会議にかかる時間を、会議では直属の上司だけではなく、さらに上席の役職者とも同席することがあります。
日頃接する人に対しては、ちょっとしたミスを犯してもその後の仕事で挽回できますが、会議でしかほとんど顔を合わせない相手にはそうはいきません。
会議は普段顔を合わせない役職者に顔を覚えてもらえるチャンスではありますが、その反面、会議での印象が悪いとその後の社内でのポジションが悪くなりかねません。
役職者とは会議ぐらいでしか顔合わせをしないため、会議での印象で、有能か否かを判断されてしまいます。社内で上手く自分のポジションを掴むために、ミーティングや会議をスムーズに進めるための方法と、合わせて自分を有能に見せるためのコツを抑えておきましょう。
無駄な会議にならないよう、目的を意識する
結局、いまの会議なんだったの?と思うことはないでしょうか。2時間もかかったのに何一つ決まらなかったとか、アジェンダの内容と違う話ばかりしていたとか。
また、自分が進行する立場でも思いのほか上手く進められなかったり、話を遮られてしまうということもあるでしょう。
これらは、参加者のうち誰か一人でも「会議の目的」を意識して、意見を出していくことでちがう結末を迎えることができます。
「〇〇を決めることが今日の結論でいいでしょうか」
「決められないとしたら、次回までに何を調べてくる必要がありますか」
「意見が出ない場合は、〇〇さんの言ったアイデアで決定でいいですか」
など、議論する目的を定め、参加者の意識を合わせ続けるよう、うまく誘導すればいいのです。
これは本来、進行役が行うべきですが、進行役がうまく仕切れないなら、参加者が進めていけば良いでしょう。無駄な会議になるよりはましです。
ここで注意が必要なのは「自分は出しゃばっていないか」「無理に意見を押し付けていないか」などと、たまに俯瞰で考えてみることです。これを怠るとただの独りよがりになってしまいます。
YES、NOだけで答えない
会議で有能に見せるためには、素晴らしいアイディアや判断力を有していると認識されなければなりません。そのためには、自分の意見を述べていると判断される必要があります。
他の人の提案に同意するか聞かれたとき、「はい」か「いいえ」だけで答えると、自分の考えがないように見られがちです。なぜそう思うのか、理由を添えて発言することが大切です。
特に思い浮かばない場合には、「○○さんの考えの△△の部分に自分も同感するので」といったように他の人を立てつつ、同意見とするとよいでしょう。
ただ、ゴルゴ13が「余計な修飾は省いて用件だけを伝えてほしい」とクライアントに繰り返し要求しているように、「はい」や「いいえ」を伝えるためだけに長々と言葉を修飾しても、ムダを嫌う人からは反対に「はい」か「いいえ」だけで意見を述べろと注意されかねません。
そのため同じ手は何度も使えませんが、普段は自身のアイディアを述べるようにして、どうしてもアイディアが出てこないときだけ使うと、自分の意見を持って会議やミーティングに臨んでいる印象を与えられます
発言しやすい質問をする
ミーティングや会議に慣れてきたら、発言したいことがありながらも、発言しづらくて困っている人がいたら、その人に質問することで発言しやすい雰囲気をつくるようにしましょう。
ただ話を聞いているのではなく、相手が話したい内容を話せるように持っていくことが真の聞き上手です。助け船を出すと、自分が困ったときに助けてくれる人が増えていくものです。会議やミーティングは、味方をつくる場でもあります。
大きな声ではきはきと発言する
基本的なことではあるのですが、発言するときは大きな声ではきはきと発言しましょう。発言の内容やコミュニケーションばかりに囚われていると、基本的で大切なことを見失います。
小さな声でぼそぼそと発言すると、どんなに素晴らしい提案でもその素晴らしさが伝わりづらいのです。
同じ提案でも、大きな声ではきはきと発言する人と、小さな声でぼそぼそと発言する人、どちらの提案が採用されるかといえば、必ず大きな声ではきはきと発言する人なのです。
聞き取りやすい早さで発言する
人が聞き取りやすい早さで発言しましょう。人間は1分間で300文字程度の速度で喋ってもらえると、最も理解しやすいそうです。
もちろん常にぴったりと1分間で300文字に合わせる必要はありませんし、よほど訓練した人でも至難の業ですから無理をする必要はありませんが、ついつい早口になってしまう人、または喋るのが遅いと指摘されやすい人は、有能と思われるためにもひとつの目安とするべきです。
