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白色申告で経費にできるものとできないもの、白色申告と青色申告の経費の違いについて

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2023年01月23日

フリーランスを含む個人事業主が所得税の確定申告を行う際には、青色申告もしくは白色申告のいずれかを選ぶことになります。

*青色申告承認申請を所轄の税務署に提出した方の中でも、申告手続きの煩雑ゆえに、仕方なく白色申告を選ぶケースもあるようです。

ここでは青色申告と白色申告の違いと、白色申告で経費に計上可能なものに関する以下の項目を解説します。

・白色申告とは

・白色申告で経費にできるもの

・白色申告で経費にできないもの

・白色申告と青色申告の経費の違い

この記事が役に立つ方

・確定申告を白色申告で行う予定のフリーランスや個人事業主の方
・白色申告で経費に計上可能なものを知りたい

白色申告とは

白色申告とは、青色申告承認申請書を所轄の税務署に提出せずに確定申告を実施する方が、もれなく該当する申告方法の種類です。

所得控除が基礎控除額のみではありますが、単式簿記の記帳作成だけで済むため、比較的容易に手続きが完遂するメリットを持ちます。

 

控除額

記帳方式

主な提出書類

申告方式

白色申告

基礎控除額のみ

単式簿記

収支内訳書

書類提出
郵送
e-tax

青色申告
(10万円控除)

基礎控除額

10万円

単式簿記

青色申告決算書
※損益計算書

書類提出
郵送
e-tax

青色申告
(55万円控除)

基礎控除額

55万円

複式簿記

青色申告決算書
※損益計算書
※貸借対照表

書類提出
郵送
e-tax

青色申告
(65万円控除)

基礎控除額

65万円

複式簿記

青色申告決算書
※損益計算書
※貸借対照表

e-tax

 

合計所得金額

基礎控除額

~24,000,000円

480,000円

24,000,001円~24,500,000円

320,000円

24,500,001円~25,000,000円

160,000円

25,000,001円~

0円

白色申告と青色申告の所得税額の違い

所得税の確定申告で問われる「所得」の算出方法は以下のとおりです。

所得=収入(売上)-(経費+控除額)

課税所得金額

税率

課税控除額

1,000円から1,949,000円

5%

0円

1,950,000円から3,299,000円

10%

97,500円

3,300,000円から6,949,000円

20%

427,500円

6,950,000円から8,999,000円

23%

636,000円

9,000,000円から17,999,000円

33%

1,536,000円

18,000,000円から39,999,000円

40%

2,796,000円

40,000,000円以上

45%

4,796,000円

参考資料
国税庁「所得税の税率」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm

所得

所得税額
(白色申告)

所得税額
(青色申告/65万円控除)

3,000,000円

242,250円
(3,000,000円-480,000円-97,500円)×10%

93,500円
(3,000,000円-480,000円-650,000円)×5%

5,000,000円

818,500円
(5,000,000円-480,000円-427,500円)×20%

688,500円
(5,000,000円-480,000円-650,000円-427,500円)×20%

10,000,000円

2,634,720円
(10,000,000円-480,000円-1,536,000円)×33%

1,893,820円
(10,000,000円-480,000円-650,000円-636,000円)×23%

同じ所得でも白色申告と青色申告の所得控除額によって、所得税率および所得税額が異なることがわかります

白色申告で経費にできるもの

白色申告にて経費として計上可能なものを、次の表にまとめてみました。

経費の種類

内容

旅費交通費

事業用に使用した公共交通機関や宿泊施設の費用
※電車、バス、航空機、タクシー、ホテル、旅館
駐車料金、高速道路料金など

運送費
(荷造運賃)

商品を発送した際の配送料や郵送料
商品の梱包を目的とした資材
※ダンボール、ガムテープ、緩衝材など

通信費

事業用に使用した電話料金やプロバイダ料金

接待交際費

取引先や商談相手などとの飲食に関する費用
※飲食代金、贈答品の代金、ご祝儀(冠婚葬祭など)

修繕費

事業で使用する機械や設備、建物や備品の修繕費用

消耗品費

使用可能な期間が1年未満の事務用品や備品
または10万円未満で購入した備品や什器
※文房具、用紙、電球、名刺、椅子、机など

損害保険料

事業に関する保険料
※火災保険料、損害保険料、自動車保険料
※事業主の生命保険料は含まれません

新聞図書費

事業に関する書籍や新聞の購入費用
※新聞、雑誌、官報、住宅地図、統計資料、路線価図など

地代家賃

事業用店舗やオフィスの賃料および使用料
※自宅兼事務所の際には事業にて使用した割合(按分)

