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「WEBが当たり前」の時代を生き抜く、成功するWEBエンジニアとは?

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2017年02月08日

2016年は、今なお多くの読者を惹きつけて離さない文豪、夏目漱石の没後100周年にあたります。徳川幕府の終焉と時を同じくしてこの世に生を受け、激動の明治維新を目の当たりにした漱石は、珠玉の名作と共に、評論や詩歌、講演録なども数多く遺しました。その中で1911年に出版された和歌山県会議事堂における講演録「現代日本の開化」において明治期に日本で起こった文明開化について次のように述べています。

「できるだけ労力を節約したいと云う願望から出て来る種々の発明とか器械力とか云う方面と、できるだけ気儘(きまま)に勢力を費したいと云う娯楽の方面、これが経となり緯となり千変万化(さくそう)して現今のように混乱した開化と云う不可思議な現象ができるのであります」

明治維新は、欧米列強が群雄割拠する時代に開国した日本が国家として生き残るために一気に推し進めた近代化政策であり、それによってもたらされたものが文明開化と言っても差支えがないと思われますが、漱石にとっては、上記の言葉はもちろんのこと、この講演録に残されている言葉からも、文明開化が内発的ではなく、外発的な理由によって行われたことに忸怩たる思いを抱いていることが伝わってきます。

漱石はこの講演の10年ほど前にイギリス留学を経験し、当時の国力の差を身を以って体感しているはずですので、日本の近代化が欧米の表層的な真似になっていることに危機感を抱いていることも読み取ることができます。

漱石がこの世を去って100年が経っても、漱石が言うところの『現今のように混乱した開化と云う不可思議な現象』はその足を止めることなく、現在のIT社会を形作るまでとなりました。その進化は、一人ひとりがパソコンやスマートフォン、タブレット端末などの「第二の頭脳」を肌身離さず持ち歩き漱石の言う「願望と娯楽」を愚直なほど純粋に実現しています。

Webが当たり前の時代

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そして、戦後復興期「三種の神器」と呼ばれた「白黒テレビ・洗濯機・冷蔵庫」、そして高度成長期に「新・三種の神器(3C)」と呼ばれた「カラーテレビ・クーラー・自動車」などは製品としての進化も去ることながら、モバイル端末と同じように「第二の頭脳」としての機能を有するものが登場し始めました。

このようなモバイル端末から、家電製品、自動車に至るまでがWebに接続され、「繋がって」さえいれば地球上のどこにいても、いや宇宙ステーションの船内でさえ、Web経由での自由な操作が可能になっています。

今や私たちの生活は、パソコンやスマートフォン、タブレット端末から調べ物や買い物、諸々の手続きに至るまで多くの操作をWebを通じて行っており、もはやそれなしで日常生活は成り立たないレベルにまで達しています。

文明的な生活を頑なに拒む人を除くほぼ全ての人たちがITによる何らかの恩恵を受けているにも拘わらず、その恩恵を受けるユーザーたちが、当たり前のように利用しているシステムの裏側にある名もなきITエンジニアたちの苦闘のあとを実感することはありません。それどころか、20年前にはその言葉すら知られていなかったITでさえ、完全に日常に組み込まれ、その存在すら意識しなくなることもあります。

それを考えると主にブラウザーを通じて操作を行うWebアプリケーションは、「こんなこといいな」という願望をユーザーに直接触れてもらう形で実現できる点で、実に「分りやすい」、「効果を実感しやすい」システムであるということができるでしょう。

こうした背景もあって、ITエンジニア、その中でもとりわけWebエンジニアの人気が高まっており、Webエンジニアを目指す人、SIerからWebエンジニアへの転身を図る人が増えているのだそうです。