参加者と目線を合わせる
参加者、特に発言者や上司、役職者とは発言の際に目線を合わせるようにしましょう。いかに相づちを打っていても、目線が合わないと話を聞いていないのではないか、と思われてしまいます。
話者からすれば、話を聞いていなさそうな人を見かけると、ついつい意地悪な質問をしたくなるものです。
意地悪な質問ですから、とても即答できそうな質問ではなく、当然答えられず、それによって人の話を聞いていない人としてレッテルを貼られてしまいます。そのため話を聞いていると態度で話者に伝えることはとても大切なのです。
上司の発言を否定しない
ミーティングや会議の場でやってはいけないのは、上司の発言を真っ向から否定することです。上司は人前で恥をかかされたという印象を持ってしまいかねません。
経験が浅いと会議という意見を言い合う場所ではついつい何が何でも自分の意見を押し通すことこそが評価されるポイントだと考えがちですが、人間は基本的に感情で動く生き物であるため、上司の意見がいかに間違っていても、頭ごなしに否定してしまっては、間違っている意見に対していくら正論を述べたところで反感を持たれてしまうだけなのです。
反感を持たれてしまうと、意見の正しさ以前のところでそもそも意見を聞いてもらえません。上司の意見に同意しかねる場合には、否定の意見をいうのではなくやんわりと質問し、結論の方向性を変えていくようにしましょう。疑問点に上司自身や周囲が納得すれば、意見を出し合う議論の場となります。
上司や先輩社員を立てる
自分のアイディアであっても、上司や先輩社員のアドバイスや仕事の進め方が何かしらの基となっていることがあります。
企業は集団で動いている以上、いくら素晴らしいアイディアがあってもそれが採用されるには誰もがアイディアを素晴らしいものとして認知し、同意しなければならず、あなたが1人でいくら素晴らしいアイディアを提出したところで、アイディアが上司や先輩社員の顔を潰してしまうようなものであれば、アイディアが受け入れられないばかりかただ反感を買ってしまうだけです。
ですから自分のアイディアをミーティングで提出したいときは、上役の人の顔を立て、ワンクッション置く必要があります。「○○課長に△△とアドバイスいただいたことから」、あるいは、「○○さんが△△のように進めているのを見て」といったように、上司や先輩社員を立てたうえでアイディアを披露しましょう。
決して独りよがりにアイディアを披露してはいけません。ここにいる人たちのおかげでアイディアが生まれました、といった調子でアイディアを提案すれば、誰の面目を潰すことにはなりませんから、アイディアがよほど的外れな内容でない限りは、賛同を得やすくなります。
上司のパーソナリティを考える
会議やミーティングで有能に見られやすい進め方は、上司のパーソナリティにもよります。あなたが人に対して少なからず好き嫌いを持っているように、上司も人によって好みは異なります。
上司や役職者の好みによって、イエスマンばかりが集まるようになったり、その反対に活発に意見を述べるのを好む人ばかりが集まるようになったりするので、ここで書いていることを意識し実行すれば、すぐに有能と判断されるとは限らないのです。
どのような対応を好むのか、他の人の発言への反応などをもとに研究してみましょう。ただ、職場によってはなぜかとても有能とは言えないような人ばかりが評価される場所が存在します。そのような職場においては、将来を考えればむしろ評価されない方がいいかもしれません。
それを踏まえ、ここで書いてあることを実践し、有能と判断されるのならば、ひとまずその職場は適切な判断力を持っているといえます。実践した結果の評価次第で、自分と合った職場かどうか、確認してみて下さい。
最後に確認して欲しい
いかがでしょうか。「適切なミーティングの進め方」と「有能に見せる方法」を合わせ、いくつかポイントをご説明しましたが、これらは会社員としてだけではなく、対人でのコミュニケーションとしても同様と考えて下さい。
例えば同僚であろうと友人であろうと、自分の意見を真っ向から否定されたりしては、前向きな議論を行うのは難しいです。有能に見せる必要がない場面でも、上記のポイントを意識し、議論することを心がけるようにしましょう。