広告宣伝費

商品やサービスの広告や宣伝に関する費用
※ダイレクトメール、チラシ広告、ネット広告など

減価償却費

10万円以上で購入した備品や什器が対象
※耐用年数ごとに分割して計上する
※椅子、机、パソコン、自動車など

水道光熱費

事業用店舗やオフィスの電気代、水道代、ガス代
※自宅兼事務所の際には事業にて使用した割合(按分)

給料賃金

従業員に対して支払う給与や賞与、各種手当

福利厚生費

従業員に対する保険や医療、慰安などに関する費用
※健康診断、社員旅行、忘年会、新年会、通勤手当など

租税公課

固定資産税、自動車税、事業税など

利子割引料

借入金に対する支払利息や手形の割引料
リボ払いや分割払いの手数料

家事按分とは?

自宅兼事務所での地代家賃や水道光熱費を経費計上する際、家事按分をする必要があります。

 

按分の目安

賃料(家賃など)

事業用として使っている面積や部屋の数

水道光熱費

業務に費やす時間と在宅の時間の割合

通信費

業務に費やす時間と在宅の時間の割合

月額家賃80,000円の物件(40㎡)を事業用に半分使用している場合、次の按分が適用されます。

事業用専有面積20㎡÷賃貸物件の面積40㎡×100=50%(事業利用比率)

80,000円(賃料)×50%=40,000円(事業利用分)

この際に経費として計上できるのは、事業利用分の40,000円×12(ヶ月)=480,000円です。

事業専従者控除(白色申告)

白色申告を行った個人事業主が親族に対して従業員としての給与を支払っている際には、以下の条件を満たした場合に限り、事業専従者控除として経費の計上が可能です。

・個人事業主(白色申告)と生計を一にする配偶者もしくは親族(親や子どもなど)
・15歳以上(その年の12月31日時点)
・その年のうちトータルで6ヶ月以上を個人事業主(白色申告)の事業に専従
・確定申告書に事業専従者控除に関する金額や必要事項の記載

事業専従者控除額は次のいずれかの低い金額が適用されます。

・事業専従者が個人事業主(白色申告)の配偶者:860,000円
・事業専従者が個人事業主(白色申告)の配偶者以外:500,000円
・事業所得(事業専従者控除前の金額)÷(専従者数+1)

参考資料
国税庁「No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2075.htm

白色申告で経費にできないもの

個人事業主の白色申告で経費にできないものとして、以下の費用があげられます。

・事業とは関連しない費用(私的なもの)
・個人事業主への給与
・個人事業主の健康管理に関する費用
・個人事業主が納める所得税や住民税
・個人事業主自身の各種保険料
・事業用で購入した不動産の住宅ローンの元金
・店舗やオフィスの初期費用(賃貸物件)

事業とは関連しない費用(私的なもの)

個人事業主が事業とは関連しない私的なものを購入した際には、経費として計上できません。

・趣味の書籍や雑誌、CDやDVDなど
・友人や恋人などとの飲食代

ただし、事業収益との関係性が客観的に証明可能な場合に限り、経費として認められるケースも存在します。

個人事業主への給与

個人事業主が売上(収入)の中から、自身のために支払った給与は経費扱いにはなりません。
給料賃金として経費計上できるのは、従業員への給与や外部スタッフへの報酬などです。

個人事業主の健康管理に関する費用

個人事業主が自身の健康を維持するための費用も、残念ながら経費とすることは認められていません。

・健康診断費用
・人間ドックの費用
・スポーツジムの会費や料金

従業員に対する上記の費用は福利厚生費として計上可能です。

個人事業主が納める所得税や住民税

個人事業主が納める所得税や住民税は、租税公課としての経費計上はできません。
一方で、事業で使用した収入印紙代(印紙税)や個人事業税は経費として扱われます。

個人事業主自身の各種保険料

個人事業主自身のための各種保険料も経費としての計上が認められていません。

・国民健康保険
・国民年金
・国民年金基金
・生命保険料
・損害保険料

上記の各種保険料については、確定申告時に保険料控除の項目に記載することが可能です。

事業用で購入した不動産の住宅ローンの元金

オフィスや店舗として購入した不動産の住宅ローンの元金も、経費に含めることはできません。
住宅ローンの元金は「借入金」および「負債」としての扱いとなるためです。
ただし、住宅ローンの金利分は支払利息として「利子割引料」に計上可能です。

