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ゲームテスターとはどんな職業?その仕事内容や年収、必要なスキルを解説

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2022年06月21日

ゲームテスターという職業をご存じでしょうか? 仕事内容は、ただ、ひたすらゲームをするだけです。ゲームが好きな方なら「え? それが仕事になるの?」と驚かれるかもしれません。実際にゲーム開発会社では今も多くのゲームテスターが一日中、発売前のゲームをプレイしています。それがゲームテスターの仕事であり、ゲームテスターがいないとゲーム開発は不可能なのです。ここでは、そんな、ちょっと変わった仕事であるゲームテスターについて詳しく述べてみたいと思います。

ゲームテスターとは

ゲームテスターの仕事は発売前のゲームをプレイして、正常にプレイできるか、ボタンやタッチは正常に操作できるか、その他、何らかの不具合やバグがないか、をチェックするのが仕事です。
「デバッガー」「デバッグテスト」「アプリテスト」「アプリテスター」などと呼ばれることもありますが、一般的にゲーム専用機でプレイするゲームは「デバッガー」「デバッグテスト」、スマホでプレイするオンラインゲームの場合は「アプリテスト」「アプリテスター」と呼ばれることが多いです。

必ずしも正社員とは限らず、契約社員、アルバイトで募集されていることも多いです。しかしゲームテスターの仕事は非常に重要で、ゲーム開発会社は常に多数のゲームテスターを必要としています。なぜなら神ならぬ人間の作ったものには必ず「間違い」「見落とし」「勘違い」があるからです。
そして、それを発見するのがゲームテスターの仕事だからです。つまり開発したゲームを高品質に仕上げるためにゲームテスターは絶対に必要な存在なのです。しかし一人の人間にできることには限界があります。ですので「多数のゲームテスター」が必要とされているのです。

ゲームテスターの仕事内容

ゲームテスターはゲームディレクター、或いはゲームプロデューサー、ゲームプランナーの指示書に従ってゲームをプレイしますが、一応、決まった手順があります。

最初は動作確認

まず全てのゲームに共通するテストとして、「操作がちゃんと行えるか」というのがあります。コントローラーの各種ボタン、スマホであればタッチパネル上の各種機能が想定通りに使えるかどうか、というテストです。これがNGだとテストそのものができませんので最初は必ず、電源をオンにする所から開始して、一通りの動作確認からチェックします。

指示書に従ってプレイする

動作確認が終わったら指示書に従ってゲームをプレイして画面表示、操作具合、サウンドなどをチェックします。またロールプレイングゲームの場合には決められたストーリー通りに展開していくか、などをプレイしながらチェックします。もし、おかしな所を発見したら「どういう状態で何をしたら、何が起こった」という記録を付けていきます。この記録がゲームテスターの「成果物」であり、ゲーム開発会社が求めているものなのです。

ですので、記録はできるだけ詳細に書き止めていきます。まだ発売前のゲームは「何等かの不具合は必ずある」と思って間違いありません。その不具合を出来るだけ多く見つけ出すのが仕事なのです。ですので、指示書に書いてあることはもちろんのこと、書いていない内容であっても「こうしたら、どうなるんだろう?」と思うことがあれば、どんどん試してみるのが「良いゲームテスター」です。では、どんな所に気を付けて行けばよいのか数点、列挙してみましょう。

行動範囲の確認

どんなゲームにも行動可能範囲というものがあります。つまり「行ける所」と「行けない所」があるのです。例えばロールプレイングゲームでは岩や建物は「行けない所」です。しかし往々にして「行けない所」に行けてしまうケースがあります。例えば「岩があるのにスルー出来た」とか「ドアで無い場所から建物に入れた」などです。アクション系のゲームでも「進路から外れたのに何も起きなかった」「相手に完全にやられたのに、そのまま続行できた」などです。こういった現象はプログラムのミスによる物なので完全な不具合です。しかし、指示書には、それをやれ、とは書いていないことがほとんどです。つまり、こういったテストはゲームテスターの判断にかかっているのです。

