駆け出しITエンジニアの場合、現場に入って手を動かすことはもちろん必要ですが、書籍から得られる情報や知識も財産になります。
コストパフォーマンス、費用対効果という点を考えると、書籍は非常に有用です。
IT業界の場合、実務経験に勝るものはないですが、良い書籍からもらった知識やアイディアは一生頭に残り続け、更なる市場価値の高いエンジニアへの近道にもなり得ます。
今回は、駆け出しITエンジニアや、次のステージへ進みたい中堅ITエンジニアにおくる書籍を14冊紹介します。
駆け出しITエンジニアならこの2冊は押さえたい
ITエンジニア向けの優良書籍はごまんとありますが、特に駆け出しのITエンジニアに向けた書籍を厳選して2冊紹介します。
21世紀最強の職業 Web系エンジニアになろう AI/DX時代を生き抜くためのキャリアガイドブック
ITエンジニアのYouTuberとして有名な勝又健太(かつまた・けんた)さん著の、Web系エンジニアに関連する重要なトピックを包括的かつ具体的に解説している書籍です。
ターゲット層は広く、プログラミング未経験の方や初学者の方、駆け出しエンジニアの方がWeb業界とWeb系エンジニアの全体像や必要とされるスキルやキャリア戦略を把握できる一冊です。
勝又さんご自身がIT・Web技術における広範囲の知見を持つフルスタックエンジニアで、華麗なる経歴をもち、成功者でもあります。
実体験も元に、現代のWebエンジニアが必ず抱くであろう単純な質問に説得力のある言葉で回答してくれるので、バイブル的に数年間手元においておきたい書籍です。
イラスト図解式 この一冊で全部わかるWeb技術の基本
「イラスト図解式〜」シリーズは他にもあるのですが、どれもわかりやすく、評価も高いです。
Web技術の基本は、主な対象読者として下記を挙げています。
これからIT系の仕事に就かれる方
これから社内の情報システムを担当される方
Webシステムに関連する技術と実務を、幅広く、バランスよく学びたい方
Webの全体像から、Webアプリケーションの開発、セキュリティ、システムの構築・運用まで、これからWebにかかわる人が知っておきたい知識をこの一冊で丸ごと解説してくれるので、万人におすすめしたい一冊です。
ITエンジニアに必要な3大スキル
ITエンジニアとして偏りなく成長し続けるには、ベースにすべき重要なスキルが3つあると著者は思います。
それは、ITの知識全般、プログラミングの知識、そしてロジカルシンキングです。
ITの知識やプログラミングの知識だけを身につけ、シンプルな技術力だけで突き進むエンジニアも多いですが、いずれPMやPL、人の上に立つ管理職になった際に特に必要になってくるのがロジカルシンキングです。
もちろん、ロジカルシンキングは駆け出しITエンジニアにも必要なスキルです。
今回は、3大スキルを磨くのに最適な書籍を紹介します。
ITの知識
コンピュータはなぜ動くのか~知っておきたいハードウエア&ソフトウエアの基礎知識~
ITの知識を書籍1冊で完璧にカバーするなんてことは無理な話ですが、こちらの書籍は言わずと知れた名著です。
出版が2003年となかなか古いですが、基礎から網羅性の高い内容がしっかり詰まっているため、現在(2021年)でも愛されています。
ただ、基礎知識を持たない新人文系SEにも最適と謳われていますが、完全なIT業界初心者だと挫折する可能性があります。
あえて読者を選別するなら、基本情報技術者試験を勉強したい方には最適な本です。
図鑑なので、主に図解でコンピュータサイエンスを学べます。
本当の意味で初心者にも最適な本です。
範囲は幅広く、コンピューテーショナル思考やプログラミング基礎、デジタル世界での振る舞いやソーシャルメディアについて等、DX(デジタルトランスフォーメーション)時代とも言われる現代において知っておいて損はない情報ばかりです。
ただ、オリジナルが英語の本なので、ところどころ日本語の表記がおかしい箇所があります。
プログラミングの知識
独学プログラマー Python言語の基本から仕事のやり方まで
著者もその名の通り独学でプログラミングを身につけました。
本書は、プログラマになるためのスキルを独学できる本です。
主に扱われる言語はPythonですが、Pythonプログラミングの基本を学べるだけでなく、プログラマとして必要なスキル(シェル、正規表現、パッケージ管理、バージョン管理、データ構造、アルゴリズム、仕事の始め方・やり方)もひと通り学べるのが特徴です。
プログラマーとしての振る舞いや働き方なども指南してくれる書籍です。
「プロになるためのWeb技術入門」 ――なぜ、あなたはWebシステムを開発できないのか
出版が2010年と比較的古い部類に入る本書ですが、Web技術について俯瞰で一度整理したい方におすすめです。
ある程度実務経験を積み、更なるステップアップとして何かないか模索しているプログラマーには最適な書籍と言えるでしょう。
基礎の基礎をかためつつ、本物の実力を養成することを目標に内容を構成しています。
これにより、一貫した流れでWebアプリケーション開発の真髄を学ぶことができます。
プログラムはなぜ動くのか 第2版 知っておきたいプログラムの基礎知識
基礎的なところをしっかり学びたい方、知識の棚卸しをしたい方におすすめの書籍です。
プログラムがコンピュータの中でどのように動作するのかを、誰にでもわかるように図解で説明されています。
第2版では、第1版で特に関心の高かったプログラムがメモリーをどう利用しているかについて、より丁寧な説明が加えられています。
意外と説明できないような細かな部分に手が届く、プログラミングの理解を深める書籍です。
ロジカルシンキング
ロジカルシンキングも大切なスキルです。
現場では、この部分と、コミュニケーション能力が欠落しているエンジニアも少なくないです。
