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システムエンジニアが大手企業への転職を目指す時に必要なポイント

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2017年02月08日

「マイホームは、3回建てないと満足のいく家にはならない」とよく言われます。

マイホームは、一生のうちで何度と訪れることのない高価な買い物で現在は、現実的にはなかなか実現の難しい話ですが、かつて「土地神話」と呼ばれ、地価が天井知らずの上昇を続けていた時代には、売却益で買い替えを繰り返してようやく終(つい)の棲家(すみか)に辿り着いたという人も少なからずいたそうです。

一国一城の主という夢を実現したにもかかわらず、いざ住んでみると、立地や間取り、生活導線など様々な問題が明るみになり、「こんなはずではなかった」という不満に関する話題には枚挙に暇がありません。

それもそのはず、家は住む人にとっては、一生のうちの多くの時間を過ごすまさに「環境」だからです。

これと同じことが仕事でもぴったり当てはまるのではないでしょうか。就職もマイホームと同じで、ほぼ全員がゼロから始める初めての体験ですから、学校卒業を控えた無垢の青年がいくら懸命に情報収集をしたところで実体験が伴っていない以上、「理想と現実」が一致した就職の実現が困難であるということは想像に難くありません。

こうして就職してしばらく経ち、様々なものが見えてくると、誰もが経験するのが「このままでいいのか」という自身の置かれた環境や立場に対する疑問と、脳裏を過ぎる「転職」の二文字です。

職場も家と同じ平日は一日の大半を過ごすまさに「環境」です。できることなら満足のいく環境で働きたいと思うのは至極当然このことです。

そこで、今回は、SEなら誰でも一度は考える「転職」について考えていきます。

IT業界の理想と現実

今、転職を意識しているSEがIT業界へ足を踏み入れたのは、若き起業家が業界を席巻し、「ヒルズ族」と呼ばれるIT長者が生まれた時代ではなかったでしょうか。

IT業界が遂げる倍々ゲームの成長に夢を馳せ、「我も続け」とばかりに飛び込んだ人も多かったに違いありません。しかし、このITバブル世代は、今、IT業界が抱える理想と現実の狭間で大きく揺れています。

IT業界特有の「多重下請け構造」

2015年後半に世間を騒がせた、「杭打ちデータ改ざん問題」は、その原因の一端として建設業界の「下請け構造」が指摘されました。元請け企業と下請け企業の間には厳然たる力関係が存在し、下請け企業は元請け企業が強いる悪条件と低報酬に甘んじることを余儀なくされる構図はかねてから問題視されていました。

しかし、この構図は、IT業界にもピタリと当てはまるのです。大きなプロジェクトは、多重下請け構造となっており、下層にいくほど上層部からの厳しい要求を突き付けられます。

さらに、報酬は下層に行くほど「中抜き」され、4次請け、5次請けともなると目も覆うほど金額が減じられていることも珍しくはありません。

こうした日本のIT企業特有の「多重下請け構造」は、日本のIT業界にアップルやグーグルが現れない元凶と言い切る指摘する識者もいるほどです。

「多重下請け構造」に組み込まれるとキャリアアップは難しい

IT業界には、元請けから降りてくる仕事で食いつないでいる下請け、孫請け企業が驚くほど多く存在しています。もし、条件の厳しい下請け、孫請け企業で働いている場合、将来のキャリアアップは難しいと言わざるを得ません。

下請け、孫請けの関係が続く限り、その厳然たる力関係から、いつまで経っても下請けは下請け、孫請けは孫請けの構図が解消されない限り大きな飛躍はありえないのです。

それは、古代ローマのコロッセオの地下で働く名もなき奴隷たちが、奴隷のままその生涯を終えることになったのと同様に、当人の力では如何ともしがたいのが現実なのです。

このとき、新天地を求めた「転職」が現実味を帯びてきます。

SEが転職を決意するとき

SEが技術的な高みと、それに見合った報酬を得るために転職を目指すことは自然の流れです。

7割以上の企業が創業から3年を待たずして倒産すると言われる時代において、テクノロジーの進化が早く、商品のライフサイクルがきわめて短いIT業界はそれ以上に激しい淘汰の波に晒されています。

特に、業界全体の歴史が浅く、創業者も比較的若く急成長を遂げたIT企業は、そのほころびが見えたとき、適切なタイミングで見切くては自らのキャリアまで棒に振りかねないことを肝に銘じておく必要があります。

創業者が会社の近未来を具体的に思い描けなければ潮時

成長企業であることに魅力を感じて就職した会社は、今もその輝きを保っているでしょうか?

