プロジェクトリーダーとは、IT業界における開発の現場にてプロジェクトの進行に対して責任を持つ役割を担う方の名称です。
現時点でエンジニアの仕事をしている方にとっても、上司となるプロジェクトリーダーの職務や仕事内容、求められるスキルを知っておいて損はありません。
特に将来のキャリアパスとして、プロジェクトリーダーを目指している方であれば尚更でしょう。
ここでは、プロジェクトリーダーに関する次の項目をご紹介します。
この記事が役に立つ方
・現在エンジニアとして働いている方
・エンジニア職に興味のある方
・プロジェクトリーダーの役割や仕事内容の理解を深めたい方
・プロジェクトリーダーを目指す上でのキャリアパスや資格、スキルを知りたい方
プロジェクトリーダーとは
プロジェクトリーダーとは、ソフトウェアの開発やシステム構築などの現場責任者です。
エンジニアと同様の個人での作業と、プロジェクトメンバーの進捗状況や管理を兼務します。
エンジニアとしての実力はもちろんのこと、メンバーとのコミュニケーション能力やリーダーシップが求められるのがプロジェクトリーダーの職務です。
プロジェクトリーダーの役割・仕事内容
プロジェクトリーダーの役割や仕事内容には次の4つがあげられます。
・スケジュールを管理する
・メンバーを管理する
・問題を適切に解決する
・他の部署やチームとの連携
スケジュールを管理する
スケジュールの管理はプロジェクトリーダーの役割のひとつです。
プロジェクトの完成(納期)からさかのぼり、無理のないように日程を組むことから始まります。
とはいえ、最初の予定通りに物事が進むことが稀なのも確かです。
その都度、対応策や解決策を提示し、納期に間に合うように修正する必要があります。
メンバーを管理する
プロジェクトリーダーの役割には、メンバーを管理することも含まれます。
・メンバーのスキル
・メンバーのコミュニケーション能力
・個々のメンバーの特徴
・メンバーごとのスケジュール(進捗状況)
・メンバーの健康状態(疲労度)
特に進捗状況とメンバーの健康状態(疲労度)は確認しておきましょう。
遅れが目立つようであれば、ほかのメンバーに仕事を振り分けることも大切です。
一部のメンバーに業務が集中しすぎないように気を配りましょう。
問題を適切に解決する
プロジェクトリーダーには、問題を適切に解決することも求められます。
順調な進捗で完遂するのが理想ですが、おおむね何らかの問題が起こるのが世の常です。
プロジェクトリーダー自身がフォローやサポートをすることもあるでしょう。
可能な限り速やかに問題の解決に導く対応や的確な指示が求められます。
無事、問題が解決しましたら、同じトラブルを繰り返さないためにも、プロジェクトマネージャーとともに防止策を講じることも大切です。
他の部署やチームとの連携
プロジェクトリーダーの役割として、他の部署やチームとの連携も忘れてはなりません。
自らのチームの管理はもちろんのこと、以下のチームとの連携が必須です。
・サーバ
・ネットワーク
・ソフトウェア
・ミドルウェア
・アプリケーション
・保守
・運用
それぞれ異なるチームごとの進捗状況の確認や、問題が起こった際の解決策の共有などを綿密に行うことでプロジェクト全体の完遂に向かいます。
プロジェクトリーダーの年収
プロジェクトリーダーの年収の目安として、次のデータをご紹介します。
|
平均年収 |
参照元URL |
プロジェクトマネジャー・リーダー |
6,550,000円 |
2022年版 職種別・業種別・年齢別モデル年収平均ランキング |
プロジェクトマネジャー |
6,710,000円 |
「転職・求人doda(デューダ)」職種別の平均年収ランキング(2021年版) |
レベル4 |
7,261,000円 |
経済産業省「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」 2017年8月21日公開 |
プロジェクトリーダー |
4,760,000円 |
マイナビIT AGENT |
プロジェクトリーダー |
5,570,000円 |
マイナビIT AGENT |
データごとの年代が異なるため、単純に比較するのは難しいのですが、一定以上のスキルが求められる職種ならではの年収が得られることが示されています。
特に20代~の方にとっては、待遇面を含めて魅力的な職種と言えるかもしれません。
プロジェクトリーダーに求められるスキル・知識
プロジェクトリーダーに求められるスキルや知識には、以下のようなものが考えられます。
・コミュニケーション能力
・マネジメント能力
・問題の解決と危機管理能力
・ITリテラシーのアップデート能力
