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フリーランスなら考えたい、シニアエンジニアの「あるべき姿」とは

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2017年02月08日

80歳を超えても舌鋒鋭くプロ野球界の問題に斬り込む野村克也氏は、比較的若い世代の人たちにとってはID野球を標榜しアナライジングベースボールを日本に定着させた名監督のイメージが強いかと思います。

しかし、野村氏は選手としても超一流で現役通算2,901安打、657本塁打はいずれも歴代第2位、そして戦後日本で初めての三冠王(打率、打点、本塁打)を獲得した名選手です。長きに渡って勤め上げた「捕手」というポジションに並々ならぬこだわりを持ち、扇の要からグラウンド全体を見渡し続けた経験が名指導者、野村克也を生んだ土壌となったと思われます。

そんな球界の生けるレジェンドである野村氏が残した数々の名言の中に「生涯一捕手」という言葉があります。これは野村氏が26年にわたって貫いた「捕手道」を象徴する言葉としてあまりに有名ですが、どうも一部のビジネスパーソンの間で残念な「誤用」が見られるのです。

「『今の仕事が楽しい』『今の仕事にやりがいがある』だから『生涯一○○』を貫きたい」という言葉が聞こえたとすればその多くは、現状維持を肯定しているのと同じこと、すなわち成長することを放棄したに等しいのです。

会社組織にあって、年数相応かそれ以上のスキルアップやステップアップを求められるのは自然の摂理であり、会社が支払う対価は成長への投資に等しいのです。もし「『生涯一○○』を貫きたい」人が昇給を望むのなら、それは「お門違い」というものなのです。

また、管理職に「先輩、年上の部下」を持たせ、かつ若手を登用したいポジションに居座ることは会社の新陳代謝にも悪影響を及ぼしかねません。特に進化発展の著しいIT業界にあってエンジニアが成長することを放棄し、この文脈における「生涯一エンジニア」を自称しだしたならば即座に退場願うべきなのです。

決して「この道一筋○十年」という職人気質の人を否定しているわけではありません。であるならば、その分野において他の追随を許さないレベルでなければ「看板に偽りあり」と言わざるを得ません。

多くの場合、先に述べた「生涯一○○」とのたまう人たちは、その道を究めようとさえしていないことがほとんどなのです。
ITエンジニアであれば、最初に任されるのは簡単なプログラミングでしょう。そして小さな組織を束ねるようになり、より上流の設計、より大規模なシステムの設計等を通じて成長し、システム全体の設計をつかさどるアーキテクトや、プロジェクトマネージャーへとステップアップしていくのが、ITエンジニアの「あるべき姿」なのです。

このように年齢相応かそれ以上の成長を遂げ着実にステップアップを果たした先には、会社にとっては欠くことのできない人材であり、フリーランスになっても十分に通用する「シニアエンジニア」としての人生が待っているのです。

シニアエンジニアの働き方

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本稿で述べるシニアエンジニアはもちろん、一定の経験を積んだ卓越したスキルをもつエンジニアに他なりませんが、所謂「シニア」から連想される年齢のエンジニアというよりは、技術的に上位という意味であるとお考えください。

標準的なIT企業ではアーキテクトやプロジェクトマネージャーになるのは大体35歳前後と言われています。キャリアを重ね、相応のスキルが身につきしかも、体力的にも十分に無理がきくまさに「働き盛り」の時期と重なります。大手ベンダーの中には、大規模案件の元請けを担う立場でありながら、プログラムさえ書いたことのないシステムエンジニアも少なくありません。

多重下請け構造が問題視されているIT業界において、ピラミッドの頂点に君臨する元請けの大手ベンダーは、圧倒的な力関係の差を良いことに、業務は下請けに丸投げという構図が成り立ってしまっているのが実情で、単なる「肩書」だけのアーキテクトやプロジェクトマネージャーが偉そうに振る舞っていることも少なくはないのです。

建築現場において、ハウスメーカーから派遣された建築の「け」の字も知らない現場監督が、親子ほどの年齢差のある大工や職人たちを相手に取ってつけたような指示を出しているのと同じ光景が開発の現場でも起こっているのです。

現役時代の実績までは求められていなくても、野球経験のない人にプロ野球の監督が務まることはありません。当人の資質云々の問題以前に、指揮を執る立場として選手にとって全く説得力を持たないことは誰の目にも明らかです。

同様に、もし、大手ベンダーと言えども、プログラムはかけない、開発の現場を知らないアーキテクトやプロジェクトマネージャーが「人を動かす立場」に相応しい器量を持ち得ているとはとても考えられないのです。シニアエンジニアを目指すのなら、会社の力関係によって担ぎ出されたに過ぎない立場に安住することなく、自らプログラムを書き、額に汗して開発の最前線に飛び込む気概を以って仕事に取り組んでください。

一連の開発案件を数多く経験してきたITエンジニアは、テクニカルな面は勿論のこと、ヒューマンスキルにも磨きがかかり、開発の明も暗も、光も陰も、喜びも苦しみも知り尽くしているという点で、社内ではもちろんこと、フリーランスでも引く手あまたのシニアエンジニアとして引く手あまたの状態となることでしょう。

このレベルにまで達すれば、会社という看板が外れても自身の腕で食べていけるフリーランスとして仕事をこなすことができます。収入は、数年の開発経験でさえも年収500万円前後、データベースやERPなど特別なスキルがあり、コミュニケーション能力やマネジメント能力といったヒューマンスキルが十分に伴っていれば、年収600~1000万円にまで高騰します。

データベースのOracleやERPのSAPなど業界でよく使用されるソフトウェアの上級資格を持っていれば、その資格自体が弛まぬ研鑽努力と高いスキルを保証する営業ツールとなってさらなる高給も期待することができるのです。

日進月歩のIT業界だからこそ努力を止めてはいけない

シニアエンジニアは、その立場自体がゴールではありません。「人を動かす人ほど率先垂範している」、「名選手ほど誰よりも練習している」のと同様にスキルを維持発展させていくためには、シニアエンジニアになってからこそ相当な努力を続けていかなければならないのです。

IT技術は日進月歩であり、OracleやSAPも機能向上を重ねていきますので、資格があるからと言っても、技術は更新し続けていく必要があります。そして、新興国も巻き込んだまさに「地球規模」の戦いを繰り広げているITの世界においては、ボクシングで言えば若い挑戦者のように新しい企業や血気盛んなエンジニアたちが牙を剥いてきます。

彼らにとって立ちはだかる高い壁であり続けるためには、彼らが努力し成長する以上に、シニアエンジニア自身が研鑽努力を重ねていかなければならないのです。

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最後に確認して欲しいポイント

シニアエンジニアが、安定して高い報酬の仕事をしていくために、自身がそうしてなり上がって行ったように、付加価値の高い仕事をしていくことが重要です。

IT業界は、未だに頭数が揃えば十分な労働集約型な体質の仕事が多く存在しており、「質は二の次」という体質が横行しているなかで、敢えて「量より質」を追い求めていくのがシニアエンジニアのあるべき姿なのです。

その結果が、「あなたにしか頼めない」、「あなたじゃなくちゃダメなんだ」という仕事に現れてくるのではないでしょうか。

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