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今こそ知りたい!ITエンジニアが退職する理由とは

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2017年02月08日

退職届の退職理由の欄に記入されているのは、大部分が「一身上の理由」です。

「会社を辞める」ことは当人にとって人生に何度とない大きな決断だったはずなのに、「一身上の理由」と書けば全て済んでしまうのです…と言うよりは本音をぶちまけて後々面倒なことになるのは御免だし、そもそも退職届に何行も書くスペースがありません。
退職の決断に当たって、多くの先輩や同僚たちが説得してくれたことでしょう。

でも、退職理由は彼らの属する会社を否定することに等しいため、とても本当のことを打ち明けることなどできません。従って、「一身上の理由」に隠れた本音など誰も知らぬまま会社を去ることになります。。。

さて退職に関して、こんなイメージをしてみました。

退職が決定すると、会社が恐れるのは、未払残業代を請求されたり、「知りすぎた事実」を口外されてしまうこと。最終出勤までの1カ月は、周囲はまるで腫物を触るように恭しく接してきたり、盛大な送別会を企画したりと「円満退社の方向に導こうという意図が働いている」ことが誰の目にも明らかな、却って居心地の悪い時間を過ごすことになります。

辞める側は、ある意味「命懸け」なほどの覚悟で退職届を提出したのであって、そんな浅はかな演出などとうにお見通し。「人のことをバカにしやがって」と、もう二度と関わらないことを誓って会社を去っていくのです。

退職理由は「会社の問題点を焙り出すための貴重な証言」すなわち退職者が残したダイイング・メッセージとなるはずが、先に述べたように問題のある会社ほど、去る人間は本音を打ち明けることなく、会社もそれを知ることはなく、「一身上の理由」による退職者を生み続けているのです。
もし退職した者が影響力の大きかった人物の場合、それによる動揺や人材の流出を抑えるために、不祥事まがいの出来事や業績不振の責任を押し付けたり、趣味や性癖などあることないことを暴露するなどして悪者に仕立て上げることで事態の鎮静化を図る企業もあると聞きます。

まさに「死人に口なし」です。ド新人や末端の社員以外は、それが事実ではないことは百も承知ですが、「辞めるとこうなるぞ」という会社側のメッセージを感じ取って口を噤(つぐ)んでしまうのです。「これが組織運営だ」と言われるとそれまでですが、何だかやりきれない思いに駆られます。

。。。いかがでしょうか。かなり歪んだイメージですが、全く違うとは言い切れない人も少なくないでしょう。こんな形で会社とお別れすることにならないようにしたいものですね。

いずれにしても、会社を去る人間が本当の退職理由を告げることは少ないでしょう。会社側も一人の退職者であると軽視せずに、ハインリッヒの法則(1つの重大事故の背景には、29の軽微な事故があり、その背景には300の異常が存在する)のように、一人の退職を生み出した29の軽微な問題点と300の改善点を洗い出さなければ、強権によって人を定着させるか、「どうして人が定着しないのか」と悩み続けることになるのです。

お金が一番と言うわけではない~ITエンジニアの退職理由

確かに「お金」は大事だけれども…

他業種と比べて人材の流動が比較的活発なITエンジニアの退職理由は、一見すると「お金」の問題であると思われがちです。「自分を高く買ってくれるところに行く」という考え方はプロフェッショナルであり、その考え方は100%正しいし、自信をもってこの言葉を発せることに敬意を表します。

確かに「お金」の問題は大事です。ビジネスパーソンの評価の大きな指標であり、何より生活の糧であるからです。社会人になって年数が経てば、結婚、住宅購入、子育て、介護、そして自らの老後など収入がザルをすり抜けるかのように出て行ってしまうライフイベントが目白押し。ですから「お金」は「あるに越したことはない」のです。

またIT業界は、若い企業が多いためか、年齢相応、仕事相応の賃金体系を想定していない会社も少なからずあり、長く居れば居るほど「割に合わない感」が強くなっていく人もいるそうです。

しかし、新橋の居酒屋に行けばどこからともなく聞こえてきそうな「うちの会社は給料が安い」という不満たらたらの愚痴は、きっと、何年か経って同じ場所、同じ席に行けば、きっと同じ人が「うちの会社は給料が安い」と同じようにこぼしていることでしょう。

どの会社、どの組織にも給料に不満を持つ人は少なからずいることはリサーチするまでもない事実ですが、先の居酒屋の主のように案外「会社を辞める」という具体的な行動まで起こす人は案外少ないのかも知れません。