企業が急成長すると変わるのは創業者を取り巻く人間たちです。金のニオイを嗅ぎつけた者たちが、善人を装って「うまい話」を持ってくるようになるのは定石。

経営陣が、儲け話にまるで熱病にでもとりつかれたようになればその会社には次々とほころびが生まれてきます。

悲しいかな、これが若い企業が成長へのステップとして乗り越えなければならない分水嶺。多くの企業はその山を超えるどころか転げ落ちてしまうのです。

もし、今働いている会社が、この岐路で停滞もしくは息切れを起こしており、もはや創業者に「夢と希望」しか語ることができない状態に陥っていれば迷わず転職を目指すべきです。

創業者が会社の近未来を具体的に思い描けず、夢や希望を拠り所にするようになったとき、その会社は早晩衰退の道を辿ることになるでしょう。

大企業への転職を考える

下請け、孫請けの過酷な環境で煮え湯を飲まされてきたSEは転職先として大企業も視野に入れた転職活動をする場合も多いと言われています。

大企業には大企業と呼ばれる所以があり、参入障壁の高い分野で利益率の高い商品を取り使う資金力と開発力を持っています。

もちろん、大企業も例に漏れずあらゆる組織と同様にパレートの法則(80:20の法則)が当てはまりますが、その2割の能力が極めて高いのが大きな特徴です。

就職活動の時代と同様に、大企業はハードルが高いことには変わりはありません。

しかし、業界全体でSEの不足が深刻化し、ボリュームの厚いバブル世代に主力だった世代が近々定年を迎えごっそりと退職する事情も相俟って、大企業は、導入教育の必要ない中途入社の受け入れも積極的に行うようになっています。

これまでSEとして築いてきた腕が確かなら挑戦する価値は十分にあります。

大企業ではすぐに「やりたい仕事」ができるわけではない

幸運にも大企業への転職を成功させたとしても、最初は前職との違いに愕然とするかも知れません。それは毎年優秀な人材が集まるがゆえに、すぐに「やりたい仕事ができる」というわけではないからです。

新卒や若手は大量の応募者から選抜された高いポテンシャルを持つ人材であり、中堅どころは大きなプロジェクトを経験してきた精鋭たちです。

まずは、自身のSEとしての研鑽努力を続けつつも、謙虚な姿勢を持って年齢やキャリアを問わず優秀な同僚たちから学ぶことが大切になってきます。

「やりたいは、与えられた環境で実績を出した結果勝ち取るものという考え方が底流にあります。「すぐにやりたい仕事ができない」ことに不満があるならば大企業への転職は難しいかも知れません。

大企業転職のメリットとデメリット

大企業転職のメリットはその安定性と、同じ仕事でも中小企業と比べて格段に高い収入が挙げられます。また、かつて経験したことのない社会的にも影響力の高い大きなプロジェクトに加われることでしょう。

一方、デメリットは、物事を決定するまでに時間がかかること、自身の仕事の成果を実感しにくいこと、場合によっては規模が大きいがゆえの社内政治に翻弄されることもあります。

規模が大きいことで、中小企業のようなフットワークの軽さは失われていく傾向にあります。

その中にあって、大企業のワン・オブ・ゼムに留まることなく、当初目指していたステップアップを実現するためには、前職に就職したころのハングリーなスピリットとフットワークの軽さを片時も忘れないことです。

あの日あの時の苦労によって重ねた経験が、いざ大企業に転職したあとの自分自身を助ける結果となるのです。

最後に確認して欲しいポイント

転職活動は、まさしく「情報戦」と言っても過言ではありません。これが新卒時と大きく異なるのはSEとしての経験が、入手した情報を正しく読み取る能力を醸成させていることが挙げられます。

情報の裏に隠された「理想と現実」を正しく読み取り、今度こそは満足のいく環境を手に入れてください。

決して「こんなはずではなかった」を繰り返すことのないよう、この記事が参考になれば幸いです。

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