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フリーランスの確定申告を徹底解説!やり方や必要書類、注意事項など幅広く説明

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2022年08月17日

特定の法人に属さないフリーランスや個人事業主の方は、確定申告を行うことで所得税を文字通り「確定」する必要があります。
所得税の「確定」によって、住民税や国民健康保険料が決まるためです。

とはいえ、フリーランスや個人事業主の方の中にも、何故確定申告をしなければならないのか?
その意義を把握していない方も少なくありません。

この記事では、フリーランスの確定申告について次の項目を解説していきます。

・そもそも確定申告とは?

・白色申告と青色申告の違い

・確定申告が必要なケース・不要なケース

・フリーランスが確定申告を行う4つのメリット

・確定申告の流れ

・確定申告をしないとどうなる?

・期限に遅れた場合や記入内容に誤りがある場合はどうなるの?

・確定申告を手軽に済ませるコツ

この記事が役に立つ方

・確定申告の手順や必要書類について知りたい方

・確定申告を怠った際のリスクを知りたい方

・確定申告でミスをしてしまった際の対処法を知りたい方

そもそも、確定申告とは?

確定申告とは、1年間の収入および経費などの支出をまとめて所轄の税務署に書面にて報告し、所得税を「確定」する制度です。

所得税の確定申告は毎年の2月16日頃から3月15日頃にかけて実施され、その期間内に所得税を納めます。

※所得=収入-(経費+控除額)

所得税が確定することで、翌年に納める住民税や国民健康保険料の金額が決定。
事前の源泉徴収で多めに所得税を納めていた場合には、所得税還付金として申告者が指定した金融機関の口座に後日、入金される形です。

年末調整との違い

企業に勤める方は確定申告を行う代わりに、企業による「年末調整」が実施されます。
年末調整によって源泉徴収した所得税を本来の納税額に整えた後、翌年1月頃の給与にて反映することが大半です。
おおむね他の月と比べて数万円ほど多く受け取ることになるかもしれません。

ただし次のパターンに該当する勤め人は、確定申告が必要となります。

・年間の給与が2千万円以上

・医療費控除を受けたい方

・住宅ローンを支払っている方

・副業の年間所得が20万円以上ある方

・不動産や株式などの運用による収益のある方

・ふるさと納税を行った方

特にふるさと納税にトライした方は、確定申告を行わないと所得税や住民税の還付金の受取に結びつかないのでご注意ください。

※ワンストップ特例制度を利用した方を除きます

白色申告と青色申告の違い

確定申告には白色申告と青色申告の2種類が存在します。

  控除額 記帳方式 主な提出書類 申告方式
白色申告 基礎控除額のみ 単式簿記 収支内訳書 書類提出
郵送
e-tax
青色申告
(10万円控除)
基礎控除額+10万円 単式簿記 青色申告決算書
※損益計算書
書類提出
郵送
e-tax
青色申告
(55万円控除)
基礎控除額+55万円 複式簿記 青色申告決算書
※損益計算書
※貸借対照表
書類提出
郵送
e-tax
青色申告
(65万円控除)
基礎控除額+65万円 複式簿記 青色申告決算書
※損益計算書
※貸借対照表
e-tax

基礎控除額については次の表にまとめています。

合計所得金額 基礎控除額
~24,000,000円 480,000円
24,000,001円~24,500,000円 320,000円
24,500,001円~25,000,000円 160,000円
25,000,001円~ 0円

白色申告

確定申告を素直に行った際には、自動的に白色申告となります。
白色申告を選択した場合、基礎控除額48万円が適用される形です。

経費を差し引いた年間所得が500万円の場合、500万円-48万円=452万円が所得として算出されます。

青色申告

青色申告を選択する際には、開業届と青色申告承認申請書を所轄の税務署に提出することが必須です。
※提出期限はその年の3月15日まで

複式簿記での記帳や青色申告決算書の作成が求められます。
基礎控除額に加えて、青色申告による控除額がプラスされるのが特徴です。

経費を差し引いた年間所得が500万円、65万円控除の青色申告を選んだ方の場合、
500万円-(48万円+65万円)=387万円の所得となります。

確定申告が必要なケース・不要なケース

前述した基礎控除額の48万円以下の所得の方は、確定申告をしなくとも「表向きは」問題ありません。
※所得=収入-(経費+控除額)