主人公の行動確認

ロールプレイングゲームの主人公はゲームの中心人物です。アクションゲームの場合はプレイヤーが主人公です。その主人公が「やりたいこと」がちゃんとできるか、という確認です。例えば「店に行って何かを買う」「宿で宿泊する」「右へ曲がる」「来た道を戻ってみる」「何もない場面でAボタン、Bボタンを押してみる」などです。例え指示書には書いてなくても、こういったことをやってみるのです。案外に「何でもないところでBボタンを押したらフリーズした」とか「来た道を戻ってみたら前の風景と違っていた」などの現象は起こりがちなものです。

一度、電源を切ってまた入れてみる

近年のゲームは、ほぼ100%が電源がいきなり切れても「プレイ中の状態」が自動保存されます。プログラムも当然、そうなっているのですが、場所やシーン(例えば戦っている時など)によっては自動保存されないケースがあります。この場合、ゲームの仕様にもよるのですが、一応、不具合として報告を上げておくべきものです。実際にプレイヤーにとって不利な状況が発生した時に「リセット」することで難を逃れようとするプレイヤーもいます。その行為を認めるかどうかはゲームの仕様次第ですが「認めない」というケースがほとんどですのでテストしてみるべきものなのです。

文字セリフ、音声、BGM、効果音の確認

ゲームに集中していると、案外に見逃してしまうのが、これらの確認です。文字のセリフは誤字脱字がないか、そもそも妥当な内容か、タイミング的に妥当か、などをチェックします。音声、BGM、効果音も流れるべきところで流れているかをチェックします。その音声を発しているキャラクターと音声の内容は一致しているか、BGMの音量は適切か、流れるタイミング、止まるタイミングは適切か、をチェックします。これらはゲームの進行には関係ないことも多いのですが、だからといって放っておいて良いものではありません。見つけたら報告を上げるべきものです。

報告を上げた不具合が直っているか確認する

不具合の報告を上げて暫くすると修正版が送られてきますので、不具合が治っているかどうかを確認し報告を上げます。この時に「前回、不具合が起きた時と同じ条件」にしなければなりません。ですので、不具合を発見したら詳細な状況を記録しておく必要があるのです。

プレイしてみた感想を報告する

ゲームテスターのもう1つの役割として「やってみて、どう感じたか?」を報告する必要があります。要は「面白かったか、そうでなかったか」ですが、単に、それだけではなく、具体的に「どういった点が良かったか、悪かったか」「どこをどうすれば、より面白くなると思うか」などの意見も添えた方が良いです。開発者にとってゲームテスターは「最初のお客さん」でもあるので、受け入れられそうか? ヒットしそうか? は絶対に知りたいのです。もし欠点があれば、どう直せばよさそうか、も知りたいのです。細かいチェックも不可欠ですが「やってみた感想を報告する」という作業は思いのほか、重要です。

開発側は苦労して作ったゲームが沢山の人々に受け入れられるかどうかを常に心配しているからです。もし、ここで適切な意見が出せるようなら「優秀なゲームテスター」として認められる可能性が多いに高まります。

ゲームテスターの給料

ゲームテスターは最初はアルバイト、契約社員という形で仕事に就くことが多く、最初の給料は年収150万円前後から始まることが多いです。しかし優秀なゲームテスターは開発会社としては絶対に必要なので昇給や正社員に登用する、などの形で給料は上がっていきます。優秀なゲームテスターの正社員では年収500万円を超えることもあります。つまり給料は実力次第と言えるのです。

ゲームテスターのニーズ・将来性

スマホが普及し、どこでもインターネットにつなげることが可能になった現代ではゲームのニーズは高まりこそすれ、下がることはありません。また従来からある据え置き型のゲーム専用機によるゲームも未だに健在です。そして、日本においてゲームが普及し始めてから、既に相当の年数が経っていることから、顧客ニーズは多様化しており、実に様々なゲームが今も開発され続けています。そしてゲームテスターはゲーム開発業務においては絶対欠かせない存在なのでニーズは、ますます高まっており、優秀なゲームテスターのニーズは絶えることがありません。

またベテランのゲームテスターはゲーム開発において注意すべき点を熟知していることが多く、かつ開発担当者と直に話す機会も多いのでテスターから開発を行う立場へシフトすることもあります。つまりゲーム開発の仕事の入り口的存在として見ることも出来るのです。ゲームテスターの将来性は高いと言って間違いありません。

