近年ChatGPTやBingなどの生成系AIを初め、テクノロジーの進歩が著しいIT業界。
最先端の技術やビジネスを知りたいけど、実際にITイベントに参加するのは敷居が高いと思ってしまう人は多いのではないでしょうか。
今回はそんな人に向け、ITイベントに参加するメリットを詳しく解説しながら、都内でのオフライン開催、オンライン開催のイベントをまとめて紹介します。
ぜひビジネスパーソンとしての力を高めるために、ITイベントに参加してたくさんのトレンドを体感しましょう!
▼この記事を読んでわかること
そもそもITイベント・ITカンファレンスとは?
そもそもITイベントとは”ITに関連する製品やサービス、技術をテーマとして開催される多人数参加型の催事”を指します。
ひとくちにITイベントといっても以下のようにその内容は多種多様です。
- 多数の企業が自社のサービスを売り込みに展示する総合イベント
- 特定のサービスを提供している企業が主催しているもの
- ひとつのプログラミング言語や技術に特化したイベント
この項ではITイベントや、他にもよく耳にするカンファレンスについて詳しく解説します。
イベント、カンファレンスの定義
IT関連の催事では”イベント”や”カンファレンス”、他にも”Expo(エキスポ)”と名のつくものが多いですが、名称が異なるだけで実態として内容に大きな違いはありません。
言葉の定義は以下の通りです。
用語 |
意味 |
イベント |
出来事、催し物、行事 |
カンファレンス |
会議、協議会 |
エキスポ |
展覧会、博覧会 |
(出典:Weblio国語辞典)
いずれの単語も催し物、展覧会といった多人数が参加することを前提とした意味をもっていることが分かります。
例外的に医療系や学術系ではカンファレンス=学会の意味で用いられる場合がありますが、IT業界においては上記3つの言葉は同義と理解して問題ないでしょう。
ITイベントとは?
ITイベントとはその名の通り”ITに関連する製品やサービス、技術をテーマとして開催される多人数参加型の催事”のことです。
例えば特定のプログラミング言語(PythonやJavaなど)に焦点を当てたものであれば技術者同士の交流の場となっています。また医療業界など特定の産業における先端技術・製品を取り扱うものもあり、メーカーと利用者のビジネスの場としての役割も果たしています。
現在どの業界やサービスにおいてもITは欠かせないものになっているため、ITイベントは誰もが参加できる交流・ビジネスの場として大きな役割を担っているといえます。
続いてはITイベントの開催形態について解説します。
ITイベントの開催形態
ITイベントの開催形態は主に以下の3つに分類されます。それぞれ詳しく確認していきましょう。
- オフライン開催
- オンライン開催
- ハイブリッド開催
オフライン開催
オフライン開催は実際に特定の会場で開催されるもので、出展者・参加者いずれも現地に足を運んで参加する形式です。
特定のビルの1室や1フロアを利用して開催される小規模なものから、国際展示場や幕張メッセなどの大会場で開催されるものもあります。
実際に製品を手に取って使用感を確かめたい、企業の担当者などと面と向かってコミュニケーションをとりたい方におすすめの形式です。
オンライン開催
オフラインとは逆に、インターネット上でのみ開催されるイベントがオンライン形式です。
ZoomやWebexなどのコミュニケーションツールを使ってプレゼンテーションを視聴したり、ブレイクアウトセッションの中でワークショップをするなど参加型形式のものも存在します。オフライン形式と比較すると小規模なイベントによく見られる形式で、開催地域を問わず参加できる点が大きなメリットです。
ハイブリッド開催
最後はオフライン・オンラインの両方を用いるハイブリッド形式です。ハイブリッド形式の中でもオンライン部分は以下のように2種類に分類されます。
- 同時参加型
- アーカイブ視聴型 (≒オンライン開催)
同時参加型はオフライン会場での模様をそのまま生中継でオンラインでも確認できる形式です。実際の会場にいるかのような臨場感を自宅にいながらにして体感できる点が魅力です。
一方でアーカイブ視聴型はリアルタイムでの開催ではなく、オフライン会場で行われた内容をアーカイブ動画として保存しておき、後々それを参加者が見られる形式で公開する形式です。ある程度見やすく動画が編集されていることも多く、自身の興味のある部分だけピックアップして視聴できる点が魅力といえます。