ただし、所得税や住民税の還付金の受取を「放棄した」とみなされます。
確定申告を行わないと収入の証明ができないため、金融機関でのローン設定も認められません。
お子さんが保育園などに入園する際の審査や、賃貸物件の入居審査にも通過できない可能性が高まります。

仮に48万円以下の所得であっても、報酬から源泉徴収(10%ほど)がなされている方は、確定申告を行ったほうが無難でしょう。

フリーランスが確定申告を行うことの4つのメリット

フリーランスや個人事業主が確定申告を行うことで、次の4つのメリットを得ることが可能です。

・確定申告書の控えが収入証明書になり得る

・節税効果

・還付金をもらえる場合がある

・赤字を繰り越すことができる場合がある

確定申告書の控えが収入証明書になり得る

フリーランスが確定申告をすることによるメリットには、確定申告書の控えが収入証明書となり得る点があげられます。
勤め人の給与明細書の代わりが確定申告書の控えということです。

・賃貸物件の入居審査

・金融機関への住宅ローンなどの設定

・お子さんの保育園の入園審査

上記のシチュエーションなどで、確定申告書の控えがフリーランスの収入証明として役立ちます。

節税効果

確定申告を行うことで、一定の条件を満たした際には「所得控除」が受けられます。

・基礎控除

・医療費控除

・寄附金控除

・社会保険料控除

・生命保険料控除など

所得控除を受けることで、所得税の節税につながるのはメリットのひとつです。

還付金をもらえる場合がある

報酬に源泉徴収が設定されている場合には、確定申告によって所得税の還付金がもらえる可能性があるのも小さくないメリットです。

株式などの譲渡所得税が発生している際には、所得税だけでなく住民税の還付金を受け取れるケースも存在します。

赤字を繰り越すことができる場合がある

青色申告を選択した方が対象となりますが、「繰越控除」の適用にて、赤字分を3年間に渡って繰り越すことが可能です。

前年度が200万円の赤字となった際に繰越控除を利用した場合、今年度が300万円の黒字決済であれば、
300万円-200万円=100万円の黒字収支として修正できます。

確定申告の流れ

確定申告は次の手順に沿って進めていくことで完了します。
確定申告は国税庁のホームページの「確定申告特集」を利用するのがおすすめです。
確定申告で記載した情報もダウンロードできるため、翌年度以降の確定申告書の作成が容易になります。

必要な書類をそろえる

確定申告で必要とされる書類は以下のとおりです。

・確定申告書

・本人確認書類

・預金通帳またはキャッシュカード

・所得の証明が可能な書類

・控除の証明が可能な書類

確定申告書

確定申告書は国税庁のホームページからのダウンロードや、所轄の税務署より入手可能です。
フリーランスや個人事業主は「確定申告書B」の提出が求められます。

確定申告書の種類 申告できる所得の種類
確定申告書A ・給与所得
・公的年金
・雑所得
・配当所得
・一時所得
確定申告書B ・給与所得
・公的年金
・雑所得
・配当所得
・一時所得
・事業所得
・不動産所得
・利子所得
・譲渡所得

本人確認書類

本人確認書類としてマイナンバーカードの提示が必要です。
郵送やe-taxの場合には、マイナンバーカードの表面と裏面を撮影した画像を添付します。

マイナンバーカードを所持していない方は、次の番号確認書類と身元確認書類を1通ずつ提出する形です。

書類の種別 有効な本人確認書類
番号確認書類 ・マイナンバーの通知カード
・マイナンバー記載済みの住民票の写し
のうちいずれか1通
身元確認書類 ・運転免許証
・各種健康保険証
・パスポート
・身体障害者手帳
・在留カード
のうちいずれか1通

預金通帳またはキャッシュカード

所得税を口座振替する際や、所得税の還付金の入金先として、金融機関の口座情報を記入する際に使用します。

所得の証明が可能な書類

確定申告書の作成の際、所得の証明が可能な書類を参照しながら記入していくことになります。
虚偽の情報を記載することが認められないためです。

所得の区分 証明可能な書類
事業所得
不動産所得
青色申告:青色申告決済書 白色申告:収支内訳書
給与所得
公的年金
賃金、報酬など
源泉徴収票 ※2019年以降は添付不要
配当所得
一時所得
雑所得
所得の内容が証明できる書類(領収書など)
株式譲渡所得 年間取引計算書
不動産譲渡所得
※土地や建物
売買契約書 物件購入時の契約書 収入印紙代や仲介手数料の領収書  

控除の証明が可能な書類

各種所得控除を受けるために必要な書類です。

所得控除の種類 証明可能な書類
医療費控除
※年間の医療費が10万円超の方が対象
医療費の明細書
薬局やドラッグストアの領収書 ※薬剤を購入した場合のみ
病院までの交通費がわかるもの(領収書など)
住宅ローン控除
※初回申請の方のみ
住宅借入金等特別控除の明細書
住民票の写し
売買契約書の写し
登記事項証明書(原本)
住宅ローン残高証明書
寄付金控除 寄付金の受領証
認定証の写しなど

確定申告をしないとどうなる?

