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今、IT業界は売り手市場。ITエンジニアが転職する前にすべきこと。

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2017年02月08日

2015年10月21日の記事を再構成(文言の追加)をして作成した最新記事です。

私たちが営む生活のあらゆる局面でITは切っても切れない存在になりつつあります。

そして2016年はIoT(モノのインターネット)が黎明期(れいめいき)を迎えると言われ、その流れはさらに加速し、目にするものや触れるものまでITは広がっていくと考えられています。

この爆発的な広がりにより、IT業界は深刻な人材不足の状態が続いています。今後も多くの業界でITへの設備投資が積極的に行われることが予想され、なおかつ続々と新技術が開発され多種多様化していきますので、この状態は当面の間続くものと思われます。

さらに、一説によると2020年の東京オリンピックに向けて、セキュリティーを担うエンジニアが4万人不足しているとされ、その育成が喫緊の課題となっており、今後IT関連企業に留まらず、国家を挙げた取り組みになることも考えられます。

かねてよりIT企業の多くは、積極的に中途採用を実施し、人材を補充していますので、IT業界は、目下空前の「売り手市場」であると言えるでしょう。

IT業界で求められている人材や職種とは?

業種業界に関係なく、企業が転職者に求めるのは「即戦力」となる人材です。転職者と新卒社員との大きな違いは、教育に関するコストがかからないこと。

さらに、会社に利益をもたらすテクニカルスキルとヒューマンスキルを兼ね備えているならば、喉から手が出るほど人材が欲しいIT企業が放っておくはずがありません。今回は、現在、IT業界で求められている人材や職種についてご紹介します。

IT企業に求められている人材とは?

IT企業が求める人材は「即戦力」であることはもちろんですが、特定の分野の深い知識やスキルだけではなく、より広範囲にわたる知見を持った人材が求められています。

IT関連の仕事は、他業種(金融や医療など)を相手にした仕事も多いですし、また、同業界内でも連携してプロジェクトを進めることもあります。

ですので、幅広い分野での専門知識があると強みとなります。そして、何より転職者に期待されているのは「リーダーシップ」や「コミュニケーション能力」などを兼ね備えたヒューマンスキルです。このスキルは一朝一夕に育つものではなく、育てられずに多くの企業が苦しんだ結果、転職市場に人材を求めるのです。

テクニカルスキルは、IT系の資格でアピールすることもできますが、ヒューマンスキルは、プロジェクトに携わり成果を出した実績がものを言います。実績の乏しい人は、今からでも積極的にプロジェクトに参画して実績を積み上げ、アピール要素を作っていく必要があるでしょう。

さて、ヒューマンスキルを一つ掘り下げて考えるとするなら、「要件定義に繋がる力」と言えます。これはシステム開発、インフラ構築、WEBディレクター、ITアーキテクト、などどんな職種にも言えることで、「要件定義が出来る人間になりたい」と考えていなくても重要な事です。

いわゆる、「挨拶ができる、一定の会話が出来る」といったコミュニケーションはあって当たり前です。求められているのは、自分の生み出しているシステムを利用することになる「ユーザー」や、システム開発を依頼した「お客様」との会話能力です。

実際、ユーザーやお客様と打ち合わせをしてみるとわかりますが、思いつきの発言、無茶な要望などが会話では飛び交います。それを整理し、体系化してまとめ上げるのが要件定義です。さらに、まとめ上げたものを説明し、納得してもらうことがとても重要で、要件を固めたんだ、という双方の理解と承認を得ることが必要となります。

会話はキャッチボールですが、ITエンジニアの多くは、まだまだキャッチボールが上手くないようで、聞いても居ないことを回答したり、回答を最後にして回りくどい説明から入ってしまう事が多いようです。理論的な考え方が身についてしまい、「まずこれを説明しないとこれは理解してもらえないだろう」というロジックが優先した結果、話が長くなることもあります。

ただでさえ難しいIT用語が飛び交っている状況では簡潔さが求められます。また、説明時に残された時間、置かれた立場や状況、相手のITへの理解度はどのくらいなのかを考えられるようになることで、それぞれのタイミングで適切な回答ができるようになるでしょう。

もし自信がない場合は、日常の会話でもこれらのことを意識し、簡潔に自分の意見を伝え、また相手の要望をきちんと汲みとることを心がけるようにしてください。

情報漏えい、マイナンバー制度で、リスクマネジメント分野の採用が加速

近年、大企業や官公庁における情報漏えい事件が発生し、とりわけ情報システムにおけるセキュリティ、リスクマネジメントへの関心が高まっています。

また、2016年よりマイナンバー制度が開始され、従業員の特定個人情報を取り扱う上に、安全管理措置を怠って情報漏えい等の事故を起こした場合、厳しい罰則が適用されるなどセキュリティ、リスクマネジメントに対する取り組みは企業存続に欠かせない最重要事項となっています。

その為求められている技術スキルとして、セキュリティー関連、リスクマネジメント関連の経験が挙げられます。具体的には、情報セキュリティスペシャリストの有資格者やITリスクマネジメント業務経験者の募集が増えている状況です。

特にITリスクマネジメントはネットワークエンジニアのスキルが役立つものなので、今からキャリアアップを考えてみるのも良いでしょう。

「売り手市場」でも転職が簡単になったわけではない

IT業界が慢性的に人手不足の状態が続き、まさに空前の「売り手市場」になっていることは、転職を目指す人にとって大きなチャンスであることには間違いありません。

だからといって他業種と比べトレンドの浮き沈みが激しく、しかも商品のライフサイクルが驚くほど短いこの業界にあって誰もかしこも納得のいく転職ができるほど甘くはありません。

