年収を上げるために会社員から独立して、フリーランスエンジニアとして働く人が増えています。安易に、「会社から給料を貰うよりも収入を増やせる」と思いがちですが、長く勤めればキャリアアップにつながる会社員とは違い、フリーランスエンジニアは収入を増やす努力が必要です。
まずは正社員とフリーランスの収入の違いを確認し、必要なスキルを知り、どんな方法で収入を増やせるのか、見ていきましょう。
正社員とフリーランスの手取り収入の違い
フリーランスを志したきっかけの一つとして、「正当な評価を得られていない」「仕事量に対して給料が少ない」と感じたから、という人がいます。正社員として報われない境遇に悶々とするよりは、自分の腕にかけてみようと意を決してフリーランスとして働き始めた人も多いようです。
確かに、フリーランスになれば正社員と同じ仕事をしたとしても、正社員の頃より多くのお金が入ってくるかもしれません。しかし、正社員としての収入と、フリーランスの収入は意味合いが異なることを理解しておく必要があります。
手取り収入では、当然フリーランスの方が多くなる
会社勤めだった場合の給料は、あらかじめ税金や社会保険料などが差し引かれ、残りが「手取り収入」として口座に振り込まれる人がほとんどです。また、業務で使う備品や交通費、出張費等にかかる経費は会社から支給されますので、手取り収入は「自分が自由に使えるお金」です。
しかし、フリーランスが仕事で得た収入は、正社員時代の「手取り収入」と異なり、もろもろの「経費」が差し引かれていない状態です。例えば、事業運営にかかる地代家賃、備品、交通費などは経費となります。
フリーランスは持ち出しも多いですし、「いい仕事をしよう」としてついつい経費が嵩みがちです。ましてやエンジニアという職人気質の人たちなら、コストと品質の板挟みにあった場合、ついつい後者を選択しがちです。ですので、いざ収入から経費を差し引いたら実は赤字だったということもたびたびあるようです。
また、健康保険や年金、介護保険などのいわゆる「社会保険」も正社員の様に会社と折半とはならず、全額自分で支払う必要があります。そして、当然ですがフリーランスでも所得税を納税しなくてはなりません。
フリーランスの収入は、売上・月商と考える
正社員では「給料」となっていたお金は、フリーランスになったら「報酬」という扱いになります。これは会社でいうところの「売上」「月商」と同じです。
その報酬の中から、先述の「経費」や「税金」「年金」などの諸々を差し引いた残額が「自分が自由に使えるお金」ということになります。
ということで、正社員の頃と仕事内容が同じだったとしても、フリーランスになった後の収入が数万円多くなったぐらいでは、「仕事に見合った収入を得ている」とは言えないと思います。
企業はなぜ月100万円も支払うのか
さて、収入について理解したところで、「フリーランスで月に100万円という高収入を目指す」には、「企業が一人の人間に月100万円という高額の報酬を支払う理由」をまず知ってください。
システムエンジニアを正社員として採用し雇用する場合、給与の倍近くのコストが発生しており、さらにスキルを上げるためには時間もお金もかかります。常時開発が発生する企業ならまだしも、システム開発を主たる事業にしていない場合、システムエンジニアを多く抱えることが難しい企業も多いでしょう。
その為、案件単位でその道のプロフェッショナルに仕事を依頼するほうが、単金は多少高くても結果的に安上がりになるため、外注する事になります。
システムエンジニアの単価相場(月単価)は会社の規模や地域、当人のスキルによっても差がありますが、100万円を超える月単価案件もあります。大手IT企業の上級システムエンジニアなら単価が200万円を超えることもあるでしょう。
このことからもシステム開発を依頼する顧客(会社)は、腕の立つエンジニアなら月100万円出しても決して惜しくはないケースがあるわけです。
それでは、その100万円を自分が得られるようにするための方法を考えていきましょう。
フリーランスエンジニアが収入を増やすには?
