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ITエンジニアの転職に英語は必要なのか?

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2017年02月08日

「これからは英語力が絶対に必要だ」という言葉はもう何十年も前から使われているある意味常套句のようなものですか、実際に社会に出て「英語なしでは仕事にならない」という人は意外と少ないように思えます。

中高と最低6年間は学校で英語を学んでいるにも拘らず、外国人とのコミュニケーションもままならない日本人があまりに多いことに「日本の英語教育は間違っている」と声を大にして訴える識者も多数存在します。

学校で学んだ物理化学の法則や公式を社会に出てから役立てている人が極めて少数なのと同じように、単語帳や赤シートを駆使して必死になって覚えた英単語や英熟語がのちに忘却の彼方に追いやられてしまっているというのがほとんどではないでしょうか。

「英語力は必要だ」ということは、頭では理解していても、優秀な翻訳家が活躍し、ありとあらゆる学問のほとんどを母国語で学べてしまう日本という国の稀有な環境に、誰もが差し迫った危機とは感じていないのが実情なのです。

では、数ある職種の中でもITエンジニアを取り巻く英語事情はどうなっているのかについて、ご紹介します。

英語がなくても事足りてしまう

IT業界に限らず国際化が声高に叫ばれる時代にあっても、大部分の仕事は日本語で十分事足りてしまうのが正直なところです。それもそのはず、そもそもプロジェクトの仲間たちもクライアントも日本人であることがほとんどだからです。

この集団にポツンと外国人でもいようものなら、「郷に入れば郷に従え」とばかりに、日本語中心で仕事が回るでしょうし、当の外国人も日本語でのコミュニケーションを強いられることにやぶさかでない場合が多く、まさに「オールジャパン」体制はますます盤石となっていくのです。

しかしながら、ITの基礎技術はもともと欧米で生まれたものですし、新しい技術もシリコンバレーから発信されてきたものばかりです。

ちょっと前に、IT関係者や政府関係者までもが意味も分からずに「ユビキタス社会」などとはしゃいでいたように、生まれたてホヤホヤの情報や技術は英語で発信され、かつては有志による翻訳や日本語版の誕生を待つほかはありませんでした。

今は、固有名詞等が絡むと頓珍漢な答えを出すことがあるものGoogle翻訳などボタン一つで日本語に変換できるようになっています。その表現力は、ちょうど来日数年で日本語を身に付けた欧米人が話す日本語と同程度でしょうか。理解するには十分なレベルです。

こうなると、日本で日本人を相手に仕事をしている限りは、英語に触れる必要はますますなくなってしまいます。英語圏で生まれたITが、IT技術の発達によって却って日本人を英語から遠ざけてしまうという皮肉を招く結果となってしまったのです。

企業側は英語力を重視するようになりつつある

2013年に転職サービス大手のDODAが行った調査によると、IT関連企業の19%、社内システムエンジニアの40%が英語力を採用の条件にしています。

この差は、IT関連企業が主に日本国内を対象にビジネスを展開しているのに対して、社内システムエンジニアの求人を出しているのは事業会社でグローバル企業や海外展開をしている企業の割合が多いからとしています。

現状、システムエンジニアの場合を取っても、英語がまったくできなければ4割の求人に応募すらできなくなることを考えると、企業側もここにきて英語力を重視するようになりつつあると考えて差し支えないと言えます。

今後、IT業界も規模が拡大し様々な形で私たちの生活の細部にまで入りこんでくるようになります。IT業界はこれまでは超新星のような拡大を、今後はアメーバのような拡大を見せていくと思われます。

そこで問題となるのがITエンジニアの絶対数の不足です。日本では人口減少時代に突入している上に、理系を選択する学生も減少傾向にあることから、折からの人手不足と市場の縮小を見据え、グローバル展開に舵を切り、外国人を積極的に採用する企業も見られるようになりました。

人が減り、仕事も減るならば、企業が生き残る術は国外に目を向けることに他なりません。その際に必要となるのは他ならぬ「英語」なのです。

英語を身に付けるためには?

英語だけにとどまらす、外国人と意思疎通をしたいのなら、一にも二にも「コミュニケーションをとろうという強靭な意志」が重要です。語彙は中学生レベルでも十分です。何度もリピートして相手の真意を理解し、全身を使って自身の意志を伝えることで、ほとんどの問題は解決します。

さらに、ITエンジニアにはテクニカルターム(専門用語)やという何よりも強い味方がついています。そして、スポーツの国際試合が何事もなく成立するのと同様に、ITエンジニアは共通のルールに則って記されたコードによって対話することが可能なのです。

日本人が外資系への転職を躊躇する最も大きな理由である「言葉の壁」を越えられるか否かは本人の気持ち次第です。しかしながら、この壁を越えたら、今度は本当に英語力全般を底上げしていく必要があります。

これは、日本の会社に放り込まれた日本語を全く解せない外国人に「出世するにはどうすれば良いか?」と聞かれたら、迷わず「まずは日本語をマスターしなさい」と答えるとの同様に英語が公用語となっている企業で、ずっと拙い英語力のままではキャリアアップは非常に難しいと言わざるを得ません。

シビアな外資系ならば、英語力を理由に業績が悪くなれば真っ先に首を宣告されるリストラ要因にもなりかねません。上流階級やマネジメントを担う人材ならば当然のことながら高度なコミュニケーションを求められますから当然と言えば当然のことです。

では、英語力をレベルアップさせるにはどうしたら良いでしょうか?「xxxするだけでOK!」という答えを期待されるかも知れませんが、ネイティブの世界に飛び込みでもしない限りは英語力向上に王道はありません。

「聞きまくる」、「話しまくる」、「覚えまくる」に尽きます。通勤時間や空いている時間は、この3つの「まくる」に数か月間没頭してみてください。周囲に英語圏の人がいなければ、英会話スクールを利用するのも有効な方法です。

この場合、限られた時間ですから講師を「使い倒す」くらいの勢いでコミュニケーションを取りましょう。しかし、近年乱立している英会話スクールの中には、「自分の国の言葉を話していればいい金が稼げる。

こんな楽ちんな金儲けがあるか!」という不純な動機で来日し、「日本デビュー」を果たして堂々と教鞭を取っている外国人講師も少なくありません。

こういった裏事情は直接聞くことはできないにしろ、日本人スタッフの目ネジ面との様子や体験レッスン等で教室の雰囲気からも読み取ることができるでしょう。

最後に確認して欲しいポイント

「ITエンジニアの転職に果たして英語は必要なのか?」という正直、「本当は必要なんだろうけれど、うちの周りでは使わないね」という回答が何故か多いという不思議な命題を扱ってみました。

実際のところは、「今は必要ないかも知れないけれども、近い将来は確実に必要になる」というのが相当な回答で、業界大手の楽天が2012年に英語を社内公用語とするなどその萌芽は確実に表れてきています。

情報や物流が世界を駆け巡るようになった現在においても、日本の技術は独自の進化を遂げ時に「ガラパコス」と揶揄されることさえあります。高度な技術を持ちながら日本国内のみでしか互換しない刀ばかりを研ぎ続ける結果となった原因の多くは「英語から逃げた」ことに求めることができるのではないでしょうか。

近年はかつての開発途上国がITを武器に劇的な進化を遂げ、テクノロジーを巡る覇権争いは、先進国をも本気にさせるほどに激化しています。当然、日本もその土俵に上がるのを免れることはできません。そのときに、強力な武器となるのは英語力に他ならないのです。

 

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