一攫千金を夢見る若いベンチャー企業が群雄割拠し、大手でさえウカウカしていられない現状にあって、たとえ人が不足していても戦力にならない人は必要ない、すなわち戦力にならない人を雇って足を引っ張られるくらいなら現有戦力でやり繰りした方がマシと考えるのが採用側の本音なのです。

そんな事情もお構いなしとばかりに、「どうせ人手不足だから俺にもチャンスがあるだろう」と思って転職活動を始めると、突きつけられる現実に愕然とさせられるに違いありません。ここでは、「売り手市場」なのにITエンジニアが陥りがちな失敗についてご紹介します。

年齢によって求められるハードルが高くなる

新卒で入社して早い段階で転職を目指すのは、よほど自身のキャリア構築に対する意識の高い人か、言い方は悪いですがどの仕事も長続きしない人と両極端に分かれます。前者であれば企業は、その志と将来性を買って採用する可能性も高いでしょう。

しかしながら、大部分の人は転職について現実味を持って意識するときにはある程度の年齢となっていることが多いのです。入社してしばらくは仕事を覚えるのに必死、仕事を覚えたら任されたプロジェクトを成功させるのに必死で余裕が出てくる頃には30代になっている、ということもよくある話です。

この年代になると社内における自身の立ち位置も理解でき、同時に先も見えてくるようになります。「このままでいいのか」と立ち止まって考えるのも当然だと言えるでしょう。

しかし、採用する立場からすれば、30代になると深く心に刻まれている長く在籍した企業の独自のやり方や文化が教育を施すうえで非常にやっかいであること、そして何より、20代の転職希望者と比べると適応力や柔軟性、そして伸びしろなどの点で残念ながら見劣りすることが30代の転職をハードルの高いものとしているのです。

社内での評価は市場価値とは必ずしも一致しない

30代になって初めての転職ともなると、本人が思っている以上に「前職のカラー」に染まっています。それが、普遍的に評価される高い技術ならまだしも、残念ながらその会社でしか通用しないやり方である場合がほとんどで、それが採用担当者の判断を躊躇させる最大の原因となるのです。

つまり、社内での評価と社外での評価は必ずしも一致しないのです。社内でも役職等に就いていると、「他でも通用するだろう」と高をくくって転職活動を行うものの、自分のスキルの市場価値の低さに愕然としたという笑えない体験談は後を絶ちません。

また、プロ野球の助っ人外国人選手やFAで移籍してきた選手が、結果が出せないと分かるとすぐにお払い箱になるのと同様に、日本の会社組織は、「外様」に対して非常に厳しい目を向けています。いわゆる「生え抜き」の社員に対しては成長を見守る寛容さがある一方、外様(=転職者)には、それこそいきなり4番打者を張れる実力を求められるのです。

30代が転職を目指すにあたりやっておくべきこと

自身のキャリアの棚卸し

キャリアの棚卸しなくしては、面接において、自分がどのように貢献できるのかを具体的に語ることはできません。採用担当者からすれば、自身のキャリアを澱みなく語れない者など選考対象にすらならないというのが本音です。

まずは、キャリアの棚卸しを行い、具体的な数字など客観的に見ても分かる実績を洗い出し、自分は何をしてきたのか、何ができるのかを自分自身の中で明確化し、簡潔にしかも的確にアピールする材料を用意しておく必要があります。

自分の客観的なスキルを知る

ITエンジニアとしての市場価値はひとつの会社に長くいると案外分からないものです。30代のITエンジニアの就職活動を困難にしているのが知らず識らずのうちに「井の中の蛙」になってしまう環境にいることなのです。

ですから転職活動を行うにあたり、自分のスキルと合致する求人がどれくらいあるのか調べたり、エンジニア同士の勉強会に積極的に参加するなどして自分の客観的なスキルを見極める必要があります。

転職理由を明確にしておく

企業の採用活動は本人が思っている以上の金額とエネルギーが注がれています。ゆえに、転職希望者には、求めるスキルに負けるとも劣らぬほど、「またすぐに転職しないか」を見極めることに神経を尖らせています。

ですので、転職理由は必ずと言って良いほど質問されますし、その決断に至るまでにどれだけの努力をしたかを厳しく問われます。したがって、「成長したい」、「新たに挑戦したい」などありがちな返答を安易にしてしまうと、「今の職場でなぜやらないの?」と即座に撃退されてしまうことでしょう。

採用担当者を納得させるためにも、自分がなぜいま転職したいのかを突き詰めて考え、明確に説明できるようになっておく必要があるのです。

最後に確認して欲しいポイント

現在、IT業界で転職をして年収アップを勝ち取れる人は3割程度、現状維持が5割程度と言われているそうです。すなわち8割の人が年収をダウンさせることなく転職に成功しています。

このことからも、景気回復を背景にIT業界での転職市場が盛況であることをうかがい知ることができます。もし転職に至らず、現在の会社にとどまったとしても、転職市場の情報に触れ、業界や業種について調べ、検討した経験は、自身の市場価値を知ることになり、今後のキャリア形成で大いに役立つことでしょう。

IT業界の転職が空前の「売り手市場」である今だからこそ、一考の価値は十分にあるのではないでしょうか。

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