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転職で、ブランクのあるSEが現場復帰するために必要なこと

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2017年02月08日

2015年6月27日の記事を再構成(文言の追加)をして作成した最新記事です。

ITエンジニアにとって職歴や手掛けたプロジェクト経験は、非常に重要なものとなります。

決して大げさではなく、技術力を武器に仕事をするためには知識と経験の2軸が評価の大部分を占めており、知識があるからこそ経験できていると見なされることも多く、転職市場において会社は、一般的には経験を重視する傾向です。


しかしながら、いくら経験があるといっても、ブランクができてしまうと復帰の道は非常に厳しいものとなります。一度現役を離れたプロスポーツ選手が、復帰してもかつての輝きを取り戻すことがほとんどできていない事例とよく似ています。

かつてサッカーブラジル代表のスター選手であったジーコが、引退から2年後に現役復帰してJリーグで活躍しましたがこれは「サッカーの神様」まで呼ばれたレジェンドと、産声を上げたばかりの日本のプロサッカーとの天と地ほどの技術と経験の差があったからで、常識ではありえないケースです。

もし、IT業界でレジェンドと呼ばれるだけの名声を得られたならば、数年のブランクなどさして問題はなさそうですが、あまり現実的な話ではありません。

そこで今回は、以前ITエンジニアとして仕事をしていたが、家庭の都合や病気などで職歴にブランクができてしまった、もしくは別の職業にチャレンジしたなど、何らかの事情でブランクのできてしまった人が改めてIT業界で活躍するために必要なことをご紹介します。

注意したい、離職期間の落とし穴

「男と女は付き合うより別れることの方が難しい」という恋愛の格言は良く聞かれる話ですが、それは会社との関係にも当てはまるのではないでしょうか。

純粋に会社がイヤになった、別のことをしたくなった、体調を崩したなど事情は様々でしょうが、周囲までの祝福と羨望を一身に浴びる寿退社を覗いては、形はどうあれ非常にエネルギーを要することであることは間違いないでしょう。

次の仕事や、治療など退職後にやることが決まっている人であれば、会社を送り出された時点で気持ちは新天地に向かっています。しかし、退職後、先のことが決まっていない人は、「まずはゆっくりして疲れを取ろう」、「じっくりと就職活動に取り組もう」など、前職の重圧としがらみから解放され、何だかのんびりとした方向に傾きがちです。

その気持ちには同情すら覚えますが、この「何もしていない」、「何も前進していない」期間はITエンジニアの転職市場においては致命的なリスクとなるのです。

離職期間が3ヵ月を超えると書類審査すら通過するのが難しくなる

会社を退職してもしばらくは退職金と雇用保険の失業給付金が出ますので、よほどのことでもない限りは生活に窮することもありませんし、ちょっとしたボーナスが出たような気持ちになる人が多いようです。

ですので、退職後しばらくは休養したり長めの海外旅行にでかけるなど、束の間の離職期間を謳歌する人もいるようです。しかし、その間にITエンジニアの転職市場における市場価値は坂を転がり落ちるように低下し、3ヵ月を過ぎるころには書類審査すら通過することが困難となっていきます。

離職期間が長いと「働く意欲」が疑われる

3ヵ月(=四半期)と言えば、企業経営における節目となる期間。この間にも経営環境は目まぐるしく変化し、テクノロジーも進化を遂げます。会社の中に居ればあっと言う間に過ぎ去る時間ですが。この3ヵ月という期間は、「何もしない」のにはあまりにも長すぎる時間なのです。

ですので、離職期間が長期に渡ると採用担当者は、働く意欲が低下していないかを警戒するのです。もし、ブランクの期間に本当に何もしていない、もしくは何もしていないも同然とみなされれば、その能力をよほど買われない限りは、思うような転職活動は困難であると言わざるを得ません。