Webエンジニアのキャリアパス

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Web業界といえばどのようなイメージを抱くでしょうか?シンプルながら機能美を追求したインテリアのオフィスに片手にはスターバックスが注がれたタンブラー。何人かが集まれば、スカイプ越しの参加者も交えてブレインストーミング・・・。こんな環境ならクリエイティブな発想がジャンジャンと湧いてきそうなものです。まるでドラマを見ているかのようなオフィスで、スピード感とクリエイティビティ溢れる仕事をしているWebエンジニアに多くの人が憧れるのも無理はありません。

IT業界特有の「多重下請構造」のピラミッドの底辺で、劣悪な労働環境でゴールの見えないデスマーチを延々と続けているエンジニアなら言わずもがな、というところでしょう。

しかしながら、花形であることは必ずしも「楽である」「楽しい」ことを意味しません。花形だからこそ、求められるもののハードルは高く、流行り廃りの激しい世界だからこそ旬を逃さんとばかりに、メーターが振り切れるほどのスピードを要求されます。Webエンジニアたちは、留まることを知らない顧客やユーザーからの期待に応えるために、インプットと研鑽努力を重ね、常に全力で走り続けなければなりません。現状のところ、Webエンジニアにとって「立ち止まる」ことは「死」を意味するに等しいのです。

Webエンジニアが「立ち止まることを許されない」職種であることを踏まえたうえで、今度はWebエンジニアが目指すキャリアパスについて考えます。
Webシステムももちろん規模が大きくなるほど複数人でチームを組んで開発を行っていきます。

その中で、役割分担が行われ各セクションを仕切る人間がいて、その頂点にWebディレクターが君臨します。Webディレクターは全ての工程に対して精通しており、テクニカル面は勿論のことチームの士気向上や外部との折衝にも卓越した能力を求められます。

一部の大手SIerのように、業務経験もなく諸事情に精通していない人間を組織事情でリーダーにして開発チームを停滞させるのではなく、一通りの業務経験を積んで、あらゆる事情に精通したWebディレクターになることがWebエンジニアとして「目指すべき道」ではないでしょうか。

  1. HTML、CSSの基本をマスターし、
  2. PHP、JavaScriptの記述を身に付け、
  3. UI設計、ライティング、画像処理などのシステム全体を見られるようになり、
  4. SEO、データベース、アナリティクス、ウェブデザインなどシステムの価値を高めるスキルを身に付け
  5. 1.~4.のスキルを兼ね備えたWebシステム開発の陣頭指揮を執るWebディレクターになる

Webディレクターになるまでに、これだけの段階が必要とされるならば、うかうかしている暇はありません。早速今日から、勉強を始めてください。

最後に確認して欲しいポイント

Webエンジニアを目指してIT業界に飛び込む人も、近年、増加傾向であるSIerからWebエンジニアへの転向を狙う人も、肝に銘じて欲しいことは、「華やかな世界」ほどその陰に目に見えない苦労と努力があるということです。

俗な話ですが、水面を優雅に泳ぐ白鳥も、目に見えない水面下では懸命に足をバタつかせてるのと同じようなものです。「隣の芝は…」の諺(ことわざ)のように華やかなところばかりに目が行くと大きな落とし穴が待っています。前者にとっては、Webエンジニアになった日から、終わりのない自己研鑽の日々が始まります。激動のWeb業界で生き残る最低限にして最強の手段が自信を磨き続けることなのです。

後者にとっては、どうもSIerからWebエンジニアへの転身を「都落ち」と考え、ナメてかかっている人が後を絶たないそうです。確かにSIerはIT業界の多重下請構造の頂点に君臨し、開発の最前線にいるわけですから、激務であることには変わりありません。だからと言ってWeb業界に転身しても「エライ」わけではないのです。

もちろんSIerとして培った開発や人を動かした経験は大いに役立てるべきですが、Webエンジニアに転身したらそれこそ未経験の見習い、丁稚奉公であるくらいの謙虚な気持ちで、周囲の何倍も努力して初めて一人前になれるのです。まずは元SIerのプライドを脱ぎ捨てることから始めてください。

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