コミュニケーション能力
コミュニケーション能力は、プロジェクトリーダーに欠かせないスキルと言えるでしょう。
複数名のメンバーで進めていくプロジェクトは、個々のメンバーからの意見や状況説明から適切な情報を取捨選択する必要があります。
「話し上手は聞き上手」という言葉もあるように、相手の言うことに耳を傾けることがコミュニケーション能力の第一歩です。
一方で、自身の意見や指示を的確に表現することも大切な要素と言えます。
マネジメント能力
プロジェクトリーダーにはマネジメント能力も必須のスキルです。
自身のタスクをこなすだけでなく、チーム全体を納期に間に合うように導くことで「仕事ができる人」の評価につながります。
細部だけでなく、全体を見る習慣をつけることから始めていくと良いかもしれません。
先述したコミュニケーション能力と合わせて発揮していくと効果は抜群です。
問題の解決と危機管理能力
問題の解決と危機管理能力も、プロジェクトリーダーに求められるスキルです。
何事も当初のスケジュール通りに進むことは滅多にありません。
その都度起こる問題に対して、的確な処理を積み重ねることがゴールへと結びつきます。
物事の半歩先を読みながら、最悪の状態を想定することが大切です。
ITリテラシーのアップデート能力
ITの世界は日進月歩であることから、ITリテラシーのアップデートを欠かさないこともプロジェクトリーダーが持つべきスキルです。
スキルというよりも心構えに近いかもしれません。
プロジェクトによっては、最新の技術を取り入れることが前提とされるものも考えられます。
「できない」「わからない」「知らない」では厳しくなるのは確実です。
まずは新しい技術や情報に興味を持つことから始めることをおすすめします。
プロジェクトリーダーになるには
プロジェクトリーダーまでの道程は、次のパターンに該当することがほとんどです。
・プログラマー(PG)
⇒SE(システムエンジニア)
⇒プロジェクトリーダー
最初にプログラマーとして入社し、SE(システムエンジニア)を経てからプロジェクトリーダーへの就任となります。
企業ごとに異なりますが、入社から3年から5年ほどでプロジェクトリーダーに任命されることが多いようです。
他の業界からの中途入社の場合でも、基本的には同様の流れと考えて良いでしょう。
すでにマネージメントの経験を持つ方なら、知識や技術的な問題をクリアしておくとプロジェクトリーダーへの道が拓けやすいかと思われます。
プロジェクトリーダーを目指すうえでおすすめの資格
プロジェクトリーダーになるためには特別な資格は必要ありません。
とはいえ、所有していると有利に働く資格が存在するのも事実です。
ここではプロジェクトリーダーを目指したい方におすすめの資格として、次の3つの資格をご紹介します。
・プロジェクトマネージャ試験
・応用情報技術者試験
・システムアーキテクト試験
プロジェクトマネージャ試験
独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)が提供する資格制度のひとつです。
名前からイメージできる通り、将来的にプロジェクトマネージャーを目指す方を対象としています。
受験手数料は7,500円(非課税)。
プロジェクトマネージャ試験の合格者には、合格証書(経済産業大臣の署名付き)が授与されます。
プロジェクトマネージャ試験の2017年から2021年の合格者数と合格率を次の表にまとめてみました。
|
受験者数 |
合格者数 |
合格率 |
2017年 |
11,596名 |
1,521名 |
13.1% |
2018年 |
11,338名 |
1,496名 |
13.2% |
2019年 |
10,909名 |
1,541名 |
14.1% |
2020年 |
6,276名 |
948名 |
15.1% |
2021年 |
6,680名 |
959名 |
14.4% |
※2019年までは年2回(春期、秋期)の開催
参考資料
情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験「推移表」
https://www.jitec.ipa.go.jp/1_07toukei/_index_toukei.html
合格率が決して高いとは言えないため、事前の準備がカギとなります。
業務の合間を縫って学習するための時間を設ける必要があるかもしれません。
応用情報技術者試験
応用情報技術者試験も、独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)が開催する資格制度です。
応用情報技術者試験の受験手数料は7,500円(非課税)です。