また、企業は採用活動にかなりのエネルギーと予算を費やしていることがほとんどですので、採用しても、すぐに辞められてしまうことを危惧しています。

したがって、採用担当者は、転職希望者の退職理由に関してはかなり突っ込んだ質問をしてくることが多い。理由はどうあれ、「前の会社を退職している」という事実が消えることはありません。

この事実が、「どうせウチに来てもすぐ辞めちゃうんでしょ」という疑念を晴らすことができず、しかも離職期間が長いとなれば、なおさらのこと「働く意欲」が疑われてしまうのです。

こうして転職先が決まらないと、必然的に離職期間が長くなってしまいます。その結果なおさら、転職成功の可能性は狭まっていく負のスパイラルに陥ってしまいます。

「早く決めなければ」という焦りと不安が高まり、転職でキャリアダウンという残念な結果となることも少なくないのです。これなら我慢してでも前職にしがみつけばよかったという後悔も後の祭りなのです。

転職が最終的な目的ならば退職前に転職活動を行うべき

離職期間があることは、それ自体が転職活動にとって大きなリスクです。ですから、転職することが最終的な目的ならば、退職前に転職活動を行うべきです。転職活動は、自分自身を見つめ直し、キャリアについて腰を据えて考える良い機会です。

もし転職活動が上手くいかなくても、会社に残る決断をすれば最低でもキャリアダウンは防ぐことができます。少なくとも「会社を辞めたらまずはちょっと休んで…」という発想だけは頭の中から消し去るようにしてください。

転職ブランクのあるシステムエンジニアが復帰するための条件

これまで転職ブランクのリスクについて述べてきましたが、ここでは転職ブランクという「最大の敵」と対峙する方法を紹介していきます。

ブランクの理由をはっきりさせる

「経歴書にブランクがあると不利になりますか?」と企業の採用担当者へアンケートを取った結果、「不利になる」と答えが90%という結果があります(ワークポート社調べ)。

半年以上、ブランク期間があると不利になるという回答が多い中、ブランクの間に何をしていたのかによっては一概に不利ではないという意見もあり、「不利ではない」という回答の多くは、能力やスキルを重視しているようです。そのため、まずはブランクの理由をはっきりさせる必要があるでしょう。大きく2つに分けて対応策を考えてみました。

他業種(業界)で働いていた方

他の業種で働かれていた方は、その業種、業界で新しい経験をすることでスキルを身につけているともいえます。一昔前は、IT業界を離れていた場合はブランクとみなされていましたが、ITを利用する幅が広がったことや、エンジニアも技術だけではなくビジネススキルや考え抜く知的体力などを求められるようになり、他業界での経験も重宝される傾向です。

ですから挑戦した動機など含め口頭や経歴書で伝えることで、単なるブランクより良いイメージになります。

家庭の都合、病気、転職活動などで仕事ができなかった方

家庭の都合や病気で仕事ができなかった方は、書ける範囲で構わないので、きちんと事実を記入する必要があるでしょう。採用担当者は「今後、その理由が仕事に影響しないか?」を気にする場合があるので、影響の有無をはっきりとさせましょう。

また、ブランクの間でも自宅などでWEBサイトを構築したり、独学で技術を磨いていいた方は、何をやって、どんな知識を増やしたのかを明記したほうが良いでしょう。

最近はインターネット上に無料または安価で利用できる様々なサービスが増え、自宅でもできることが多くなっています。個人でWebサービスを立ち上げる方なども多いため、以前より業務外の活動を評価する企業は増えているので、自主活動も積極的にアピールしましょう。

いずれの場合も、経歴がブランク期間をどのように過ごしていたのかをはっきりさせることで不明な期間がなくなり、相手の不安感は低くなります。できれば「目的意識」や「計画的な行動」などを説明できるように整理しておくと、より説得力が高くなり面談時の印象も良くなります。

