランス、法人化のメリットとデメリット

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2017年05月16日

※2015年9月25日の記事を再構成(文言の追加)をして、2017年度版として作成したものです。

フリーランスとして仕事をいただき、事業が軌道に乗り、それなりに収入が得られるようになると、事業の法人化を検討する人も少なくないでしょう。

法人化し、会社を設立すればそれだけで得られるメリットがあるからです。それに2006年に施行された新会社法により、それまでは最低資本金が特例を除き株式会社で1000万円、有限会社で300万円必要でしたが、現在では1円以上であればいくらでも構わないので、会社設立をしたいけれど資本がなく、融資も受けられないからといって会社設立を諦める必要がなくなりました。

ですから現在フリーランスとして活動していて、それなりに事業が上手くいっているなら、ぜひ法人化も検討してみてはいかがでしょうか。日本の起業率は欧米諸国に比べるとまだまだ低いので、起業が活発になるだけで社会全体の活性化にも繋がるからです。

ただし、簡単に法人化できるようになったからといって、あまりにも無計画に法人化してしまうと、会社の運営方法について無知なまま経営をしなければならなくなり、きっと思わぬところで足を掬われてしまうでしょう。何事もタイミングが重要で、それは法人化についても同様です。

では、一体どのようなときに法人化するべきなのでしょうか。

まず法人化のメリットを把握する

法人化にはフリーランスに比べてどのようなメリットがあるのでしょうか。まずは法人化によって得られるメリットを十分に把握していないと、法人化をするタイミングすら見計らうことができません。

そこまで規模の大きくない法人を設立することのメリットは大きく2つあります。

  • 収入が多くなってもその分節税が可能
  • 社会保険への加入が可能
  • 法人格という社会的信頼度

この3つだけでも法人化した方がフリーランスにとってメリットがあることが実感できるのではありませんか。3つのメリットについて詳しく知れば、事業を法人化するべきタイミングが自然と理解できます。

収入が増えると法人化した方が節税対策になる

フリーランスは法人ではなく個人事業主ですから、仕組みそのものが大規模な事業には対応していません。ですから事業から得られる収入が多くなると、節税効果が小さくなってしまうのです。

例えば、フリーランスの所得税は収入に応じて税率が変動します。195万円以下なら5%ですが、695万円以上900万円以下ならば23%、900万円以上1800万円以下ならば33%、4000万円以上なら45%とどんどん負担割合が増えます。

しかし法人化すれば、支払う税金は法人税になり、法人税の場合最高でも23.9%で、900万円以上収入があるのなら、法人化した方が収入に対する税金の負担割合が小さいことが分かります。

よく年収が1000万円を超えると法人化した方がいいといわれますが、個人事業主と法人の税負担の違いに大きな原因があります。

また、給料や退職金の経費申請ができるのも大きなメリットです。フリーランスの場合、収入は経費として認められません。必要経費をいくら申請し認められても、収入そのものが多ければその分収入に応じた税金がかかります。

ですが法人化すれば収入を経費申請することが認められているので、その分税金が少なくなりますよね。

フリーランスでは不可能な社会保険への加入が可能

フリーランスは国民年金や国民保険なら加入できるものの、それだけでは会社員のように社会保険を掛けている人に比べると老後にもらえるお金が少ないので、将来に不安を感じる事もあるでしょう。

しかし法人化すると、会社員と同様に法人設立者本人も厚生年金や健康保険への加入が可能なのです。国民年金だと受け取れる年金額は満額でも月に6万円程度ですが、厚生年金ならば平均で月に14万円程度もらえます。倍以上金額が違うので、将来のことを考えれば社会保険があるのは大きいと思います。

フリーランスよりも法人の方が信頼度が高い

フリーランスというのはあくまでも個人事業主ですから、余程知名度のある方でない限りはどうしても信頼度が低くなってしまいます。有名企業に勤めてさえいれば特に何もしていなくても、ある程度の信頼がある世の中ですから、当然といえば当然です。SNS全盛の時代、個人でもネット上でアクティブに活動し、知名度をあげることに成功している人もいますが、それぐらいセルフプロモーションに長けている人でも、フリーランスから法人に替える人もいます。

また、法人になれば、たとえ規模が小さくてもひとつの会社として見做しますから、個人事業主のフリーランスに比べ、その信頼度は大きくなるでしょう。大きな仕事を獲得する際の選考時に、法人化していることが有利に働くかもしれません。

ですから税金や保険のみならず、大きな仕事をしようと思ったら法人化した方が絶対にプラスになります。たとえ今は法人設立ができるような状態じゃなくても、将来的に規模の大きな事業をしてみたい方は、ぜひ法人化を視野に入れておいてください。

法人化のデメリットとは

デメリットはどうでしょうか。法人化する際の登記費用はもちろんのこと、法人税や社会保険料など法人であるがゆえに支払わなければならない年間コストが増額します。法人税はフリーランス時代の所得税よりもかなり割安ですが、社会保険料は当人だけでなく従業員も加入させなければならず、半額は会社の負担となりますので経営が安定するまでは重くのしかかることもあるようです。

また、法人住民税は、会社が赤字でも支払わなくてはならない税金で、毎年7万円ほどかかります。その他、通信業者などとの契約は法人契約に切り替えると利用料が割高になることがあります。

さらに、フリーランス時代にも確定申告の時期になると山のように積み重なった領収書の束に愕然とする人も少なくありませんが、法人化するならば決算書を作成しなければいけませんので、複式簿記による会社処理の知識は必須です。

中には税理士や公認会計士に丸投げする人もいるらしいですが、報酬も高額ですし、法人化して間もないうちは経営者として必須の会計知識を身に付けるためにもある程度は自力でできるようになっておくべきでしょう。

法人化するタイミングは慎重に

法人化するメリットを挙げると、すぐにでも法人化した方がいいのではないかと思えてきます。特に社会保険への加入など、あまり収入のない人でも法人化に魅力を感じるのではありませんか。

しかし、上記でも述べているように、収入がある程度なければ特にメリットがないばかりか、むしろデメリットの方が多いでしょう。

現在では1円起業が可能なものの、起業を行い法人化するには登録免許税などがかかり、最低でも15万円くらいはかかりますから、あまり収入がない人がお手軽に行えることではありません。

それに創業融資などを考慮すると、資本金が少ないと信頼性が低いので、融資を受けるのが困難なケースもあります。結果、必要な資金が集まらず、倒産するリスクもあるわけです。

資本金が少なくても起業したい場合は、あまり元手がなくてもできるビジネスに限定するべきで、そういう意味ではITエンジニアは適しているといえます。自分の技術力が商売道具ですし、元手はあまりかからないことがほとんどですから、小額の資本金での起業には向いています。

いずれにしても自分で事業計画を立て、じっくりと考えてから法人化するようにして下さい。

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