フリーランスや個人事業主が確定申告を怠った場合には、次の加算税や延滞税が課せられる可能性があります。
期限内に納めることを心がけましょう。

種別 課税要件 課税割合
過少申告加算税 期限内の申告に対して、修正申告や更正が生じた場合 10%
※期限内申告税額と50万円のうち、いずれかより超えた金額には15%
無申告加算税 ・期限後申告が発生および決定した場合
・期限後申告への修正申告や更正が生じた場合  
15%
※50万円を超える部分には20%
不納付加算税 法定納付期限を超えてから納付や納税の告知がされた場合 10%
重加算税 仮装や隠蔽が発覚した場合 ・過少申告加算税と不納付加算税に代えて35%
・無申告加算税に代えて40%
延滞税 法定納付期限を超えてからの納付 ・納付期限翌日から2ヶ月 年7.3%もしくは特例基準割合+1%のいずれか低い方
・納付期限から2ヶ月を超えた分 年14.6%もしくは特例基準割合+7.3%のいずれか低い方  

参考資料
国税庁「加算税の概要」
https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/tins/n04_3.pdf

期限に遅れた場合や記入内容に誤りがある場合はどうなるの?

確定申告の期限内(毎年の2月16日頃から3月15日頃)であれば、確定申告書の記載ミスなどを修正して再提出することが可能です。

期限内に確定申告書の提出が難しい際には、速やかに所轄の税務署に連絡して遅れる理由や事情を報告してください。
報告がない場合には、無申告加算税が課されるケースも想定されます。

多すぎる納税額

計算ミスなどで本来の納税額よりも多く納めてしまった際には、所轄の税務署長宛への更正請求書の提出後に還付金の形で受け取ることが可能です。
法定納付期限から5年以内であれば、更正請求書の提出が認められます。

少なすぎる納税額

本来の納税額よりも少なすぎる場合には、所轄の税務署に修正申告を行う必要があります。
ただし税務調査後の修正申告に関しては、過少申告加算税が発生するケースも。
記載ミスに気づいた時点で速やかに修正申告を行うことがベストな解決策です。

確定申告を手軽に済ませるコツ

確定申告を手軽に済ませるコツとして、確定申告ツールの利用があげられます。

たとえば国税庁のホームページ「確定申告特集」であれば、所得や経費などの必要事項に記入するだけで、所得税額を自動的に算出。
還付金の額もその場で表示してくれます。

青色申告を行う場合には、会計ソフトの利用がおすすめです。
簿記の知識を持たずとも指定された手順に則って進めるだけで、確定申告書はもちろんのこと、青色申告決算書(損益計算書や貸借対照表)も容易に作成できます。

完成した確定申告書はe-tax(イータックス)で提出。
所得税の納税に国税クレジットカードお支払サイトを利用すれば、自宅にて確定申告が完了します。
※e-taxの利用にはマイナンバーカードやカードリーダが必要です

国税庁ホームページ「所得税の確定申告」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kakutei.htm

【e-Tax】国税電子申告・納税システム(イータックス)
https://www.e-tax.nta.go.jp/

国税クレジットカードお支払サイト
https://kokuzei.noufu.jp/

まとめ

ここまで、次の内容について紹介してきました。

・確定申告は白色申告と青色申告の2種類

・フリーランスが確定申告で得られる4つのメリット

※収入証明書、節税効果、還付金、繰越控除

・確定申告の手順

・確定申告を怠ると加算税や延滞税が課されるリスク

・確定申告で記載ミスがあった際の修正方法

・確定申告を手軽に済ませるためには会計ソフトがおすすめ

領収書の整理や仕訳など、業務以外に時間を取られてしまうのが確定申告です。
できるだけ効率よく行うことで、業務時間や休息をしっかり確保しましょう。

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