過去の職歴を最大限に活かす

過去の職歴は消えることはないですが、ブランクがある場合は2つの面で不利な状況が生まれる可能性があります。

エンジニアとして現役ではない

ブランクがない人に比べると、現役ではない(すぐに活躍できない)と見られることもあるでしょう。これには原因があります。人間は時間の経過と共に、記憶が薄れていくからです。

そこで復帰するにはまず曖昧になっている過去の経験を整理する必要があります。少なくとも自分の経験したものが正確に面談者へ伝えられるレベルは最低限必要です。その中でも得意とする業種、分野、担当について特に注力してください。

過去の技術や手法が、現在使われていない

ITは常に新たな技術や手法が研究され実用化されているので、ブランクが長くなると以前使っていたものが既に使われてないということはあります。ただし、基礎的な技術要素や考え方などは、意外と過去の技術や手法の応用や進化形ということも多い。

使っていた技術が現在はどのようになっているのか、現在の主流の技術は自分の保有している技術と何が違うのか、インターネットや書籍で調べたり、知人から情報を仕入れることで理解も深まります。すると不安も薄れ、説得力がある説明ができるようになります。

また、レガシーシステムの代表といわれる大型汎用機も、ダウンサイジングが始まる前に比べれば利用シェアはかなり低くなっていますが、金融業界などをはじめとする高信頼性が不可欠なシステムには今後も一定のシェアで使われることが予測されるので、経験を活かすチャンスはまだあります。

例えば、開発言語であればCOBOLやC言語なども数は多くはないですが、依然として大企業の情報システム部門や大規模証券システムなどでも現役で使われています。

漠然とIT業界への復帰を考えるのではなく、自分が保有する技術を活かせるフィールドを研究した上で、活動することが重要です。個人でフィールドを探すことが難しい場合は、転職エージェントを利用してみましょう。

求職者に有利な現在の状況を活かす(過去24年間で最高)

2015年5月29日に厚生労働省が発表した4月有効求人倍率は1.17倍となりました。この数値はバブル期(1991年)以降の過去24年間で最高数値となっています。

有効求人倍率01

 

[有効求人倍率01]

有効求人倍率は、仕事を探している人1人に対して何件の有効な求人があるのかを示した数値で、有効求人倍率が1.0倍より高いと、「求職者<仕事」となります。よって、過去24年間で現在が一番「仕事が多く、人が足りていない」状況といえます。

転職サイト大手DODAの調べでは、2015年5月求人倍率は1.21倍となり、その中でもっとも倍率が高い業種は「IT/通信」で2.67倍。続いて2位に「メディカル」1.77倍、3位に「サービス」1.38倍と、IT業界が圧倒的に「人手が足りていない」という状況がわかると思います。

有効求人倍率02

[有効求人倍率02]

人材不足で採用がうまく行かない場合は、選考基準のハードルが下がる傾向です。

また、今後についてはいろいろな予測がありますが、大きな流れとして考えられるのが2016年~2017年には銀行統合や公共、電力関係の大型プロジェクトがひと段落し、一旦ITエンジニアの募集は落ち着くのではないかといわれています。

そのためIT業界への復帰を挑戦するには、今が非常に良いタイミングでしょう。

最後に確認して欲しいポイント

最後に、ブランクのあるITエンジニアの方が復帰するためにやるべき事のまとめです。

1.相手に不安を与えない

ブランクの理由やその間に何をしたのかをきちんと伝えられようにしましょう。

2.過去の経歴を最大限に活かす

過去の記憶と経験を整理して、最新の情報を入手して理解する。

3.タイミングを逃さない

仕事が少ない状況に比べ、現在は仕事が多く非常に良い環境です。ぜひ、IT業界へ復帰するために今回ご紹介したことを試してみてください。

また、仕事を選ぶことは非常に重要なことなので、IT業界と一言でいってもSI、インターネットサービス、研究開発などその仕事特有の働き方があります。

自分にあった仕事を1人で探すのが困難な場合は、外部のエージェントやキャリアコンサルタントなどのプロフェッショナルへ相談するとよいでしょう。

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