応用情報技術者試験の合格者に対しても、経済産業大臣の署名入りの合格証書が贈られます。
応用情報技術者試験の2017年から2021年までの合格者数および合格率を以下の表にまとめています。
|
受験者数 |
合格者数 |
合格率 |
2017年 |
65,036名 |
13,659名 |
21.0% |
2018年 |
64,367名 |
14,865名 |
23.1% |
2019年 |
63,555名 |
14,160名 |
22.3% |
2020年 |
29,024名 |
6,807名 |
23.5% |
2021年 |
59,698名 |
14,006名 |
23.5% |
2022年(春期) |
32,189名 |
7,827名 |
24.3% |
参考資料
情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験「推移表」
https://www.jitec.ipa.go.jp/1_07toukei/_index_toukei.html
システムエンジニアとしての知識や技能を示すための資格のため、プロジェクトマネージャと比べると受験者数が多く、合格率が若干高めです。
システムアーキテクト試験
独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)が運営する資格制度には、システムアーキテクト試験も存在します。
応用情報技術者試験の上位資格(高度試験)にカテゴライズされていることもあり、システム開発に関するよりハイレベルな知識や技能が求められるのが特色です。
システムアーキテクト試験の受験手数料も7,500円(非課税)となります。
|
受験者数 |
合格者数 |
合格率 |
2017年 |
5,539名 |
703名 |
12.7% |
2018年 |
5,832名 |
736名 |
12.6% |
2019年 |
5,217名 |
798名 |
15.3% |
2021年 |
3,433名 |
567名 |
16.5% |
2022年 |
3,474名 |
520名 |
15.0% |
※2020年は実施されていません
参考資料
情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験「推移表」
https://www.jitec.ipa.go.jp/1_07toukei/_index_toukei.html
プロジェクトリーダーのキャリアパス3選
プロジェクトリーダーのキャリアパスとして想定されるのは次の3つです。
・プロジェクトマネージャー
・ITコンサルタント
・フリーランス
プロジェクトマネージャー
プロジェクトリーダーとして経験を積み重ねた方のキャリアパスのひとつに、プロジェクトマネージャーがあげられます。
プロジェクトマネージャーはプロジェクトリーダーの上司にあたるポジションです。
プロジェクトリーダー:プロジェクトの現場責任者
プロジェクトマネージャー:プロジェクトの統括責任者
プロジェクトマネージャーの役割は、予算の管理や社外との交渉も含まれます。
現場で実際に動くというよりも、管理職的な意味合いが強くなるため、よりハイレベルなコミュニケーション能力や言語化能力が必須です。
ITコンサルタント
プロジェクトリーダーを経験した方の中には、ITコンサルタントの道を選ぶパターンも存在します。
ITコンサルタントは、企業のITに関する問題の解決策や改善策を提案する職種です。
ITを活用した経営の相談を受けることも少なくありません。
一定以上の需要が見込まれるため、選択肢のひとつとして考えておくのも良いでしょう。
フリーランス
プロジェクトリーダーを経た後に、フリーランスとして独立するケースも考えられます。
開発現場を完遂に導く即戦力として迎え入れられる確率が高いでしょう。
前述したITコンサルタントとしてのフリーランスを選ぶ方もいるようです。
まとめ
ここまで、プロジェクトリーダーに関する以下の項目を紹介してきました。
・プロジェクトリーダーとは
・プロジェクトリーダーの役割・仕事内容
・プロジェクトリーダーの年収
・プロジェクトリーダーに求められるスキル・知識
・プロジェクトリーダーになるには
・プロジェクトリーダーを目指すうえでおすすめの資格
・プロジェクトリーダーのキャリアパス3選
プログラマーやシステムエンジニアとしてお仕事をしている方にとって、プロジェクトリーダーはひとつの目標となり得るポストです。
知識や技術だけでなく、他者との交渉やリーダーシップなどの能力が求められます。
責任が重くなるのは否めませんが、収入面での見返りが期待できるのも確かです。