まとめ:ITイベントの形式を総括
ITイベントの参加形式は主に3つありました。メリットやデメリットを以下にまとめたので、ぜひ自身にあった形式を確認してITイベントへの理解を深めていただけると幸いです。
開催形式 |
小分類 |
メリット |
デメリット |
向いている人 |
オフライン |
– |
・製品やサービスを実際に体感できる ・出展している人と直接コミュニケーションがとりやすい |
・実際に会場に行く必要があるため、移動時間や交通費などコストがかかる |
・製品やサービスを手に取って確かめたい人 ・細かい仕様をその場で確認したい人 |
オンライン |
– |
・自宅や海外などどこからでも参加できる ・手に入れた知識の確認や検証が行いやすい |
・実物の製品を手に取って確かめることができない ・ネットワークなどの環境によって、快適な視聴や参加が行えない |
・コスパ、タイパを意識している人 ・新技術をすぐに自身の事業や開発に活かしたい人 |
ハイブリッド |
同時参加型 |
・オンライン、オフライン双方のメリットを享受できる |
・参加費がかかるイベントの場合、イベント参加費そのものが少し高くなる |
・イベント自体にリアルタイムで参加したいが、会場が遠方で物理的に参加できない人 |
アーカイブ視聴型 |
・自身の都合のいいタイミングでイベントに参加できる |
(オンラインのデメリットと同じ) |
(オンラインに向いている人と同じ) |
次の章ではイベントに参加することで期待できるメリットを紹介します。
ITイベントに参加するメリット
イベントの形式を確認したところで、実際にITイベントに参加すると得られるメリットを5つ紹介します。
- トレンドの最先端を把握できる
- ビジネスチャンスを発見できる
- 産業・職種で横のつながりを持てる
- 新しい知識を仕事に活かせる
- 語学力が向上する
トレンドの最先端を把握できる
ITイベントの主要な目的のうちのひとつに”最先端の技術を体感できる”ことが挙げられます。
直近ではChatGPTを筆頭とした生成系AIに関連するイベントも多数開かれており、いま流行しているもの、これから流行するかもしれないものといった先端技術に触れ合えるのが大きな魅力といえます。
ビジネスチャンスを発見できる
ITイベントはビジネスチャンスの宝庫です。
新しい製品やサービスを世に広めたい出展者と、新たなビジネスを作りたい企業やアントレプレナーが一堂に会する機会はITイベントをおいて他にありません。
またITイベントは産業やサービスなど多様なテーマで開催されているため、自身の業界のみならず他業界の技術に触れることで新たな目線を築くこともできるでしょう。
ビジネスに煮詰まっているときに行ってみるのをおすすめします。
産業・職種で横のつながりを持てる
ITイベントは産業(医療・製造・小売など)やセクター(営業・人事・マーケティングなど)など特定のテーマで開催されることも多いです。
そのため例えば製造業のイベントに行った際、同業他社や少し畑の違うメーカーの人との接点を持つことができます。セクターという単位で区切れば業種を問わずにさまざまな企業の担当者とコンタクトすることも可能です。異業種の人と交流することで、今までにないサービスやアイデアの気づきを得られるかもしれません。
そういった自社以外の人との接点を持つことができるのもITイベントの大きなメリットです。
語学力が向上する
ITイベントは語学力の向上にも寄与します。
現状最新の技術やイノベーティブな製品は海外から出てくることが多く、関連するドキュメントやイベント内容は英語で記載されていることがほとんどです。他にもBATH(Baidu、Alibaba、Tencent、HUAWEI)といった中国系企業の台頭から中国語でのイベントも多く視聴する機会があります。それらが日本語化されるのはタイムラグがあるため、海外のITイベントから有用な情報を得ようとすると外国語を身につける必然性が発生します。
なんとなく聞いているうちに聞き取れるようになることも往々にしてあるため、ぜひ海外のITイベントに参加して技術・語学の両面の知識を手に入れましょう。
まとめ:自営業者・会社員どちらにもおすすめ!
