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税金の申告方法を決めるために白色申告と青色申告の違いを学ぶ

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2021年03月31日

フリーランスを開業する前に確定申告を考えてみる

フリーランスとして働く場合、法律上は「個人事業主」という扱いになります。税金を収める方法が会社員とは違うため、個人事業主として活動する為には手続きが必要となります。

個人事業主の開業手続き

  • 費用はかからない
  • 手続きを行う場所は管轄の税務署
  • 書類数枚を提出するのみ

と専門的な知識が無くても可能です。

フリーランスになるための事前準備

手続きの場所は、住民票がある住所の管轄税務署(国税局の出先)です。国税局のホームページより場所を確認してください。

国税局hp(税務署一覧):https://www.nta.go.jp/about/organization/access/map.htm

目次:
・開業前に確定申告の種類を決める
・確定申告の概略
・確定申告計算概略
・白色申告の場合 納税額:30万2,700円
・青色申告(10万円特別控除)の場合 納税額:28万2,300円
・青色申告(65万円特別控除)の場合 納税額:20万3,600円
・所得によっては、確定申告が必要ない場合がある
・まとめ

開業前に確定申告の種類を決める

個人事業主を開業時、最初に考えないといけないのが確定申告の方法についてです。「白色申告」「青色申告」のどちらかを選ぶ必要があります。

青色申告をするためには、開業時の手続きに合わせて、別途届け出が必要になります。その届け出をしないと自動的に白色申告になります。
ただし、年単位ではありますが、白色申告から青色申告の変更、青色申告から白色申告への変更というもの可能です。

ただし、一般的にはやはり節税効果のメリットが大きい、青色申告を選ぶ方が多いようです。

以前は、ざっくりと以下のような棲み分けがされていました。

  • 白色申告 → 所得の合計が300万円以下の人は帳簿を作成しなくてよいので簡単。しかし節税効果は薄い。
  • 青色申告 → 帳簿作成が面倒。節税効果は高い。

しかしながら、2014年1月以降に法律が改正され、白色申告でも「帳簿の作成」と「記録の保存」が義務化されました。それでもまだ白色申告用の帳簿が簡単ではありますが、手間と節税効果を考えると、白色申告のメリットは薄れていると言えるでしょう。

税務署の担当者と会話しても「白色申告はメリットがほぼ無いです。白色申告を選んでも簡単な収支は報告しないといけないですし、自分での収支を見るために作る書類もあるでしょう。その手続きや書類を作るのであれば、青色申告の10万円特別控除で実施しても手間はほとんど変わらないのです。その為多くの方が青色申告をすることになっています」とおっしゃっていました。
きっと税務署も青色申告を増やす為に(お金の出入りを正しく判断する為に)、この様な制度にしているのだと思います。

白色申告と青色申告のメリット

※ 青色申告の特別向上の10万円と65万円の違い。
簡単な簿記での申告の場合:課税対象の所得より10万円控除
複式簿記での申告の場合 :課税対象の所得より65万円控除

もう少し詳しく確定申告について知りたい、という方のために下記で説明していきます。

確定申告の概略

確定申告概略イメージ

確定申告とは大雑把に言うと、1年間(1月~12月)間の「収入」から「経費」を差し引くことで「所得」を確定させ、税務署へ申告することです。

申告までのスケジュール

例)毎月50万円の収入が一年間定期的にあった場合

  • 年間の収入は、600万円
  • この収入(600万円)を得るための経費は、200万円(交通費、通信費、書籍代、交際費など)かかったとします。

経費・所得グラフ

上記の場合は「所得=400万円」となり、これを税務署へ申告すると「所得税(5~45%)」で計算され、納付すべき税金額が決定します。

【所得税の速算表】

課税される所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円を超え 330万円以下 10% 97,500円
330万円を超え 695万円以下 20% 427,500円
695万円を超え 900万円以下 23% 636,000円
900万円を超え 1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円を超え 4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円超 45% 4,796,000円

確定申告計算概略

年間600万円の収入があり、経費が200万円だったとした場合の試算をしてみます。
確定申告には

  • 白色申告
  • 青色申告(簡易簿記で特別控除10万円)
  • 青色申告(複式簿記で特別控除65万円)

の3つのパターンがあるため、それぞれ記載します。

計算の結果 納税額 白色申告との差額
白色申告 30万2,700円 0円
青色申告(特別控除10万円) 28万2,300円 ▲20,40円
青色申告(特別控除65万円) 20万3,600円 ▲99,100円

白色申告と青色申告(特別控除65万円)で確定申告を行った場合、納税額の差額は約10万円となり、青色申告の方が節税効果は高いことが解ります。

※個人の状況によりその他控除などが発生する場合があります。本計算はシンプルに考えた時の概算です。

白色申告の場合 納税額:30万2,700円

青色申告と違い所得への特別控除がない点が特徴です。

収入(600万円)- 経費(200万円)= 所得(400万円)

所得(400万円)- 基礎控除(38万円)※1 = 課税所得額(362万円)

基礎控除は、国内で所得がある方すべてが対象となり(会社員でも個人事業主でも)、所得税を計算する際に課税対象所得から38万円を控除できます。一定の要件等がないので誰でも等しく適用されます。
(これとは別に住民税も基礎控除が33万円ありますが、これは確定申告とは関係ないので、説明は割愛します)

