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あえて言おう、クラウドソーシングはフリーランスを救わない!

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2018年01月29日

2016年8月、安倍晋三首相は、第3次改造内閣の発足に合わせて「働き方改革相」を新設。担当大臣に加藤勝信氏が任命(一億層活躍相と兼務)されました。安倍首相は高い支持率を背景に、これまでの政権が二の足を踏んできた景気対策や安全保障にメスを入れ、思い切った政策を実現してきました。

自民党の党是は自主憲法の制定ですから、前月の参院選の勝利を受け、憲法改正へ向けてのトリガーを引くというのが大方の見方でしたが、安倍首相が新内閣の最重要政策課題として掲げたのは「働き方改革」でした。

「日本が世界を買い占める」とまで恐れられたバブル時代、栄養ドリンクのCMでもお馴染みの「24時間戦えますか」というキャッチフレーズはもはや昔の話。これだけITが発達したにも拘わらず、満員電車に乗っての通勤、わざわざ一堂に会して会議などなど、多くの会社が当時のワークスタイルから抜けられていないのが実情です。

経済大国と世界の羨望を集める日本も蓋を開けてみると、労働生産性はG7(先進7か国)で最低、労働時間の長さは平均賃金が日本と同程度のフランスと比べて1.5倍、と効率の悪い労働を長々と行っている現実が浮き彫りとなっています。

明確な因果関係はありませんが、ワーク・ライフ・バランスとは名ばかりのこうした労働環境が、日本の活力を奪い、ひいては少子化にもつながっているのではないかと思われます。

日本人の長時間労働は「過労死(karo-shi)」という言葉が英和辞典に載るほど深刻な問題として世に知られるところでしたがここにきてようやく政府が重い腰を上げたというのが実情です。

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働き方改革とフリーランス

「働き方改革」でまず政府が着手するのは、恒常的な長時間労働の是正とされ、時間外労働の上限規制を設けるなど労働基準法のあり方が目下検討されています。

フリーランスからすれば、政府を挙げて心配されるような立場ではなく、自分が仕事だと思っていればそれは仕事で、仕事の成果はすべて自分次第。会社組織でよくあるような愚かな「戦犯探し」などとは無縁の世界で、起こったことはすべて「自分の責任」なのです。

もちろん責任は重く、家族を養っているのならなおさら自分を律しなければ瞬く間に奈落の底に落ちてしまうのがフリーランスの厳しいところですが、日本の就労者で、もっとも労働生産性が高く、ワーク・ライフ・バランスを充実させることができる、もしくは、できる可能性があるのは実はフリーランスの人たちなのです。

四半世紀前のオフィスの机上にあるのは固定電話と帳面、そして吸い殻であふれた灰皿。火災報知器がなりそうなほどモクモクとした環境の中、基本的には「手書き」での作業、連絡手段は「電話・FAX」、いわゆるアナログ的な作業に終始していました。

しかし現在は、デスクに1台パソコンが支給され、連絡手段にメールが加わり、モバイル端末によって場所と時間を選ばずに仕事をすることも可能になりました。ワイシャツの袖口が真っ黒になるほどの帳簿付けがエクセルに代わり、1件1件かけていた電話がメール一本で済むようになっただけでも作業効率は奇跡的と言ってよいほど上がったはずですが、日本の労働生産性は上がることなく、じりじりと世界の後塵を拝するようになってきています。

フリーランスの人たちは、その大部分がかつて経験した「会社勤め」には、絶望的なほど無駄な時間が多いことに気付き、行動を起こしたに過ぎません。毎日のように満員電車に押し込まれ、別に一堂に会する必要のない会議に移動と分かったような表情を見せることにエネルギーを費やし、決済の印をもらうために上長の帰りを待ったり…。

大部分の事務処理は別に会社にいなくてもできますし、合意形成などスカイプで十分ですし、書類などセキュアな環境でクラウド上でやりとりすれば待つ必要なんてないのです。ITが生活の上で必要不可欠な時代になったにも拘わらず、会社だけはITを取り入れたいとは言いながら、旧態依然とした時間とエネルギーの浪費を続けているのです。政府がいくら叫んだところで抜本的に改革するのは難しいと言わざるを得ません。

その意味で、フリーランスは、究極に無駄を排した最高に生産性の高い働き方を実現する近道であると言うこともできるでしょう。

クラウドソーシングが目指す「新しい働き方」は素晴らしい。しかし、依存しすぎると泥沼になる

フリーランスに象徴される時間や場所を選ばない「新しい働き方」はITがもたらした恩恵といえます。これを業務効率化といった方向に役立てられるかどうかは人間の運用いかんにかかっていますが、こうした流れの中で出現したのが「クラウドソーシング」という働き方です。

クラウドソーシングとは、個人・企業からの仕事を、インターネット上で不特定多数の個人・企業に仲介するサービスで、この数年の間に急成長を遂げています。これまでの商習慣では、取引は対面が基本、仕事は客先に出向くことも少なくありませんでした。この場合、思いのほかコストがかさみますし、取引先同士の人間関係を保つがために却って仕事の幅が狭まってしまうこともありました。

この点、クラウドソーシングであれば、インターネット上で仕事を依頼し、応募してくる人に仕事をやってもらう形なら、納期さえ定めれば基本的に時間や場所は関係なし、加えて大部分の仕事は、対面することなく遂行できるので「しがらみ」ができてしまうことはまずありません。企業側からすれば、できるだけ手を煩わせずに必要な仕事をやってもらえて、仕事をもらう側からすれば、24時間365日時間と場所を選ばず、業務量を自分の判断で調整できる点で双方にとってメリットのある良質なサービスであるということができます。

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しかしながら、現状のクラウドソーシングは、これらの仕事を請け負うフリーランスの心理を見透かしているのか、「安く済ませたい」という企業や依頼者側の意図がありありと見て取ることができます。それなりの労力と工数がかかる仕事であるにも拘わらず、報酬額が相場よりもかなり安価に設定されているほか、運営側の取り分も鑑みると、学生のアルバイトにも満たないほどの金額になることも少なくありません。
自身の仕事の価値やあるべき単価が分かっているエンジニアであれば「馬鹿にするな」と一蹴することができるでしょうが、「仕事が欲しい」ばかりに請け負ってしまうフリーランスが後を絶ちません。しかし、安い仕事は数をこなさなければなりません。

一度安い仕事を請け負うと、その仕事があなたの評価となり、足元を見られてしまう可能性も否定できませんし、まさに「貧乏暇なし」を地で行くことになりかねないのです。

最後に確認して欲しいポイント

フリーランスにになって陥りがちなことは、じっとしていると不安になったり、仕事が欲しいばかりに安い仕事を請け負ってしまい、肉体的にも精神的にも自身を追い詰めてしまう負のスパイラル。

会社勤めの時代と異なり、無駄を排し、時間や場所を選ばず、かつ自分の腕一本で勝負のできることで選んだはずのフリーランスの道なのに気付いたら精根尽き果てるほどの消耗戦に陥っていませんか?

クラウドソーシングは、まだまだ新しいビジネスの形態ですから、今後様々な形に進化を遂げていくことでしょう。しかしながら、非常に単価が低く正直なところ「割に合う」仕事はそう多くないのが現状です。したがって、分がやっただけの仕事が収入に直結するフリーランスからすれば、決して主たる収入減にしてしまっては、先に述べたような不幸な消耗戦に陥ってしまうのです。

あくまで、閑散期のつなぎであったり、直接依頼につなげるための布石として上手に利用していくべきなのです。

フリーランスになったら登録すべき最強エージェント5社

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