ITイベントは技術や製品の最先端を学べる以外にも、他の業界・業種の人たちと接点を持てるタイミングであり、さらには語学力を向上させて新たなビジネスチャンスが創発される場でもあります。
いろいろな人から話を聞いているうちに、自分の業界や会社でも活かせる知見が生まれてくるかもしれません。
フリーランスや自営業、会社員などの枠にとらわれず、興味を持てるITイベントには積極的に参加するのがおすすめです。
続いて2023年に開催予定のITイベントについて紹介していきます。
おすすめのITイベント/カンファレンス
では実際にどんなITイベントやカンファレンスが開催されるのか、2023年後半に開催予定のものを全部で9イベント紹介します。
先端技術・総合系
まずはITイベントの王道ともいえる先端技術などを総合的に取り扱ったイベントを確認していきましょう。最後に各イベントを表形式でまとめているので、各イベントページを参照したい方はそちらをご確認ください。
Japan IT Week (2023/07/19~21)
公式サイト:https://www.japan-it.jp/nagoya/ja-jp.html
まずITイベントがどんなものか体感してみたい、そんな人におすすめなのがJapan IT Weekです。Japan IT Weekは地域や開催形態を変えながら年に5回開催されている国内でも最大級のITイベントで、参加できるタイミングが複数ある点も特徴です。
- Japan IT Week 関西 (1月ごろ開催)
- Japan IT Week 春 (4月ごろ開催)
- Japan IT Week オンライン (6月ごろ開催)
- Japan IT Week 名古屋 (7月ごろ開催)
- Japan IT Week 秋 (10月ごろ開催)
直近では名古屋にて2023/07/19~21に開催されます
Japan IT Weekは1992年から開催されているなど歴史も古く、参加者数も3日間で35,000~40,000人にのぼる巨大イベントとなっています。
イベント内でも以下の10セクションで分かれており、自身の興味のあるエリアを集中して回ることも可能な設計となっています。
- クラウド業務改革 EXPO
- 情報セキュリティ EXPO
- デジタルマーケティング EXPO
- データセンター&ストレージ EXPO
- 営業DX EXPO
- 次世代EC&店舗 EXPO
- Iotソリューション展
- AI・業務自動化展
- ソフトウェア&アプリ開発展
- メタバース活用 EXPO
会場も国際展示場や幕張メッセなど大型で、ITの最先端・現場の感じを体感したい人にうってつけなのがIT Japan Weekです。
AI・人工知能EXPO (2023/10/25~27)
公式サイト:https://www.nextech-week.jp/hub/ja-jp/lp/ai/ex01.html
続いては現在ChatGPTなどで注目がさらに高まっているAIを主題に扱ったAI・人工知能EXPOです。AI・人工知能EXPOは”日本最大のAI専門商談展”を謳い文句にしており、より商業色の強いイベントになっています。
2023年の下半期
商談ブースも併設されているなど、出展者・参加者いずれもAIをいかにしてビジネスに取り入れていくか真剣に確認できる場となっています。
実際にどんなサービスが取り扱われているのか、その一部を抜粋します。
▼さまざまソリューション・コンサルティングサービス(抜粋)
- 需要予測/ MAツール/経営環境分析AI /営業支援AI/RPA支援/オフィス業務自動化AI
- ビッグデータ分析・活用/データマイニング/データ活用ソリューション/ AIデータ分析・解析
- スマート工場化AIプラットフォーム/AI創薬プラットフォーム/生体信号AI解析
トヨタ自動車やSHARPなどのメーカーをはじめ、セブン&アイやアステラス製薬など業界を問わずさまざまな企業が来場するなど、大手企業の中でもかなり注目度の高いイベントであることがうかがえます。
IT領域に興味・関心が強い方におすすめのイベントです。
CEATEC 2023 (2023/10/17~20)
公式サイト:https://www.ceatec.com/ja/application/
CEATEC(シーテック) 2023は”経済発展と社会課題の解決を両立する「Society 5.0」の実現を目指し、あらゆる産業・業種の人と技術・情報が集い、「共創」によって未来を描く”をテーマにしたITイベントです。
Society5.0とは内閣府が提唱している概念であり、サイバー空間とフィジカル空間を融合させることを目標に掲げ、今後の社会の在り方として設定された枠組みを表します。
”サステナビリティ”や”Well-being”といったテーマに関心のある人にとってうってつけのイベントとなっています。
開発技術系
続いてはアプリケーションなどを開発しているエンジニアに向けたITイベントを紹介します。
PyCon APAC 2023 (2023/10/27~29)
公式サイト:https://2023-apac.pycon.jp/
PyCon APACはプログラミング言語のPythonを利用するエンジニアに向けたITイベントです。APACと名がつく通り主にアジア各国向けのイベントになっており、Euro Python EventやPycon USなど世界各地で開催されています。
PythonはTensor Flowを初めとする機械学習ライブラリに強みがあり、人工知能開発によく用いられるなど世界でも人気のプログラミング言語です。
Pyconは他のイベントとは異なり”参加型”の傾向が強いです。
例えば”スプリント”というチームを組んで開発を行うイベントがあったり、Lightning Talkという応募者が5分間スピーチできる場なども設けられています。
実際にPythonで開発を行っている人、これからPythonを学ぼうと思っている人にぜひおすすめのイベントです。
Vue Fes Japan Online 2023 (2023/10/28)
公式サイト:https://vuefes.jp/2023/
Vueを利用している人にぜひおすすめなのがVue Fes Japan Onlineです。
