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政府が進めようとしているフリーランス保護策とは?

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2018年10月22日

本年、「政府がフリーランスに対して最低報酬を確保するように、労働法で保護することを検討している」といった内容が報道されました。働き方改革の一環として、フリーランスについても推進しようとしている中で、まだまだフリーランスの立場は弱いのが現状です。

今、政府は法整備などフリーランス保護のためにどういったことを進めようとしているのでしょうか。

政府が進めようとしているフリーランス保護とは

フリーランスだって助けられたい。

フリーランスという働き方を選ぼうとしても、やはり会社員に比べて立場が弱いことは否めません。それを解消する手段の一つとして法整備はと不可欠です。

法的に弱い立場にあるフリーランス

「フリーランスは立場が弱い」とは、よく議論される内容ですが、具体的にどのような点で弱いのでしょうか。ここでは、法制度の観点から考えてみましょう。

法的に弱い立場にあるという最も大きな理由は、「労働基準法が適用されない」ことです。労働基準法といえば、概ねすべての労働者に適用される法律ですが、なぜフリーランスには適用されないのでしょうか。

労働基準法9条に、労働者の定義として

「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所(以下「事業」という。)に使用される者で、賃金を支払われる者をいう

と書かれています。つまり、個人事業主であり、賃金を支払われないフリーランスは「労働基準法上の労働者とみなされない」のです。

これは、フリーランスには「賃金や労働時間などの最低水準が存在しない。」ということにつながります。そうすると、どういうことになるでしょうか。

  • 最低賃金を下回る安い報酬で働かせても違法ではない
  • 際限なく働かせることができる
  • 個人事業主は、自分の裁量で仕事を受注しているため、過労になっても自己責任

などなど。

これでは、フリーランスの立場を守ることはできませんね。

政府が進めようとしている法整備とは

法の番人

労働基準法の適用外であるということからくるフリーランスの問題は、「働き方改革」の一環として、フリーランスという働き方の促進をする政府にとっても大きな課題であると認識されています。

2018年2月の日本経済新聞の報道では、「不安定な立場のフリーランスに対して、政府が労働基準法の対象にする検討に入った」ということが書かれています。また、毎日新聞の記事でも、「公正取引委員会の見解として、企業からフリーランスへの不利な条件の押し付けが独占禁止法違反にあたる」との内容が示されています。

こういったことを踏まえて、政府が検討しているフリーランス保護のための法整備とは、大きく以下に集約されます。

<労働法の対象に>

  • 契約内容を明確にし、不透明でフリーランスに不利となる契約ができないようにする
  • 最低報酬を業務ごとに設定し、フリーランスが不当に不利な条件で仕事をすることがないようにする

<独占禁止法の保護対象に>

  • 企業側が優位な立場を利用して、他の仕事を受けないように強要するといったことがないようにする

多様な働き方を進めようとする政府の方針を実現するためには、やはりこういった法整備が欠かせません。

法整備に関する懸念点も

いい事づくしの法整備ですが、一部のフリーランスからは、労働法の対象になった場合「最低報酬が決められたら、その報酬だけ払えばよい、という風潮になってしまうのでは」という懸念も出ていました。

働きながら営業活動も行い、自分のスキルや経験を対価に替えるのがフリーランスの根本ですから、それを考えると消極的な意見ではありますが、現在でも一つの会社に抱え込まれる形で、厳しい条件で契約しているフリーランスがいることを考えると、そういう意見が出ても不思議ではありません。

ちょうど自分の働き方を見直すいい機会ですので、自分に不利な契約条件となっていないか、契約内容と実態が合っているかを再度確認してみると良いでしょう。

まとめ

「働き方改革」の一つとして、政府でもフリーランスという働き方を推進しています。しかし、フリーランスのデメリットの一つに「立場が弱い」ということがあります。皆さんも感じていると思いますが、「仕事の単価が安い」「クライアントが無理難題を言う」などといったことは結構あるのではないでしょうか。

こういった問題に対して政府も、これまでフリーランスが対象外であった労働法や独占禁止法の適用対象にすることを検討しています。政府が検討している内容としては、「業務ごとの最低報酬の設定」「契約内容の明確化」「不当な契約や強要の防止」などの内容が含まれます。

フリーランスという働き方を推進していくにあたって、働く人を守る法制度は不可欠です。政府がすすめる法整備によって、フリーランスが働きやすい環境が整えられていくことを期待しましょう。既にフリーランスとして長く働いている人には、自分の働き方を見直す良い機会です。

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