人間は「認められたい」生き物である

アメリカを代表する政治学者の一人であるフランシス・フクヤマ氏は、その著書「歴史の終わり」にて「歴史を動かす原動力は、認知を求める奴隷の労働である。そして気概が、優越願望が、人間のモチベーションを駆り立て、歴史を発展させる」という旨の主張をしています。

革命や戦争といった様々な歴史の局面においてでさえ、その原動力となったのは「認められたい」という人間の本質的な承認要求であるというフクヤマ氏の説は、時の共和党政権の思想的柱にもなりました。何を言いたいかというと、古今東西、津々浦々、老若男女を問わず、人間は「認められたい」生き物であるということです。

人は認められるために命を賭け、殺し合いさえも辞さぬことは歴史が既に証明済みで、そこまでの行動は人間以外の動物では生存本能の方が優先してしまうため、滅多に起こすことはないとされています。

ITエンジニアが退職を決意する一番の要因は、「お金」ではなく、自分がそのプロジェクトや会社で必要とされているのか、活躍できるのかを実感できないこと、あるいは、プロジェクトで体力的・精神的な面で不安なくやっていける確証が持てないことにあるのではないでしょうか。

もっとざっくりと言えば、自分が必要とされて、かつ安心してやっていけるか、さらに踏み込めば「自分が認められているか」にその要因を求めることができるのではないでしょうか。

より具体的な退職理由を考えてみる

(引用サイト:あいむあらいぶ|中小Sierの退職理由を分析してみた~一番はお金じゃないんです~

ITエンジニアの退職理由として多いのは以下の理由です。

  • 長時間残業が物理的、精神的に耐えられない
  • やりたいことや目指すキャリアのビジョンが実現できない
  • 人間関係が良くない
  • 客先常駐という業務形態に疑問がある

上記の退職理由には、(1)現場でのマネジメントの失敗(2)経営的なマネジメントの失敗という2つの共通要因が根底にあり、そのうちの一方もしくは両方が損なわれるときに社員の気持ちが離れ、「退職」への意識が芽生えていくのです。

(1)現場でのマネジメントの失敗
中小Sierなので主に常駐/派遣先のプロジェクトが多くなります。派遣的な案件は、ハズレ案件に参入した際、かなりの高確率で問題が発生します。
派遣ゆえ自社からの客先プロジェクト側へのコントロールが効きません。下請けならではの力の弱さもあり、待遇改善交渉は不発に終わりがちです。

そこへ、炎上案件での元請け側のプロジェクト管理体制の甘さが目立ち、具体的な目的、説明のないまま長時間残業が慢性的に続くと、一気に現場にいる社員は気持ちが萎えて退職に気持ちが動きます。また、チーム単位での参画ではなく、一人常駐となった場合も、社員の帰属感が薄れて会社から気持ちが離れる要因になります。(原文ママ)

(2)経営的なマネジメントの失敗
管理リソース不足、能力不足から、各社員の目指すキャリアの方向へ対応しきれないケースが多発します。

結果として、(案件を用意できず)本人の意にそぐわない案件へ長期間固定してしまったり、社員の大半が客先常駐対応ばかりとなったり、自社独自のサービスが打ち出せずにいる中小Sierはかなりあります。これらから、会社の将来性や成長性を疑われたりした時に気持ちが折れてしまうようです。

また、最近多くなってきたのは、社員の求めるワークライフバランス=働き方の多様性に対して、Sier業界特有の長時間常駐型のワークスタイルが合わなくなってきていること。男性だって育休を主張する時代です。それなのに、相も変わらず長時間残業が前提の派遣常駐しか就労メニューを用意できないのは大きなマイナスになりつつあります。(原文ママ)

最後に確認して欲しいポイント

新入社員の入社後3年以内の離職率が3割、IT業界は概ね4人に1人。

人材の流動化が進み一昔前と比べて就転職が当たり前の時代になるつつある現在でさえ、自分が属した会社を去る決断を下すことは人生で何度とない途轍もなく大きなものであったはずです。

「最近の若い者は…」とベテラン社員を辟易とさせるいわゆる「根性なし」が会社をすぐに辞めてしまうのと全く別次元の話です。だからこそ、本来「いるべきでない」会社にいて才能を浪費させるようなことはして欲しくはありませんし、自身の希望に叶う環境に就けることを心より応援したいと思います。

「見切りをつけるかどうか」で迷っている人がいれば、本文で触れてきたこれまで多くのITエンジニアが下してきた退職の決断に背中を押しもらう、もしくは勇気を持って残る、いずれにしても「後悔しない決断」が下せるはずです。

 

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