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ITフリーランスなら知っておきたい「経費になるもの」「経費NGのもの」

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2017年02月08日

会社勤めをしていると、税金の管理は経理部(または総務)など担当部署が行ってくれるでしょうが、フリーランスのITエンジニアなどになると毎年必ず確定申告を行わなくてはなりません。その際、誰しもが領収書を見ながら「これ、経費として落とせるのかな?」と悩んだことがあるのではないでしょうか。

確定申告では、必要経費を計上して申請し、経費が多くなればそのぶん税額を低くしてもらえます。そうなれば、できるだけ多くの経費を認めてもらったほうがトクと考えがちですが、当然ながら何でもかんでも経費として認められることはないのです。いったい何が経費としてOKで、何がNGとなるのでしょうか。

経費は事業を行うために必要な費用のこと

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まずは、経費とは何かをしっかりと理解しておく必要があります。経費とは、一言でいえば「事業を行うために必要だった費用」。仕事をする上でどうしても欠かせない支出です。 

例えば、フリーランサーが自宅でパソコンを使って仕事をした場合、家の光熱費は仕事に必要なものとなります。また家賃も、その家がなければ仕事ができないため、これも経費として認められます。さらには、和菓子を購入した場合でも、自分がテレビを見ながら食べる場合はNGですが、大事なお客様への手土産となれば仕事に必要な経費です。 

このように、仕事をするために必要不可欠、ないし、それがあれば仕事をスムーズに行えるための費用は経費にあてはまると考えていいのです。確定申告では、総収入から経費や各種控除を差し引いた「所得」に対してどれだけの税金がかかるのかを申告するもの。ポイントは、総収入に対して税金がかかるわけではないというところです。

 であれば「経費が多くなればなるほど、税金が少なくなるということ?」と思われるでしょう。その通りです。しかし、収入に対して、あまりに経費の額が多いと税務署としても「おかしい」と考えるのは当然ですので、闇雲に経費計上するのもよくないのです。

経費として認められる項目はどんなものか

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経費と確定申告の概要がわかったところで、今度は「実際、どんな項目が経費に該当するのか」ということ。事業によって多少異なる場合もありますので、国税庁のホームページからダウンロードできる所得税青色申告決算書から、自分の業種に関係のある項目を見ていきましょう(経費項目は白色、青色両申告とも同じ)。

今回は、ひとつの想定として「自宅で作業をしているフリーランスのシステムエンジニア」を例に挙げます。

水道光熱費

あくまでも仕事で使っている分を計上します。もちろん一日の作業量を明確に切り分けるのは難しいですが、おおよその目安として50%を超えるのは不自然だと判断されやすいものです。最初にパーセンテージを決めておいて、一律に機械的に計算するのが一般的です。 

ちなみに、以降の家賃や通信費などにも関係しますが、仕事に使った分の計算をすることを「按分(あんぶん)」といいます。

地代家賃

仕事をする自宅が賃貸物件である場合、家賃の中から按分をすることができます。按分の計算方法は、一般的には床面積から仕事部屋の割合を出すのが一般的。これも厳密なものではなく、実際の生活環境から大きくかけ離れていなければ大丈夫です。 

もし自宅が持ち家だったり分譲マンションなどの場合は、減価償却費、管理費、借入利息、固定資産税も経費として申請できるようになってきます。

通信費

電話代、インターネットの通信費用、書類などを送付した際の郵便費用などは通信費という項目で申告できます。ただし、これも按分の必要があります。

インターネットや携帯電話などは、プライベートと仕事両方で使うものだからです。按分の比率を厳密に計算するのは難しいので、おおまかに計算して比率を出せればOKです。

広告宣伝費

基本的には自分のPRをするためのツールに使った経費ということになります。もちろん個人事業でテレビCMや新聞広告を使うことはないでしょうが、集客のためにサイトを作ったその管理費や、顧客に渡す名刺などはブランディングに必要な費用として、この広告宣伝費として考えても差し支えありません。

また仕事用のプロフィールを作成する際のポートフォリオ制作費や、年賀状や暑中見舞いの費用も、仕事における人的つながりを生み出したり保護したりする目的と言えますので認められます。

旅費交通費

これは基本的に移動に関する経費と考えましょう。打ち合わせ、視察旅行、客先への出張などに必要な移動費を経費にできます。公共交通機関を使用する場合は、いちいち領収書をとるのが大変でしょうが、ICカードを使用してチャージの際に領収書をとるようにしておけばよいでしょう。ただし、ICカードでプライベートな使い方をした場合は該当しません。

たとえばキヨスクでお茶を買い、ICカードで支払った場合は経費とは言えません。証明するために、利用内容の履歴を定期的に印字して、領収書と一緒に保管しておくことをお勧めします。