すなわち、ここを磨けば、稀代のITエンジニアになることができるとも言えます。
累計25万部突破のロングセラーの本書は既にご存知の方もいるのではないでしょうか。
ロジカルシンキングに直結するかどうかは別として、思考や感情をクリアに保ち、心を鍛えたい方におすすめです。
具体的な方法として「メモ書き」が紹介されており、誰でもどこでもできるシンプルな方法が解説されています。
IT業界において、現場での判断力、決断力、思考力は常に求められます。
最速で最適な思考方法を模索している方におすすめです。
漫画と解説が交互に挿入されており、活字が苦手な方にもおすすめできるロジカルシンキングの入門書籍です。
ITエンジニアの仕事は、何もコンピューターに向かっているだけの仕事ではありません。
企画書、要件定義書、基本設計書、プレゼン資料など、さまざまな資料を作り説明する場面も出てきます。
はたまた、自社製品を売り出す営業の仕事も舞い込むことがあります。
本書では、時間をかけずにわかりやすい資料を作成し、プレゼンする際に活きてくる思考方法が紹介されています。
ITエンジニア的論理思考テクニック! 仕事ができる人になるための13の極意。
まさにITエンジニア×ロジカルシンキングを現した一冊です。
駆け出しITエンジニアにありがちな「わからない部分を上司に聞きたいけど、具体的な質問の仕方がわからない」という問題を13の極意をもって解決してくれる書籍です。
論理的思考は簡単に習得できることではなく、本書を読んだからといっていきなり全部できるようになることは不可能です。
しかし、一つでも習得できるようになれば、あるいは意識するように心がければ、間違いなくそれは自身のプラスになると思います。
駆け出しITエンジニア、中堅エンジニア両方におすすめできるバイブル的な書籍です。
今最も勢いのあるパブリッククラウドサービスをマスターする書籍
さて、昨今ではAWSやAzure、GCPなど、パブリッククラウドサービスが勢いを増しています。
パブリッククラウドとは、企業や個人など不特定多数のユーザに対し、インターネットを通じて、サーバやストレージ、データベース、ソフトウェアなどのクラウドコンピューティング環境を提供するサービスのことを言います。
パブリッククラウドを導入する国内企業の割合は急速に増加しています。
こういった時代の背景から、ITエンジニアにも、クラウド知識を求めれられるようになりました。
レガシーな知見も大切ですが、モダンな環境にフィットしていく順応性も求められるIT業界において、「クラウド知識なしにはITエンジニアとしての将来性を語れない」と言っても過言ではないでしょう。
AWS
AWS(Amazon Web Services)に関する書籍を2冊紹介します。
図解即戦力 Amazon Web Servicesのしくみと技術がこれ1冊でしっかりわかる教科書
AWSについて体系的に学びたい方におすすめの書籍がこちらです。
AWSには機能が多く、しっかりと学ぶにはそれ相応の時間と経験が必要です。
しかし、本書ではクラウドやネットワークの基礎から解説し、AWSのサーバーサービス、ストレージサービス、ネットワークサービス、データベースサービスについて具体的なサービス名を挙げながら初心者向けにわかりやすく紹介されています。
今までのAWS解説書では用語がわからず難しかったという人も本書なら安心して学ぶことができます。
Amazon Web Services 基礎からのネットワーク&サーバー構築 改訂3版
AWSと言えばこれ!という認識の方も多いのではないでしょうか。
AWSを実機代わりにネットワークを学び直す、をコンセプトにまとめた1冊で、インフラを学びたい若手技術者にも、インフラを学び直したいアプリ開発者にもオススメです。
現在インフラエンジニアとして活躍しているけどAWSは触ったことがない、という方にも最適です。
Azure
Microsoft Azureに関しては、AWSと比すると書籍の種類が少ないですが、提供元のMicrosoftが出版している書籍があります。
Azure定番システム設計・実装・運用ガイド オンプレミス資産をクラウド化するためのベストプラクティス (マイクロソフト関連書)
私個人の感想ですが、AzureはAWSに比べてUI(サービスのインターフェイス)がわかりにくいと感じます。
本書は、著者が全員、現役のマイクロソフトのAzureテクニカルサポートのエンジニアです。
日々エンドユーザから寄せられる相談をもとに得たノウハウをできるだけ伝えるため、「機能のWhyとHow」の部分を盛り込むよう構成されています。
実践的な内容で、これからAzureを利用する人だけでなく、すでにAzureで運用している人にとっても、機能の理解を深めるために役立てることができる良著です。
クラウド全般
クラウドエンジニア養成読本[クラウドを武器にするための知識&実例満載! ] (Software Design plusシリーズ)
企業がクラウド導入を検討する際に必ず訪れる「数あるサービスから、どれを導入すべきか」という問題に焦点をあてた書籍です。
実際に導入した企業の事例や、各社クラウドサービスの比較が盛り込まれており、また「クラウドって何?」レベルの初心者にもわかりやすく解説されています。
駆け出しITエンジニア、インフラエンジニア、そしてアプリエンジニアとしてクラウドに興味が出てきた方にもおすすめの書籍です。
まとめ
今回は、駆け出しITエンジニアやDX時代の波に乗り遅れたくないモダン思考のエンジニア、まわりとは一歩差をつけたい中堅エンジニアの方をターゲットに、良書を厳選して紹介しました。
IT業界は進歩の速度が目まぐるしく、古い技術のみに固執したエンジニアはあっという間に置いてけぼりにされます。
新しい技術や知見を取り入れつつ、ITエンジニアとしての市場価値を高めていきましょう。