ソフトウェア品質について全6回に渡って解説をしていくシリーズの最終回です。
今回は「ソフトウェア品質保証の手法と最新動向」というテーマについてお伝えしていきます。
- 「ソフトウェア品質知識体系ガイド」についての解説。
- DX時代における多様な品質への関心の高まり
- AIの予測モデルと「公平性」
- AIの予測モデルの品質保証の確立
これらについて、詳しく解説をしていきます。
ソフトウェア品質保証に必要な技術
「ソフトウェア品質知識体系ガイド」とは
ソフトウェア品質保証に必要な技術について書かれている本が「ソフトウェア品質知識体系ガイド」、こちらは通称「SQuBOK」と呼ばれています。現在バージョン3となっており、こちらが出たのが2020年なので、現時点においての最新の知識体系ということになります。
こちらは5章で構成されており、その内容について触れていきます。
・第一章「ソフトウェア品質の基本概念」
こちらでは「ソフトウェア品質とは何か」について解説をしています。ソフトウェアの特徴をハードウェアとの比較などから把握し、そのマネジメントの特徴についての理解について触れています。
・第二章「ソフトウェア品質マネジメント」
こちらでは品質マネジメント、プロジェクトマネジメントはもちろんのこと、リスクマネジメントや構成管理、あるいは監査など全体的な仕組みについて触れています。
・第三章「ソフトウェア品質技術」
こちらが一番注目されるところではないでしょうか。メトリクスから要求分析、設計、実装といった開発の基本的な技術からレビューテストや品質分析、保守の技法などソフトウェアのライフサイクル全体にわたる必要な技術について触れています。
・第四章「専門的なソフトウェア品質の概念と技術」
こちらで触れているのは「ユーザビリティ」「セーフティ」「セキュリティ」「プライバシー」です。これらは特に注目されている品質特性です。
・第五章「ソフトウェアの応用領域」
AI、人工知能、IoT、アジャイル開発、DevOps、クラウドサービス、OSSの利活用ということで、最新で使われている技術の領域について触れています。
DX時代における多様な品質への関心の高まり
DX時代に入ってきている昨今、今までにないような多様な品質への関心が高まっているように感じられます。AIやIoTの適用拡大につれ、単純な品質というよりも品質に対する多様な広がりと深さというものが要求されるようになってきています。
それらを総称して「Trustworthiness」という言葉で表しています。まだ日本語訳も定まっていない「Trustworthiness」という言葉の意味や幅広い概念について詳しく解説をしていきます。
AIの予測モデルと「公平性」
AIの領域では「公平性」についてよく議論がされています。
AIのモデルを作る時にはビッグデータを解析して予測モデルを作っています。その時にデータがそもそも不公平な状態にあると、作られる予測の根拠も不公平なものを学んで予測をするので、結果も不公平になってしまいます。こちらでは銀行の与信を例にとり、起こりうる問題について詳しく解説をしていきます。
AIの予測モデルの品質保証の確立
実は、AIの予測モデルの品質保証の方法というのはまだ確立されていません。ですが、現実に使っていかなければならない状況で、どのようにしていけばいいのか。AIの予測モデルの品質保証をしていく上で、現時点で必要なこと、そして求められるのはどのような姿勢か、というところについてお話をしていきます。
ソフトウェア品質の専門家 株式会社イデソンの誉田直美さんの解説動画です。
誉田 直美さま ご紹介
誉田直美(ほんだ なおみ)
株式会社イデソン 代表取締役
公立はこだて未来大学 客員教授 博士(工学)
経歴
ソフトウェア品質の専門家として、30年以上に渡って大手電機会社で活躍。ウォーターフォールモデル開発およびアジャイル開発の両方に精通し、現場での豊富な経験を保有している。近年では、AIシステムの品質保証にも関わる。単なる知識にとどまらず、現場の事情を考慮した実践的な品質保証が特徴である。
2020年、㈱イデソン設立。ソフトウェア品質に関するコンサルティングを中心に活動している。執筆や講演による啓蒙活動にも力を注いでいる。
主な著書・執筆活動
品質重視のアジャイル開発 ~成功率を高めるプラクティス・Doneの定義・開発チーム編成~ (日科技連出版) 2020年9月発行
ソフトウェア品質判定メソッド ~計画・各工程・出荷時の審査と分析評価技法~(日科技連出版、編著) 2019年8月発行
ソフトウェア品質会計(日科技連出版)2010年発行 <2010年度 日経品質管理文献賞受賞>
ソフトウェア品質知識体系ガイド 第3版–SQuBOK Guide V3- (オーム社、監修) 2020年11月発行
なおV2( 2014年11月発行)は執筆リーダー、V1(2007年11月発行<2008年度 日経品質管理文献賞受賞>)は著者として執筆に継続的に関与
ソフトウェア開発 オフショアリング完全ガイド(日経BP社 共著)2004年10月発行 見積りの方法(日科技連出版、共著)1993年
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