なお車やバイクで移動している場合は、ガソリン代、高速代、移動先での有料パーキング代などを経費として申請できます。

外注工賃

外注として、誰かに仕事を手伝ってもらった場合は、この項目が該当します。またひとつの仕事を数人でシェアした場合も同様です。

ただし、この外注工賃を申請する際、ひとつだけ気をつけなくてはいけない重要なことがあります。外注するとき、源泉徴収税をどう扱うかです。

源泉徴収義務は仕事を発注する側にありますので、支払いをする際、自分が源泉徴収税を引いた額を個人に支払うのかを事前に受注側と取り決めて支払わなければいけません。

接待交際費

たとえば仕事上で必要な打ち合わせを喫茶店で行ったり、顧客主催の忘年会に参加したりしたら、仕事の延長線上で飲食費がかかってきます。こういうケースは経費計上が可能です。

ただし、この接待交際費は、プライベートな飲み会での領収書なども適用しやすいため、とかく不正が行われがちで税務署の目も光っています。申請時は申請できたとしても、税務調査が入ったときに厳しい追及があることもあります。

領収書には日付や店名が書かれていますが、出席者の名前や関係性なども控えておくと、税務調査で戸惑うことはないでしょう。

消耗品費

業務上必要な消耗品が該当し、身近な例で言えば、プリンターのインクやコピー用紙、仕事で使う文房具類などです。エンジニアなら金額が数千円のキーボードやマウスなども消耗品に入るでしょう。

減価償却費

言葉からはピンとこない人もいるかもしれませんが、簡単に言えば耐用年数に応じて分割して申請できる経費のことです。

たとえば10万円でパソコンを購入したとします。パソコンを1年で買い替える例はなかなかありませんので、長期間使用する機材として、この項目にあてはめるのです。耐用年数は、パソコンであれば4年、車であれば6年と決められていますので、購入価格をその年数で割り、毎年割った金額を計上していきます。

10万円のパソコンであれば、4で割ると2万5000円が1年での申請可能金額になります。

ちなみにデジカメなどのツールも10万円以上であれば減価償却の対象になります。未満の場合は消耗品の扱いになります。

青色申告制度を利用している場合は、30万円以下であれば少額減価償却資産という制度が適用され、購入したその年に全額申請することができるようになります。

雑費

上記のさまざまな経費に該当しないものについては、雑費の扱いにすることが多くあります。

たとえば、プリンターやスキャナーなどの設備費用、パソコンにインストールするソフトの費用、勉強のために必要な書籍購入費用、資格取得のための講義・セミナー受講費用、各種組合への参加費用などは雑費として計上できます。

ただし、項目を立てられるものは決算書に項目立てて書き込む方がよいので、設備費、資料代などは極力雑費にはしないほうがいいでしょう。

雑費もグレーゾーンが多くなりがちな項目ですので、この項目があまりに多いと、税務署からの指摘が入る場合もあります。

経費として認められない項目はどんなものか

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一方で、経費として認められないことが明確にわかっている費用もあります。端的に言えば、「仕事に関係のない支出」「納税した金額」「所得控除となる項目」。

たとえば趣味でフットサルをしに行った場合のフットサル場レンタル代などは、どう考えても仕事とはつながりません。

また所得税や住民税は、納税義務に従うものですので、経費支出としては認められません。国民健康保険、国民年金などの公的社会保障、生命保険、損害保険などは経費計上ができず、所得控除の対象となります。

とはいえ経費として認められるのかどうか、グレーなものも数多くあります。そうしたものは個々の業務内容に合わせてひとつひとつ判断をしなくてはいけませんが、次によく迷いがちなグレーゾーン例を挙げてみましょう。

グレーゾーンにありがちな項目

  • スーツ代……仕事として着用するもののみ消耗品費や雑費(衣装費)としてOK。
  • 引っ越し代……仕事用だけで利用しているオフィスなら経費計上可能。自宅兼仕事場の場合は按分が必要(礼金と原状回復費は経費OK、敷金はNG)。
  • 冠婚葬祭費用……仕事の関係者であれば祝儀や香典は接待交際費として計上可能。
  • 自動車税、車検費用……仕事とプライベートの按分によって計上可能。自動車税は租税公課、車検費用は修繕費(支払手数料、雑費)という項目に振り分けます。
  • 家電製品、家具……按分の上、消耗品費として計上可能。

まとめ

このように、「経費になるもの」「経費NGのもの」について紹介してきましたが、明確に判別できるものとできないものがあります。

また按分の割合なども最初のうちはわかりにくいものです。そのような場合は、税務署や市町村役場の確定申告担当部署に尋ねるのがよいでしょう。

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