ソフトウェア品質について全6回に渡って解説をしていくシリーズの第01回目です。
今回は「ソフトウェア品質ってどういうこと?」というテーマについてお伝えしていきます。
「ソフトウェア品質」とは?
「明示的なニーズ」と「暗黙のニーズ」
ソフトウェアエンジニアリングに関する有名な言葉とその解説
そして「SQuaRE」、製品品質モデルと利用時の品質モデルについて、詳しく解説をしていきます。
ソフトウェア品質とは
ソフトウェア品質、という言葉についてお話をする前に、品質とは、というところについて触れていきます。実は「品質とは」というものの定義について、世の中で合意された定義というものはありません。様々な領域の方々が、自分たちの領域に合わせて「品質とは」ということを各々で定義している、というのが現在の状況です。
ただ、最終的な目標が「顧客満足の向上を狙う」ということである、ということだけは合意されていることであろう、と考えています。
そういった状況を踏まえた上で、今回は「ソフトウェア品質」とは、というところのお話をしていきます。
「明示的なニーズ」と「暗黙のニーズ」
ISO/ICE25000シリーズ、通称「SQuaRE」と呼ばれている国際規格での「明示的ニーズと暗黙のニーズを満たす」という定義はとても有名です。特定の条件で利用する場合の明示的ニーズ、または暗黙の定義を満たすためのソフトウェア製品の能力、と定義されています。
ここで注目すべき点は「暗黙のニーズ」について触れられていることです。
実は品質マネジメントシステムの国際規格で有名なISO9000でも「明示的ニーズ」や「暗黙のニーズ」について触れられています。ISO9000はソフトウェア領域専用の規格ではなく産業全体のものなので「ソフトウェア品質とは」ということではなく「品質とは」というお話になるのですが、こちらでも「明示的なニーズ」、そして「暗黙のニーズ」触れられています。
この二つのニーズというものについて、詳しくお話をしていきます。
ソフトウェア品質に関する、ソフトウェアエンジニアリングたちの言葉
こちらではソフトウェアエンジニアリングの非常に有名な方たちの話していることをいくつか紹介していきます。
「品質は誰かにとっての価値である」。これはWeinbergの言葉です。品質の相対性について言及しています。
RADで有名なJ.Martinは、時間の重要性、タイムリーさの重要性ということについて言及しています。Pressmanは、開発基準を満たす、ということについて言及しています。
この3人の言葉について知ることで、ソフトウェア品質において非常に気にかけておかないといけない点を学ぶことが出来ます。こちらについて、詳しく解説をしていきます。
ーSQuaREー 製品品質モデルと利用時の品質モデル
先ほども少し触れましたが、SQuaREとは、Systems and software Quality Requirements and Evaluationシリーズの頭文字を取って表した言葉です。
こちらでは品質特性、という言い方で、製品品質モデルと利用時の品質モデル、というものを定義しています。
品質というものを解析的に捉えた時、こういう特性から成り立っており、構成されているのだ、ということを定義している規格です。
製品品質モデルに関してはよく品質8特性と呼ばれており、さらにその下部には副特性という定義もなされています。この特性について、またこの品質モデルをどのように使うのか、ということについて詳しく解説をしていきます。
さらに利用時にどのような評価になるか、ということを見る観点として用意されているのが利用時の品質モデルというものです。こちらも5つの特性と副特性に分かれています。同じように、こちらについても詳しく解説をしていきます。
ソフトウェア品質の専門家 株式会社イデソンの誉田直美さんの解説動画です。
誉田 直美さま ご紹介
誉田直美(ほんだ なおみ)
株式会社イデソン 代表取締役
公立はこだて未来大学 客員教授 博士(工学)
経歴
ソフトウェア品質の専門家として、30年以上に渡って大手電機会社で活躍。ウォーターフォールモデル開発およびアジャイル開発の両方に精通し、現場での豊富な経験を保有している。近年では、AIシステムの品質保証にも関わる。単なる知識にとどまらず、現場の事情を考慮した実践的な品質保証が特徴である。
2020年、㈱イデソン設立。ソフトウェア品質に関するコンサルティングを中心に活動している。執筆や講演による啓蒙活動にも力を注いでいる。
主な著書・執筆活動
品質重視のアジャイル開発 ~成功率を高めるプラクティス・Doneの定義・開発チーム編成~ (日科技連出版) 2020年9月発行
ソフトウェア品質判定メソッド ~計画・各工程・出荷時の審査と分析評価技法~(日科技連出版、編著) 2019年8月発行
ソフトウェア品質会計(日科技連出版)2010年発行 <2010年度 日経品質管理文献賞受賞>
ソフトウェア品質知識体系ガイド 第3版–SQuBOK Guide V3- (オーム社、監修) 2020年11月発行
なおV2( 2014年11月発行)は執筆リーダー、V1(2007年11月発行<2008年度 日経品質管理文献賞受賞>)は著者として執筆に継続的に関与
ソフトウェア開発 オフショアリング完全ガイド(日経BP社 共著)2004年10月発行 見積りの方法(日科技連出版、共著)1993年
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