ソフトウェア品質について全6回に渡って解説をしていくシリーズの第05回目です。
今回は「ソフトウェア品質保証の難しさと面白さ」というテーマについてお伝えしていきます。
「ソフトウェア危機」とは。
「ソフトウェア危機」が起きる原因。
「ソフトウェア危機」は回避出来る?
プロジェクトとして品質保証に取り組むということ、組織レベルで取り組むということ。
そして品質保証体系の例について、図解を用いながら詳しく解説をしていきます。
ソフトウェア品質保証の難しさと面白さ
「ソフトウェア危機」とは?
「ソフトウェア危機」とは、ソフトウェアの開発規模が急増した時に起こる開発破綻のことを指します。
バグが多すぎて、バグばかり出て止まらない。予算を超過してしまう、あるいは期日までに成果物が出来上がらない。一番ひどい状態では「デスマーチプロジェクト」、直訳すると「死の行進」となるのですが、いつ終わるのかわからない状態に陥ってしまう。これらがソフトウェア危機において起こる、典型的な事象です。
ソフトウェア開発に関わる方は、デスマーチまではいかなくても品質問題や予算超過などということは少なからず経験されているのではないでしょうか。
ソフトウェア危機が起きる原因
ソフトウェア危機が起きる原因として、ソフトウェアがもともと持っている複雑性というものがあります。
ソフトウェアというのはロジックの塊なので、複雑度がハードウェアの比ではありません。
さらにソフトウェアを作る方の学問、技術、ソフトウェア工学。これらが未熟であることに起因しているという指摘があるのですが、実はこの指摘は1960年代にはすでにされていたものでした。
この原因について、ソフトウェアの歴史、さらにソフトウェア危機の最も難しい問題と共に解説をしていきます。
ソフトウェア危機は回避出来る、と言われているけれど…?
ソフトウェア工学の発展に伴い、ソフトウェア危機は回避出来ると言われています。
けれどいまだにソフトウェア危機というのは起きており、最近では2000年以降、スマートフォンの前の携帯電話の時代にソフトウェア規模が爆発し、どの開発会社も非常に大変な状況に陥ったことがあります。
これは車載ソフトや電子機器のテレビなど、ソフトウェアの部分が非常に大きくなってきた時に発生しています。つまり今でも起きている、ということなんですね。
ではこれを未然に防止していくにはどうしたらいいのでしょうか。こちらについて、詳しくお話をしていきます。
プロジェクトとして品質保証に取り組むということ、組織レベルで取り組むということ
「プロジェクトとは」という定義を見ると、「独自の成果物またはサービスを創出するための有期活動」と定義されています。プロジェクトとは有期活動なんですね。作られるものは独自の成果物やサービスで、その開発には始まりがあり、終わりがあります。
組織の中ではこのようなこのようなプロジェクトが生まれては消え、終わっていきます。
その中でプロジェクトの品質保証に取り組むためにはどのようにしていけばいいのでしょうか。
また、組織レベルではどのように取り組めばいいのか。その点についても詳しく解説をしていきます。
品質保証体系の例について解説
具体的な例を用いて説明をしていきますが、あくまでもこれがいい、というわけではなく、こういう仕組みを作るとこういうことがあり得る、というお話です。
全体的の仕組みを定義してそれをきちんと実施していく。それによって組織の成功確率が向上していきます。動画内の図をぜひ解説とともにご覧ください。
ソフトウェア品質の専門家 株式会社イデソンの誉田直美さんの解説動画です。
誉田 直美さま ご紹介
誉田直美(ほんだ なおみ)
株式会社イデソン 代表取締役
公立はこだて未来大学 客員教授 博士(工学)
経歴
ソフトウェア品質の専門家として、30年以上に渡って大手電機会社で活躍。ウォーターフォールモデル開発およびアジャイル開発の両方に精通し、現場での豊富な経験を保有している。近年では、AIシステムの品質保証にも関わる。単なる知識にとどまらず、現場の事情を考慮した実践的な品質保証が特徴である。
2020年、㈱イデソン設立。ソフトウェア品質に関するコンサルティングを中心に活動している。執筆や講演による啓蒙活動にも力を注いでいる。
主な著書・執筆活動
品質重視のアジャイル開発 ~成功率を高めるプラクティス・Doneの定義・開発チーム編成~ (日科技連出版) 2020年9月発行
ソフトウェア品質判定メソッド ~計画・各工程・出荷時の審査と分析評価技法~(日科技連出版、編著) 2019年8月発行
ソフトウェア品質会計(日科技連出版)2010年発行 <2010年度 日経品質管理文献賞受賞>
ソフトウェア品質知識体系ガイド 第3版–SQuBOK Guide V3- (オーム社、監修) 2020年11月発行
なおV2( 2014年11月発行)は執筆リーダー、V1(2007年11月発行<2008年度 日経品質管理文献賞受賞>)は著者として執筆に継続的に関与
ソフトウェア開発 オフショアリング完全ガイド(日経BP社 共著)2004年10月発行 見積りの方法(日科技連出版、共著)1993年
株式会社フォスターネットが提供する「FOSTER WORKSTYLE」シリーズでは ITエンジニアの皆様に学びを提供する動画を配信しています。 フォスターネットのYoutubeチャンネルをぜひご登録ください!