まずはこれで課税される対象所得が決定します。
次に所得税額を計算します。

課税所得額(362万円)X 所得税率(20%)※2 = 72万4,000円

72万4,000円 – 課税控除額(42万7,500円)※3 = 所得税額(29万6,500円)

最後に復興特別税※4を計算し、最終的な納税額を確定させます。

所得税額(29万6,500円)X 復興特別所得税率(2.1%)= 復興特別所得税額(6,226円)※4

所得税額(29万6,500円)+ 復興特別所得税額(6,226円)= 納税額(30万2,700円)※5

※1 国税局所得税(速算表)より。
※2 国税局所得税(速算表)より。
※3 1円未満は切り捨て。
※4 復興特別所得税は、国内で所得がある方すべてが対象(会社員でも個人事業主でも)で、所得税額×2.1%の金額を毎年納付する義務があります。2037年まで実施されています。
※5 納税額は100円未満切り捨て。

青色申告(10万円特別控除)の場合 納税額:28万2,300円

白色申告と同じような簡易的な簿記での申告をすることで、課題対象の所得額より10万円を特別控除することが可能になる点が特徴です。

収入(600万円)- 経費(200万円)= 所得(400万円)

所得(400万円)- 基礎控除(38万円)※0 – 青色申告特別控除(10万円)= 課税所得額(352万円)

まずはこれで課税される対象所得が決定します。
次に所得税額を計算します。

課税所得額(352万円)X 所得税率(20%)※1 = 70万4,000円

70万4,000円 – 課税控除額(42万7,500円)※2 = 所得税額(27万6,500円)

最後に復興特別税※4を計算し、最終的な納税額を確定させます。

所得税額(27万6,500円)X 復興特別所得税率(2.1%)= 復興特別所得税額(5,806円)※3

所得税額(27万6,500円)+ 復興特別所得税額(5,806円)= 納税額(28万2,300円)※5

※1 国税局所得税(速算表)より。
※2 国税局所得税(速算表)より。
※3 1円未満は切り捨て。
※4 復興特別所得税は、国内で所得がある方すべてが対象(会社員でも個人事業主でも)で、所得税額×2.1%の金額を毎年納付する義務があります。2037年まで実施されています。
※5 納税額は100円未満切り捨て。

青色申告(65万円特別控除)の場合 納税額:20万3,600円

少し面倒となりますが企業の帳簿に近い複式簿記での申告をすることで、課題対象の所得額より65万円を特別控除することが可能になる点が特徴です。

収入(600万円)- 経費(200万円)= 所得(400万円)

所得(400万円)- 基礎控除(38万円)※0 – 青色申告特別控除(65万円)= 課税所得額(297万円)

まずはこれで課税される対象所得が決定します。
次に所得税額を計算します。特別控除65万円があるため、課税所得額が330万円以下となったので所得税率も10%と下がります。一方で課税控除額が9万7,500円(所得税20%の場合は課税控除額42万7,500円だった)となる。

課税所得額(297万円)X 所得税率(10%)※1 = 29万7,000円

29万7,000円 – 課税控除額(9万7,500円)※2 = 所得税額(19万9,500円)

最後に復興特別税※4を計算し、最終的な納税額を確定させます。

所得税額(19万9,500円)X 復興特別所得税率(2.1%)= 復興特別所得税額(4,189円)※3

所得税額(19万9,500円)+ 復興特別所得税額(4,189円)= 納税額(20万3,600円)※5

※1 国税局所得税(速算表)より。
※2 国税局所得税(速算表)より。
※3 1円未満は切り捨て。
※4 復興特別所得税は、国内で所得がある方すべてが対象(会社員でも個人事業主でも)で、
所得税額×2.1%の金額を毎年納付する義務があります。2037年まで実施されています。
※5 納税額は100円未満切り捨て。

所得によっては、確定申告が必要ない場合がある

事業所得額が38万円以下の場合は基礎控除(38万円)をすると所得がゼロもしくはマイナスとなる為、確定申告は必要ありません。

例)1年間の事業収入60万円で、経費25万円の場合、所得額は35万円となります。この場合、
課税所得額を計算は

所得額35万円 – 基礎控除38万円 = 課税対象所得▲3万円

となるので、所得税を払う必要はなくなります。

まとめ

フリーランスを始めようとすると、手間はかかるが節税効果がある青色申告にするか、手間はかからないが節税効果が無い白色申告にするか、最初に悩む点となります。
実際に青色申告をされている方に話を聞くと「仕組みが解れば思ったより簡単」「会計ソフトを使うと簡単」「税理士に頼んでいる」などを耳にする事が多いです。

また、クラウド会計サービスで代表的なFreeeやMF会計などでも、月1,000円程度から利用可能です。多く見ても年間費用2~5万円以内で記帳から確定申告まで可能ですので、こういったサービスを利用するのも良いと思います。

もし税理士に頼む場合は、記帳から確定申告まですべてお願いしても年間費用10万円~30万円ぐらいが相場のようです。
確定申告のみをお願いする場合は1回3万~5万円程度で可能です。

これらを利用する費用も経費となるので、節税効果を少しでも大きくしたい。もしくは、所得が多くなる見込みがある方は、開業時に青色申告(65万円控除)の手続きをしておく事をお勧めします。

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