店舗やオフィスの初期費用(賃貸物件)

事業用の店舗やオフィスを賃貸する際の初期費用に関しては、経費に計上できる場合とできない場合に分かれます。

  • 賃貸物件の敷金

敷金は賃貸物件の退去時に返還される費用です。
そのため、初期費用として納めた時点では経費としての計上は認められません。
退去の際、原状回復費用として差し引かれた分のみ経費扱いとなります。

  • 賃貸物件の礼金

賃貸物件の礼金は「20万円」を基準として会計処理が異なります。

礼金20万円未満⇒地代家賃(経費)

礼金20万円以上⇒「資産」として扱われ

白色申告と青色申告の経費の違い

白色申告と青色申告の経費の違いとして、次の3つの項目があげられます。

・按分の要件
・事業専従者給与
・作成および提出書類

按分の要件

白色申告の家事按分の要件は次のとおりです。

・事業利用比率が50%以上
・もしくは事業利用比率とそれ以外の比率の明確な区分が証明できること

上記の要件が満たされた際には、以下の費用が経費として計上可能です。

・賃料(家賃)
・電気代
・ガス代
・水道代
・電話代(固定電話、携帯電話)
・プロバイダ料金

先述した月額家賃80,000円の物件(40㎡)を事業用に20㎡を使用している場合を以下の表にまとめています。

事業用専有面積20㎡÷賃貸物件の面積40㎡×100=50%(事業利用比率)

 

項目

経費(年間)

賃料(家賃)

480,000円
※80,000円(賃料)×50%×12ヶ月

電気代

60,000円
※10,000円(電気代)×50%×12ヶ月

ガス代

30,000円
※5,000円(ガス代)×50%×12ヶ月

水道代

42,000円
※7,000円(水道代)×50%×12ヶ月

電話代
(固定電話、携帯電話)

72,000円
※12,000円(電話代)×50%×12ヶ月

プロバイダ料金

30,000円
※5,000円(プロバイダ料金)×50%×12ヶ月

一方、青色申告の場合には、業務を進めるために必要であることが証明できれば、按分が50%に満たなくとも経費としての計上が可能です。

事業専従者給与

白色申告では「控除」の対象となる事業専従者給与ですが、青色申告では「経費」として計上することが認められています。

 

白色申告

青色申告

適用条件

・個人事業主(白色申告)と生計を一にする配偶者もしくは親族(親や子どもなど)

・15歳以上(その年の12月31日時点)

・その年のうちトータルで6ヶ月以上を個人事業主(白色申告)の事業に専従

・確定申告書に事業専従者控除に関する金額や必要事項の記載

・個人事業主(青色申告)と生計を一にする配偶者もしくは親族(親や子どもなど)

・15歳以上(その年の12月31日時点)

・その年のうちトータルで6ヶ月以上を個人事業主(白色申告)の事業に専従

・青色事業専従者給与に関する届出書の提出

所得税の
優遇措置

・事業専従者が個人事業主(白色申告)の配偶者:860,000円

・事業専従者が個人事業主(白色申告)の配偶者以外:500,000円

・事業所得(事業専従者控除前の金額)÷(専従者数+1)

※下記のうちいずれか低いほうの金額が控除額となる

 

過度に高額な金額でなければ、給与として全額の経費計上が可能

作成および提出書類

白色申告と青色申告の違いには、作成および提出する書類も含まれます。

 

記帳方式

主な提出書類

白色申告

単式簿記

収支内訳書

青色申告
(10万円控除)

単式簿記

青色申告決算書
※損益計算書

青色申告
(55万円控除)

複式簿記

青色申告決算書
※損益計算書
※貸借対照表

青色申告
(65万円控除)

複式簿記

青色申告決算書
※損益計算書
※貸借対照表

各種書類の作成は、市販のクラウド会計ソフトを利用するのもひとつの方法です。

まとめ

ここまで、白色申告に関する次の項目を紹介してきました。

・白色申告とは
・白色申告で経費にできるもの
・白色申告で経費にできないもの
・白色申告と青色申告の経費の違い

白色申告の経費は、他者に対して事業で必要であることを客観的に証明できるか?否か?が計上のカギとなります。

 

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