フロントエンドエンジニアならきっと誰もがお世話になっているVueの祭典がこのイベントであり、オンラインで参加できる点も大きな魅力です。
さらにVueそのものを開発した中国人エンジニアのエヴァン・ヨー氏が参加しているセッションもあります。
だれもが利用できるフレームワークを作った張本人と会話できるチャンスがあるイベントは他にありません。
天才エンジニアの考えに触れられる良い機会としてぜひイベントを活用してみてください。
TechCrunch Disrupt 2023 (2023/9/19~21)
公式サイト:https://techcrunch.com/events/tc-disrupt-2023/
技術系最後にTechCrunchDisrupt2023を紹介します。
TechCrunchDisruptはスタートアップ企業向けのITイベントです。これから製品やサービスを作りたい人、売り出したい人たちはもちろん、Googleの副社長やAirbnbのパートナー、他にはスタートアップ企業に投資したい投資家などが集まるエキサイティングなイベントになっています。会場は以下の6セクションで構成されています。
- AI
- SAAS
- FINTECH
- SECURITY
- HARDWARE
- SASTAINABILITY
どの分野も世間やビジネスから関心の高い分野となっています。
次世代のGAFAMが生まれてくる瞬間を見たい、そんな方におすすめのイベントです。
有名企業系
最後は誰もが知るあの有名企業が開催しているイベントを紹介します。
Microsoft Build Japan (2023/6/27~28)
まずはOSの草分け的存在、Microsoft社が開催するMicrosoft Buildです。
Microsoftが注力しているクラウドサービス”Azure”を軸に構成されており、Azureの新サービスや活用方法、企業での導入実績などを紹介するAgendaが組まれています。
さらにChatGPTを開発したOpenAIへの投資、自社でもBingを開発するなどAI分野で再注目されているMicrosoftらしく、AIをいかにしてビジネスに活用していくのかといったセッションも設けられています。
インターネットの雄であるMicrosoftのリアルを知りたい方にぜひおすすめのイベントです。
AWS Builders Online Series (2023/7/17)
公式サイト:https://aws.amazon.com/jp/events/builders-online-series/
クラウドサービスで世界シェアNo1のAWSのイベント、AWS Builders Online Seriesを紹介します。AWS Builders Online Seriesは主に初心者を対象としたワークショップ形式となっており、AWSでなにか作ってみたいけどよくわからない、そんな初心者が安心して参加できる体験型のイベントです。
AWSの基礎知識から流行のAI利活用方法など、AWSで実現できることをプロフェッショナルから丁寧に解説してもらえるのが大きな魅力です。さらに特定の条件を満たせば修了証を発行してもらえるのもうれしいポイントとなっています。
Google Cloud Next (2023/8/29~31)
公式サイト:https://cloud.withgoogle.com/next
最後はGoogle Cloud Nextです。Googleのクラウドサービス”Google Cloud Plaform”を取り扱ったイベントです。
現状クラウドサービスシェアではAWS、Azureに次いで第3位となっているGoogle Cloudですが、Googleが保有する有用なビッグデータを背景にじりじりとシェアを伸ばしていっています。2023のイベントでは教育やイノベーションをテーマとし、社会的な課題をクラウドサービスで解決していく人をターゲットとしています。
今後Googleのクラウドサービスを利用したいと思っている人、マルチクラウドを試したい人におすすめのITイベントです。
まとめ:各イベントの場所や日時を表形式でサマリー
全部で9つのイベントを紹介しましたが、なにか気になるものがあれば幸いです。
紹介したイベントの詳細を以下表にまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。
イベント名 |
開催形式 |
開催場所 |
日時 |
参加料金 |
オフライン |
名古屋ポートメッセ |
2023/ |
事前登録あり:無料 事前登録なし:¥5,000 |
|
オフライン |
幕張メッセ |
2023/ |
事前登録あり:無料 事前登録なし:¥5,000 |
|
オフライン |
幕張メッセ |
2023/ |
無料(全来場者登録入場制) |
|
未定 |
TOC有明コンベンションホール |
2023/ |
未定 |
|
ハイブリッド |
未定 |
2023/ |
未定 |
|
オフライン |
サンフランシスコ Moscone West |
2023/ |
一般入場:$650 |
|
ハイブリッド |
日本マイクロソフト株式会社 品川本社 |
2023/ |
無料 |
|
オンライン |
– |
2023/ |
無料 |
|
オフライン |
サンフランシスコ |
2023/ |
早割:$899 |
まとめ:ITイベントはエンジニア以外の人にもおすすめ!
ITイベントを紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
近年、ITはどんなビジネスでも不可欠な要素になっています。エンジニアや機械産業など技術やハードに触れる人はもちろん、農業や漁業など第一次産業と言われる分野でもITが活用されてきています。小学校でもプログラミングの授業が始まるなど、今後IT技術は社会人として知っておかなければいけない必修科目の度合いが高まる可能性が高いです。
私はITに直接関係がないとそっぽを向くのではなく、新しい技術に興味・関心をもってぜひ自分の人生に役立てていきましょう。
ITイベントは新しい人生の扉を開いてくれるきっかけになるかもしれません。