ゲームテスターに求められるスキル

ゲーム経験の豊かさ

ゲームテスターはゲームが正常に動くかどうかをチェックするのが仕事です。従って1日中、ゲームをしていることになります。これは相当に「ゲームが好き」でないと、とても務まりません。つまり「ゲームが大好き」というのは前提条件になります。

しかし、いくらゲームが好きでも「ロールプレイングは好きだけどシューティングはあまり好きではない」というのではシューティングゲームの依頼が来た時に困ってしまいます。つまり「色々なゲームが大好きで色々な種類をやってきた」という方でないとゲームテスターに向いているとは言えないのです。ゲーム経験の豊かさ、というのがスキルになるのはゲームテスターだけと言えるでしょう。

プログラミングのスキル

ゲームはプログラムで作られています。従って、おかしな現象を発見した場合に「フラグが残っているのではないか?」とか「Bボタンの割り込み処理がおかしいのではないか?」などのプログラムの中の何が間違っていそうかを指摘できると開発グループは非常に助かります。実際におかしな現象が起きるのはプログラムに何等かの問題があるからで、その不具合の性質からプログラム上の問題の見当を付けられるテスターは非常に優秀なゲームテスターです。

こういった方の場合、ゲームテスターから開発要員に移るケースも珍しくありません。C++、C言語といったプログラミング言語の知識を持っていると、将来性がより大きく広がるのです。これらの言語はゲームテスターを始めてからでも勉強が可能です。また開発関係者と接する機会も多いので「教えてもらえる」機会も必然的に多くなりますので、案外に勉強には良い環境なのです。会社側としてもゲームテスター出身のプログラマーは「どういった所で間違うことが多いか」を知っているのでミスが少なく確実な作業をしてくれることが多いので非常に有難い存在なのです。

ゲームテスターになるうえで必要な資格

ゲームテスターになるには資格は特に必要ありません。ですが、持っているとゲーム会社への就職に有利なる資格があります。

マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)

エクセル、ワード、パワーポイントなどのオフィスのツールの熟練度を示す資格です。ゲームテスターは「問題を発見し記録する」のが仕事ですので、これらのオフィスツールを使用することが非常に多くなります。より正確に詳細に記録するためには文章だけでなくスクリーンショットなども記録されていれば、開発側は非常に助かります。また近年はキーボードに慣れていない人も多いので、この資格を持っていればキーボードを打つのが相当に早いことの証明にもなります。それは素早く記録ができることでもありますので会社側としても安心してOKを出せるのです。

IT検証技術者認定試験

一般社団法人であるIT検証産業協会(IVIA)が認定する資格試験です。この資格はテストエンジニアとしての資格試験でありゲームテスターには最も相応しい資格と言えます。

この資格はレベル1からレベル7までの7段階ありますが、入社面接を受けるにあたっては「テスト実行、不具合報告を行う」レベル1の資格でも十分に訴求力があります。

「テスト実行をまとめ、テストケースの理解を深める」事が出来るレベル2を持っていたら最強の訴求力を発揮してくれるでしょう。

まとめ

ゲームテスターという仕事は、とにかく「ゲームが大好き」という人でないと勤まりません。逆に言うと「ゲームが大好き」という方には、もってこいの職種と言えます。最初はアルバイトや契約社員からのことが多いので入りやすいですし、実力を身に付けて行けば、開発側のメンバーに移ることも可能です。一般にゲーム開発会社では開発要員は「まずプログラムが書けないとダメ」なので採用の敷居は高いのが普通です。

しかし、そうやって雇ったプログラマーが「ゲームが大好き」とは限りません。しかしゲーム開発業務においてはゲームが好きかどうかは、大きな違いが出るのです。ゲーム経験豊かなプログラマーは「ありがちなミス」を犯さない分、品質が高く開発スピードも速いからです。ですので、将来的にはゲーム開発業務をやりたい、という方はゲームテスターから入るのが近道となることもあります。「とにかくゲームが大好き」と言う方は一考の価値がある職種なのです。

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