まず、フリーランスエンジニアが収入を増やすには、何らかの専門性を持つ必要があります。クライアントの需要を満たせるスキルを習得することが重要です。
そして、収入を増やすためには、案件を受注した経験を重ね、よりクライアントから需要のあるエンジニアとして働くこと。
最終的に目指すのは「貴方にしか頼めない」とクライアントに思わせることです。
実績を偽ったり、職務経歴書を誇張して書いたり、打ち合わせや面談の時に自らを大きく見せて単価の高い業務に参加できたとしても、結局は周りの期待に添うことができず、早々に退場することになるでしょう。
高収入を目指し維持するために、近道はありません。地道に実績を積むことが収入を増やすコツなのです。
高収入のフリーランスエンジニアが持っているスキルとは
ここで言うスキルというのは能力です。何も特定の技術力だけを指しているのではなく、技術力とその他の能力のバランスが重要です。
それでは、高収入のフリーランスエンジニアが取得しているスキルを見てみましょう。
技術の幅が広い
案件における業務に必要な能力だけでなく、スキルの幅を広げて技術を身につけることが必要です。柔軟に対応できるエンジニアであれば、クライアントの期待に応えやすくなります。
例えばシステム開発者であれば、単体の言語を扱えるよりも複数の言語が扱えるようが良いでしょう。また、その言語単体で扱える事よりも、フレームワークも活用できるほうが現在では価値が高いです。
応用性が高いほどニーズの高いエンジニアになれるのです。他にも、Webサービスの開発であれば、Webマーケティングを理解しておき、より高い成果を出せるよう工夫するのもポイント。クライアントの売り上げを伸ばせば、あなたの報酬も増えるのです。
幅広くスキルを身につけてクライアントの成果に大きな貢献をするのが重要。知識を得るために資格を取得したり、案件を受注して実績を得たりしていくことで多くのスキルを身につけられます。
これはシステム開発者に関しての一例ですが、他の職種でも、技術の幅を広げるというのは重要です。
本質的なコミュニケーション能力が身についている
会話ができればよい、という意味での「コミュニケーション能力」を求められている時代は終わりました。これからはたとえITエンジニアであっても、本質的なコミュニケーション能力が必要です。
エンジニアはチームでプロジェクトを進めることが多く、1人よがりな行動は失敗に繋がります。周りから話をよく聞いて、しっかりとした連携を取ることが良い結果を生み出せるのです。
相手よりも技術を身につけていても、顧客のほうが立場は上です。自分の知識が高いことをアピールするより、謙虚な姿勢でコミュニケーションを取るほうが良いでしょう。
一緒に働いている人たちとコミュニケーションをすることで、自分の知らないことを理解できることも。会話する能力を高めて相手を受け入れるのは、自分のスキルを高めるためにも重要です。プロジェクトから大きな成果を生み出して収入を増やすには、コミュニケーション能力を身につけておくことが必要です。
普段から周りのエンジニアと積極的に会話するようにして、お互いの距離感、立場の違いを理解するようにしましょう。そして、物事を推し進めるためには誰とどのように会話したり、説明したり、理解してもらえればよいか、というのを考えるようにして下さい。
長期案件の実績が多い
人間は一度身につけたスキルであっても、しばらくすると忘れてしまいます。実力があることをクライアントにアピールするには、定期的に案件を受注して実績を積むことが必要です。
長期的に案件を受注し続けていれば、よりクライアントから注目を得られるでしょう。案件を発注する側からすれば、プロジェクトが終わるまで同じエンジニアに働いてほしいのは当然です。
専門的な仕事を長くこなしているほど、エンジニアとしてのスキルが高くなるもの。収入を増やしたいなら、案件を長く受注し続けることが重要です。
プロジェクトへの責任感がある
テレワークや遠隔地から働いているエンジニアには、プロジェクトに参加している感覚が薄れがちです。直接会ったこともない相手と働くと、仕事に対して緩んだ姿勢になる場合もあるでしょう。
ですが責任感のない人に仕事を発注したいクライアントはいません。クライアントのプロジェクトに責任を持って貢献するエンジニアのほうが価値は高くなります。
案件を受注しているときは責任を持ち、重要な場面では積極的に仕事をこなしましょう。トラブルに対処して多くの仕事を対処できる人こそ、クライアントは信頼してくれます。
受注の仕方を見直す
あなたはどうやって仕事を受注していますか。もし、上記のスキルを身に着け、努力をしていたとしても、高単価の案件を獲得できないのであれば、受注の仕方を見直すことがお勧めです。
例えば、客先常駐型で働いているフリーランスエンジニアの場合は、高単価案件を多く取り扱うエージェントサービスに登録すれば、より単価の良い案件を受注しやすくなるでしょう。また、自分の経験や技術スキルを評価し、相場と照らし合わせた現在の適正単価を教えてくれるはずです。
また、在宅中心のエンジニアであれば、クラウドソーシングサービスを複数登録し、一番条件の良い仕事を受注できるように、自宅に居ながらにして営業活動をし続けるようにすると、急にクライアントが無くなってしまった場合のリスクヘッジにもなります。
もし周りにフリーランスエンジニアがいるのであれば、情報を収集し、少しでも条件の良い仕事を受注できるよう、積極的に動いて下さい。
Webを使って自分をアピールする
せっかくフリーランスのエンジニアとして仕事をしているのに、ネットを使わない手はありません。現在では、インプットとアウトプットの両方が活発なエンジニアが好まれるようになってきました。
つまり、自分のスキルアップや問題解決のために情報収集をしたり経験した事を、自らネット上に公開し、情報を発信するという活動です。自分のWebサイトを開設して、情報を公開するのが良いでしょう。Webサイトを作る能力も同時にPRできるからです。
難しければ無料のレンタルスペースでブログ作成から始めても良いです。ブログを使って自身の得意分野や実績、強みなどを開示して下さい。
もしくは、QiitaのようなITエンジニアが多く集まるサイトに寄稿するというのも良いと思います。いずれにしてもそういったサイトを通して自分を知ってもらい、営業活動につなげることができます。
最後に確認して欲しいポイント
エンジニアがフリーランスで月収100万円のような高収入を達成する為には着実な努力が必要です。しかし、きちんとした志を持ってフリーランスになったエンジニアであれば、決して難しくはないと考えます。実際、会社相手の案件ならば月単価100万円はそう珍しいことではなく、フリーランスでも顧客を唸らせるほどのスキルがあれば同等もしくはそれ以上の収入を得ることも可能です。
1つのスキルに特化するだけでなく、幅広い知識を身につけて協調性や責任感を持つことが高収入の近道です。フリーランスエンジニアとして価値を高めるために、よりクライアントに貢献できるよう努力しましょう。